七話
パートは工場で、一人作業が主だから、とても気が楽だ。
だが、更衣室での会話は別だ。
「おはようございます」
「おはよう不二さん」
更衣室に入ると、パートの中で一番顔が利くお局がいた。
私はこの人が苦手だ。
歯に衣着せぬ物言いをする人で、入り込んでほしくないところまで入ってくる。
何も話題を振られませんように。
早く他の人が来て、お局の話し相手になってくれますように。
しかし、そんな願いも虚しく、お局とは二人きりのままだ。
さっさと着替えを済ませ、更衣室を出よう。
そう思っていたのに。
「不二さん、あなたもう一日くらい出勤増やせない?」
お局の問いかけに固まる私。
「あ……。その、すみません。家庭の事情で厳しくて……」
「え〜そうなの? でも旦那さんの扶養からは外れないでしょう?」
「それはそうなんですけど……予定とかもありまして……」
「予定? 何の? 皆、子供がいる人だって協力的よ」
この圧に負けてしまえば、私はパートの出勤を増やすことになってしまう。
何を言われても、『無理』を貫き通すしかない。
「すみません……でも本当に……」
「何がそんなに忙しいのかしら。ねぇ?」
「……すみません……」
私が、『すみません』で乗り切ろうとしているのが伝わったのか、お局は苛立ちをしっかりと表に出しながら、更衣室から出て行った。
何と言われても、私は出勤を増やす気はない。
だけど、あの物言いは本当に嫌だ。
憂鬱な気分のまま、私はパートの時間をやり過ごした。




