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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
4章:昔の冒険

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83話.べー!




「お~、見えるわ。魔力ってやつ。おもしろ!」


マクラがバックの中から目を凝らし、通行人たちをを眺めて笑っていた。


「え?もう!?」


私はもうマクラが魔力の視認を可能にしたことに愕然とする。

私はルナの強力な魔力で補正してもらい、魔力石で感覚を磨いて数日賭けて

やっと魔力が見えるようになったというのに、マクラはさっきルナから講義をちょっと聞いて

すぐこれだ。


これが才能の違いというやつなのだろうか。


私がガックシ落ち込むとルナが私の心境を察したのか苦笑いしながら言う。

「まぁしょうがないわよ。スライムってE級魔獣の中でもとびきり能力値が低い種族だから。魔力の扱いももともと備えている魔獣の方が多いしね」

つまりスライムは、その魔力の扱いも常備されないで生まれてくるわけね。

ほんとスライムのステータスって低いんだな、と落ち込む。


「あー、我の糸とかやな」

マクラが納得するように言う。

「そうそう」


「セレーネ?どうしたの!?具合悪いの」

落ち込む私をみてルナが心配したように言う。


「別にぃ」

ふてくされて、ルナから視線を逸らす。


「あーあー。ルナちゃんが泣かしたぁ」

マクラもやれやれとあきれたように肩をすくめる。 

「あー、え、えっととびきり甘くておいしい物でも食べに行く?」


「…行く」


◇◇





一行は、再び道を歩く。

私は食べ歩きで、ソフトクリームをパクリと口に入れた。


とても冷たくて体がプルプルと震えた。

「ん~~、おいし」


この街のソフトクリームの材料はコカトリスの卵、バッファローの乳で作った牛乳

など魔獣を使っているらしい。


冷やす工程に氷魔法を使い、生クリームをかき混ぜる工程には風魔法を使うなど、

魔法に関連させることを徹底させている。


そのことでどのくらい味に影響が出ているのか、私には分からなかった。


だが、冷たくも甘く、今まで感じたことがない感動があったことは確かだ。

なんといっても、今まで携帯食ばかりで、おやつなどの甘味食品は食べたことがなかった。


「これが甘さという暴力」

あまりに幸せな味に私の傷心はすっかり治っていた。

パクパクと食欲の赴くままに食べ続ける。


食べるたびに冷たさに目をつむり、体を震わせている様子にルナは噴き出していた。

マクラはというと、ルナのバックの中から顔を出して私と同じくソフトクリームを

頬張っていた。


その目は輝いていて、私と同じく、ソフトクリームが気に入ったらしい。

おそらく私と同じで甘いものを食べるのは初めてなのだろう。


今度から新しい街に行ったときは、皆と一緒に甘味巡りでもできたらいいなと思うセレーネだった。




甘みに意識を集中させていた時、後ろから歩いてくる3人の集団に目が行った。

その連中に興味があったわけではない。ただ、その横暴な態度に反射的に目が行ったのだ。


「おい、そこどけよ」

集団の中の1人男が前に出て、乱暴に目の前にいた女を押しのける。

服装の毅かさから明らかにその集団のトップだと分かった。

「ちょっと、私が先に」

「なんだよ。俺は3等魔法使いだぞ」

男は胸につけた銅の五芒星の形のバッチを強調するように突き出した。

「あんた、バッチなしってことは一般人だろ?だったら譲るのがこの街のルールだろうが」

取り巻きと思われる男が女性を蹴飛ばした。

悲鳴を上げて、女性は倒れる。


だが、女性の体が硬いレンガでできた地面にぶつかる前に抱き留められる。


抱き留めたのはルナだった。

今回見たいな地位による暴挙は彼女が最も嫌いなことだ。


「何も暴力まで振るうことはないでしょう」


言葉の丁寧さとは裏腹に、ルナは鋭い目つきでキッと男たちを睨みつける。


「なにあんた?何等級魔法使い?」

「俺たち全員3等級以上だけど」

「それになぁ、このお方こそは、2等級魔法使いにしてあのゲンゼルマン男爵のご子息、パルメ・ゲンザルマン様だぞ」

