地獄のお見舞い
私たちは、ジオさんの部屋までお見舞いに来ていました。
前回のクエストで、死にかけたジオさんはミアさんとエルナさんの準備の良さに助けられていましたが、それでも傷は深かったらしく、絶対安静を言い渡されたそうです。
私は切り花。エルナさんはフルーツ、エンツォさんは「ジャスティスオブザ正義」という謎の本。
そしてネロさんは手作りの焼き菓子を持って、宿のジオさんの部屋を訪ねます。そして開いたその先はーーー
「あっ、皆ー!お見舞い?ちょっと待ってね、いまジオにおかゆ食べさせてるから!」
シューシューと鳴っている、煮え立ったおかゆ。
なぜか黒い。
それを口に突っ込んでいるミアさんと突っ込まれて死にかけているジオさん。
ーーー地獄が、広がっていました。
「何やってるんだ!死ぬぞ!!!」
エンツォさんがまずツッコミました。
うん、どこから突っ込んでいいかよくわからなかったので、助かりました……じゃなくて!
「ミアさん!せっかく助かったジオさんが死んでしまいます!」
「……………絶対安静。」
「わ、私のヒールでは大ダメージはまだ無理なんですよ!?」
各々ミアさんを止める。ジオさんはぐったりしながらも、
「助かったぜ……」
と呟いていました。
可哀想なジオさん。きっとずっとああだったし、これからもその運命を受け入れていくのだろうな……
男前ではある。愛した人のすべてを受け入れている。しかし、あの料理は拒否してもいいと思う。
「大丈夫だぜ!結婚後は俺が全部料理作るからな!」
あっ……脳内を読まれた。
ネロさんは慌てておかゆの鍋を取り上げて出ていきました……
たぶんリメイクするんでしょうね……できるのかな?
「アルドさん……とりあえず、フルーツなら大丈夫……ですよね?」
エルナさんが私の上着をくいと引く。
さすがにフルーツを剥くだけなら……大丈夫……なはず……ですよね?
「お、おかゆのかわりにフルーツどうぞ!」
エルナさんがミアさんに渡す。
「わあ!エルナちゃんありがとう!おかゆばっかりじゃ栄養偏るって思ってたのよね!」
エルナさんからフルーツを受け取ったミアさんは果物ナイフでリンゴを剥き始めた……
ああ……そんなに分厚く剥いては……勿体ない。
「はい、ジオ!しっかり食べてね!」
「ありがとな……」
ジオさんはエルナさんに目配せをしていた。本当に可哀想なジオさん……
そしてエンツォさんがジャスティスオブザ正義を渡している間に、ネロさんが戻ってきました……あっ、おかゆが茶色くなっている……ボコボコしていない……なんとなく、それだけで安心感……
私たちはできることをした。
全てできることをしたはずなのだーー
なのに、なぜかいまだ感じる不安感を胸に、ジオさんの部屋を後にしました。
……安らかに眠ってください。ジオさん。




