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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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89話.フェルミナ誕生 後編

私はなんとか体勢を立て直し、地面に着地する。そして、元の場所に戻ろうと走った。


だが、既にペルニシアは捕まって元の場所にはいなかった。

そして、私もまた人間たちに見つかり、追いかけられることになった。


なんとか逃げねば、ペルニシア救出の前にころされてしまう。

けれどそれは不可能に思えた。

ここは街の中だ。


飛んで逃げたら魔法で撃ち落とされかねない。


考えれば考えるほど、どんどん絶望的な思考に苛まれていく。

だが、私が捕まることはなかった。

何故かだれも私を追わなくなっていたのだ。


振り返ると、遠くで追っ手がまだ走っているのが見えた。

そして、私に気づかずに通り過ぎていく。


なんで?私はここにいるのに。

疑問に思い、辺りを見回す。

すると自分の視線がさっきより少し高くなっていることに気づく。


次に自分の手を見る。

…手?私手なんてあったっけ。


近くのゴミ置き場に捨ててあった手鏡を手に取った。


そこには、人間の少女の顔が映っていたのだった。



こうして、私はついさっきこの世で一番嫌いになった生物になってしまったのだ。



「…」


だが、考えている暇はない。


今は人間の姿の方が都合がいいはずだ。

これで追っ手に邪魔されずにペルニシアを助けに行ける。

落ち込むのはそれからでいい。


私はゴミ箱に落ちていた白いローブを自分の体に巻き付け、走る。

そうして、私は急いで先程ペルニシアと共にいた場所に向かう。


そこには、鎖を付けられ、ぐったりと横たわるペルニシアが檻に入れられていた。

ちょうど荷馬車で運ばれる直前だった。


「ペルニシア!!」

私は叫び、ペルニシアが捕らえられている檻に駆け寄る。


檻をこじあけようとするが、当然檻はびくともしない。


「なんだこの汚いガキは」

近くで見張っていた男たちが私を蹴りつける。


それでも懲りずに私がペルニシアに向かおうとすると、さらに蹴られてその場から追い出された。


「その子をどうしようって言うの」

私はボロボロになりながらか細い声でいう。


兵士たちは顔を見合わせて、笑い言った。


「なんだ?可哀そうだとでも思ったのか?こいつは魔獣だぞ。俺たち人間を襲うだけの害獣だよ」

違う、そんなこと考えてない。

ペルニシアはとっても優しいいい子だ。

「本来なら駆除するところだが、こいつは価値があるから研究するんだよ。これで魔法技術がさらに発展するんだとか。見た目はちっこいのになぁ?ははっ」

兵士の1人がペルニシアの方を見て嘲笑した。

研究だって?ふざけるな!そんなことさせない。


私は再び兵士たちの間を駆け抜け、ペルニシアに手を伸ばす。

「あ、こいつッ」


兵士たちはそんな私を簡単に掴み、さらに暴力を加えた。

そうして私は路地裏に放り出された。


私はあおむけに倒れる。地面がいやに冷たく感じた。

もうペルニシアとは会えない?


まだだ。研究ってことはまだ助け出すチャンスはあるはずだ。


私が必ずペルニシアを助ける。何をしても必ず。




◇◇






跳ぶ、跳ぶ、跳ぶ。


その液体の体を何度もはねさせた。その度に勢いがつく。

魔力もたまっていくのが分かる。


教えてもらったとっておきの手段だ。


「魔力は貯める事ができるのよ。もちろん限界量は使い手によってきまってるけどね」


そして、この都市に来るまでの間にそれを練習していた。


跳びはねるのはクセみたいなものだ。

ただ、それをするとより魔力が高く貯められるような感覚があった。

それに、単純に勢いも付けられる。


ググッと全身に力を込め、体をかがめ、飛び込む。


それは、弾丸のように鋭い一撃となって、その部屋に飛び込んだ。

ガラスが粉々に割れて、ガシャンと甲高い音が響く。


だが勢いは死ぬことなくそのまま一直線に目の前の敵へと吸い込まれるように向かっていく。



そして、その水の弾丸は五大貴族、ゼイ伯爵の腹部に思い切り打ち込まれた。


「グハッッ」


ゼイ伯爵は白目をむき、唾が飛ぶ。

彼はそのまま吹き飛ばされ、そのまま部屋の壁に衝突する。



壁から鈍い音がして、ゼイ伯爵はその場に崩れ落ちた。


「あなた、なん、で?」


踏みつけにされていた足から解放され、フェルミナと呼ばれていた少女は顔を上げる。

「さぁ、ただルナならこうするかなって思っただけ」

そう言って最弱のスライム、セレーネは笑う。


それはルナがセレーネに望んだものとは違った答えだった。

それでもセレーネが周囲の状況に流されるだけでなく確かに出したものだった。



セレーネは決めていたのだ。

ルナのかっこいい所を真似すると。




読んでくださりありがとうございます。

先週投稿できなかったため、休日の今日投稿しました。

今週の土日どちらかにもいつも通り投稿予定です。


◇◇


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