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9.無詠唱魔法 旅の準備

王都だと話がつながらないことに気付き、『王都』を『首都』にしました。

「うっし、旅しよう。」

「「「?」」」

「雫も忘れてんのか。えーっと。俺たちが勇者やめたのは、ほかのから離れたいから、帰る方法探すため、観光だろ。ここにとどまったらダメじゃないか。確かに豚肉うまいけど。」


 いま、俺たちは豚肉屋で飯を食っていた。はじめはミカとユリアが、奴隷なのに同じものを食べていいのかと心配していた。しかし、米を見せるとミカが泣いて食べ始めた。ユリアもそれを見て食べた感じだ。


「あの、せっかく米と出会ったのにもう離れ離れになるんですか?」

「また出会えるだろうが。日本に行ければこれ以上にたらふく食えるぞ?」

「よし、行きましょう!!」


 ミカ。お前ってやつは。


「私はダイジョブです。」

「ユリアも大丈夫です。」


 雫とユリアもOKと。


「そういえば、帰る方法見つかったとして、ミカとユリアどうしよう。」

「ああ、そうですね。日本に連れていくとしてもミカちゃんはいいですけど、ユリアちゃんはエルフですもんね。」

「エルフだとダメなんですか?」

「いやな、日本には人間しかいないから確実にほかの人に信じてもらえるかどうか。」

「ユリアはみんなと離れたくないです。」


 ユリアが泣きそうな顔で見てくる。こんな時だってのに可愛いと思ってしまう。和む。


「よし、日本で魔法が使えるかにもよるが、何とかできる。耳を隠せばいいんだし。うん。何とかなる。ということで、二人ともその時は一緒に来るってことでいいのか?」

「「はい。」」

「じゃあそういうことで。あと、人間以外の国も行ってみたいな。聞いたところによると魔族の国とか精霊の国、獣人の国、竜種の国、その他さまざまあるんだろ?」

「えっと、ありますけどあまりお勧めできませんよ?魔族なんて誰でも襲ってきますし……。」

「でも、国があるなら行くべきだ。ぜったいに観光は欠かせない。」

「その観光も落ち着いてできるかわからないです。」

「ならば落ち着いてできる場を作るまで。」

「「はい、そうですか。」」


 ミカもユリアも俺に負けてくれた。


 ということで、話し合いを開始する。


「二人とも、ここから一番近い街ってどこだ?」

「えーと、ここからだとミレンが近いです。」

「そこを治める人は何かに強い未練でもあるのか?」

「えと、ミレンっていう果物があってそれをたくさん作っているからだそうです。」

「うん、安直だね」

「ミレン以外にもたくさんの果物を作っているようです。」

「なるほどな、ここは観光し甲斐がありそうだがここでいいか?」

「はい。」

「ユリアも大丈夫です。」

「じゃあ、ここでいいな。」


 とりあえず、場所は決定だな。


「ミカ、ここまでどれくらいかかる?」

「はい。えっと、馬車で3時間、歩いて半日かかりますね。」

「なるほど。」

「馬車はどれ位かかる?値段で。」

「えー、30分の道のりで50000エルです。」

「え?高くね?」


 これは高い、ヴァルトベアで懐があったまってるとは言えこれはきついっすわ。


「はい、貴族の乗り物ですからね。Aランク最上位か、Sランクでもなければ冒険者で使う人はいないと思います。」


 まあ、そうだろうな。この値段で普通に使う人いたらコワイわ。


「なるほどな。仕方ない空飛んでくか。」

「「「は!?」」」

「ん?だから空飛んでこうかと思って。」

「そんな魔法ありませんけど?」

「え?ないの?」

「あったらみんな使ってます。」


 なんだ出来ないのか。俺は試したら出来たんだけどな。


「はーそうなのか。……なんかできたんだけどな?」

「「ファ!?」」


 突然ミカとユリアが吹き出した。


「どした?」

「「それって魔術作ったんですか?」」


 おお、息ぴったり。


「うーん今まで無かったならそうなるんじゃない?って言っても無詠唱での複合魔法だけど。」

「?えっと、今までの魔法組み合わせて作ったっていうことですか?」

「Yes.」