取り巻きたは、真ん中の少年を大げさな仕草で指し示す。


少年はフンッと鼻を鳴らしてこちらを見下すように眺めてくる。


その様子を見て、私は思わず吹き出してしまい、顔をそむけた。

他の誰でもなくあのルナに権力自慢とは。身の程知らずめ。


人間というのは、どうして相手のことも知らずに中途半端な力で得意げになれるのやら。

いつか会ったカマンベール?とかいう貴族もそうだった。

相手が自分より強かったらどうしようとか考えないのだろうか。


私としてはルナには高らかに「私は王女ですけどなにか?」みたいな

感じで、ネタ晴らしして欲しいものだ。


その方が相手が慌てふためく姿が想像できて面白い。


だが、残念ながら、ルナは自分が王女であることをひけらかしたりしない。

どころか、硬くなにその地位を隠そうとしている節すらある。


ま、そこも気高くてかっこいいんだけどね。

それが器の違いというものだよ、少年。

そう思い、セレーネは肩をすくめる。


私を見て、少年は嘲笑を浮かべて言う。

「テイマーか。とは言えたかだかスライムしかテイムできないんじゃたかがしれてるな」

「そういうことをいってるんじゃありません。力があるのになぜそれを他者を虐げるために使ってしまうのかと聞いているんです。」

ルナの言葉に取り巻きの1人が呆れたように言う。


「おまえ、観光客か?なんも分かってねぇなぁ。この都市ではなぁ。魔法を使えるやつが一番偉いんだよ。魔法の実力は等級化されて、それが高い奴が一番権力を持つのさ。貴族さまを除いてだがな。そうやって俺たち魔法使いは一番上の地位を奪うために、競い合い、互いを練磨し、高みへと昇っていくのさ」

「そういうことだよ。魔法も使えないような奴はよぉ、この都市に来るんじゃねぇよ」


ルナは暴言を飛ばす相手をただ悲しそうに見ていた。


そんなルナの反応をどう受け取ったのか、パルメと名乗る少年が捨て台詞を吐く。

「フン、下民が」

そして、彼を先頭に取り巻きの2人の男たちを従えて去っていった。


正直私にはもやもやといら立ちが強く残っていた。

ルナの方が全てにおいて圧倒的に上なのに、あんな奴らに言われっぱなしなんて。


でも、ここで力で解決しようとしたら、きっとルナに迷惑をかけてしまう。

それに、私はあんな奴らにさえきっと勝てない。


歯がゆい思いで3人の男たちの背中をただ見送った。


その時。


「うわっ」


パルメが何かに躓いたようにバランスを崩し、前のめりに転倒した。


急なことでうまく受け身に失敗したらしく、顔面から地面に突っ込んだようだ。

「パルメ様っ!」


取り巻きの男たちが少年に駆け寄るが、パルメに近づくと、男のひとりもまた何かにひっかかり、

パルメにのしかかる形で転倒した。


他の男たちも、異変には気づいたようだが、勢いを止められず芋づる式にパルメにのしかかっていく。


男たちが、パルメの上にダイブする度に、彼はグエッと情けない声を上げる。


私もルナもその様子を唖然と見ていた。


だが、固まっていた私たちを他所に高笑いが上がる。


「ひっ、ひっ、ぷっ、あはははっははっは、いーひっひひ」


笑いが抑えられなくなり、地面を転げまわって笑っていたのは、

何を隠そう私たちの連れであるマクラだった。



「ちょっ!マクラ!?なにやって」


「だって、ただ単に転ばせるだけのつもりだったのに、あんな簡単な罠で奇麗に全員すっころんで・・・グエって・・・あんなに偉そうにしてたのに情けね~。くっく」

笑いながらマクラは言う。


「おまえ!!」


取り巻きの1人が立ち上がり、怒鳴りつけてくる。


「はぁ~?我何かしましたぁ?あんたらが勝手に転んだようにしか見えなかったんやけどなぁ~」


マクラが言った瞬間、こちらを見ていた周囲がざわつく。


「蜘蛛の魔獣が、しゃべった?」


誰かが呟いた。


「やば」

「ちょっと、マクラどうする気?」

「そりゃもちろんこういう時は」


そう言うと、マクラはくるりと体を反転させて走り出した。


それと同時に私に行くよとジェスチャーをし、

未だに唖然として、あたふたしているルナの手首に糸を巻き付け、引っ張って走らせた。


「逃げ一択やろ!」


そう言って私たちはその場を後にするのだった。






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