三話
「もしもし?」
「愛莉〜今大丈夫?」
「大丈夫だよ」
私達は、お互いのパートがない日に、ダラダラ電話をするくらい仲が良い。
顔が見えないからというのも、仲良く出来る要因かもしれない。
「あのね〜、あかりがね……」
真実には虹太と同じ、五歳の女の子『あかり』がいる。
私達は、パートのことや夫、子どもの事等いつも話していた。
「あかりちゃん?」
「うん。あかりが兄弟欲しいって突然言い出してね〜……経済的にはやっとだし、でも作ってあげたいしって悩むんだよね……。愛莉の所はどう? 虹太くん、そういう事言ったりする?」
虹太に、兄弟をせがまれたことはなかった。
いてもいいなとは思うが、夫とあまり仲が良くないのがネックだ。
「虹太はまだ、そういうのは言ってこない〜。でも、うち、旦那と仲があんまり良くないから、言われても困るかもしれない」
私は、空気が重くならないように、明るく言った。
「そっかぁ、皆いろいろあるよね」
真実も軽く話を流し、その後は他愛もない雑談を続けた。
だが、なぜか頭から『第二子』の文字が消えなかった。
私……やっぱり欲しいのかもしれない。
真実との電話が終わって時計を見ると、もう午後二時半を過ぎていた。
「また長話してしまった……」
私は急いで、虹太を迎えに行った。