「それでもすごいです!ヤバいです!オリジナル魔法作ったなんて。」

「そんなすごいのか?」

「はい!!」


 なんかミカやユリアによると、オリジナル魔法って魔法を極めたものしか作れないらしく、作った人は偉人として国の図書に乗るらしい。

で、基本的にはそれを使えるのは本人しかいないが、たまに誰でも使えるものを作る人もいるらしい。迎撃魔法ももともとオリジナル魔法だったらしい。

誰でも使えるものを作った人はさらに称えられ。誰にでも知られるほどになるという。


「魔法って基本詠唱ないと発動しないし、無詠唱は詠唱魔法を毎日使いまくって熟練度あげないと使えるようにならないらしいですし。そこまで行った人がほぼいないですし。」

「いやお前らでもできると思うよ無詠唱。」

「ファイ!?ほんとですかどうやるんですか?」

「ユリアも知りたいです!ものすごく。」


 そんなムズイことじゃないけどな。


「あのさ、詠唱が大事っていうのがもうね、間違ってる。詠唱なんてただの補助でしかないの。詠唱で魔法使うときの魔力の流れ意識して、その通りに魔力を流す。」

「でもそれくらいならやってみましたよ?」


 ミカがそういうけど、


「いや、お前ら魔法を使おうとしてるだろ?」

「はい、もちろんです…。」

「そうじゃなくて、魔力の形、流れだけを意識して作っていくんだよ。魔法ってのは魔力でおきる変化の一つであって、魔力=魔法じゃないんだから。スキルだって魔力使うのもあるだろ?だから、魔法を使おうとする必要はないんだよ。魔法を使おうとするからややこしい魔力になる。」

「え?ということはスキルでも、魔力を使うものなら魔力の流れさえわかれば、スキル持ってなくても使えるんですか?」

「ああ、むしろスキル使う感覚で魔法使ったら?スキルって詠唱しないだろ?」

「はい、なるほど、やってみます。」


 それから練習すること15分。


「できました!!ありがとうございます!ご主人様ぁー。これで中二病しなくて済みます。」


 まずミカができた。めっちゃ嬉しそうだな。そんなに中二病嫌だったか。まあ確かに痛いよなあの詠唱。


「あ?こんな感じ?…できた!!できました。」


 ユリアもできた。まあ、これは魔力制御になれてる天才の二人だからこんな短時間でできたんだけども。普通なら倍くらいはかかるだろう。


 とりあえず二人がくっついてくるので撫でておく。


「「うぅん。ふぁぁぁぁ。」」


 うん。和む。


「ご主人様、これを発表すれば歴史に最も名を残せますよ?誰でも無詠唱で魔法が使えるなんて。こっちの世界の教育が根本的に変わります。」

「いや、うるさいのもめんどいのもやなんで。」

「そうですか。そして、空飛ぶ魔法私たちも使えますか?」

「うん、お前らだと魔力が持たない。数分間なら飛べるけど。」

「そうですか。」

「お前らは雫と俺で運ぶので。」


 ということで、旅の準備完了だぜ。


「さて、明日出発するぞー。」

「「「おーーー」」」



――――今日の夜の話――――


 今回一緒に寝るのは、ユリアだった。


 普通にくっついてきた。体勢的には俺がユリアの背中から抱きかかえる感じかな。


 なんか最近特に人を怖がってる感じしないので、軽く首筋にかみついてみる。トラウマが蘇らないといいけど。


「ひぁ!?」


 びくっと震えて、声が聞こえた。ちょっとやっちまったかな?


 ユリアの顔を覗き込む。なんかやっちまったな。うん、俺のほうがトラウマになりそう。……そこには、恍惚とした表情を浮かべるユリアの顔があった。10歳がしていい表情じゃないだろ。


 よし、見なかったことにしよ。


「もうちょっと強くお願いします…。」


 人が忘れようとしてるときに。無視だ無視。


「もうちょっと強くかんでくださいぃ。」


 ああ、しかたねぇ。


「う、ぃあ。うぁ。」


 この日の夜は、俺のトラウマとなった。この記憶を分解したい。


ええ、ユリアこんなキャラにするつもりわなかったのよ。お母さんの教育が悪かったのね......。

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