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記憶  作者: 絲瀬


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二話

「あ、かなた大変。幼稚園の時間よ」

「本当だ。ママ、行こう」

「手、繋ぐ?」

「うん! 繋ぐ!」


私は幼稚園へ虹太を送った。


「じゃあね、かなた。頑張ってね」

「うん! 僕頑張るね。ママも頑張ってね」

「ありがとう」


幼稚園に連れて行っても、ぐずったことはない。

朝の忙しい時間に、スムーズに幼稚園に行ってくれるのは、母としてとても助かる。


私は虹太を見送ると、自宅に戻って家事をする。

あまり人付き合いが得意ではない私にとっては、この暮らしがとても心地良い。


これが我が家のいつものルーティン。


平凡かもしれないけど、何よりの幸せだと感じていた。


幼稚園に送ったあと、週に二回はパートに出ている。誰とも話さなくて済む、工場のパートだ。


だが、今日はパートがない日。


午後二時半になれば、また虹太を迎えに行く時間だ。

家事を終わらせて、それまではしばらく休もう。


午前十一時。

私のスマホが鳴った。


人付き合いが苦手な私の、唯一の友人、『真実』からだった。


真実は、数年前にインターネットで知り合った人だ。

実際に会ったことはないが、同世代ですごく気も合うことから、ずっと交流が続いている。


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