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第7話 生って言葉はビールだけでいいと思う

臭い


みなさんはこの言葉の事を考えたことがありますか?


僕はあります。


高校の時から始まった。


自転車にも乗れないくらい太ったD君から放たれる凶悪な香り。


職場にいる様々な香りを放つ常識から逸脱した存在達。


タバコをコーヒーで煮詰めた様な香りを口から放つ、風呂キャンTさん。


風呂と歯磨きの仕方を忘れてしまい、歯をも失ったM君。


冬でも服をビショビショにする多汗症のS君。


臭いという枠組みから解き放たれた最強のスーパークサイヤ人Nさん。


他者の鼻腔を支配し、スメハラの象徴たる環境破壊四天王。


それらと10年以上接し続けた僕は、若干の潔癖症と匂いに対して敏感な身体に改造されていた。


「んーいい匂いがする」


「バレました? マウスウォッシュあって使ったんですよー、4日前は見つけられなくてどこかなーって思ってました」


なにそれずるい!!!


場所を聞き出し、すぐにマウスウォッシュで己のオジ臭を上書きする。

スメハラにより、自分のニオイもあんななのか? と思う様になり、僕は自分のニオイにも敏感太郎になっていたから、ありがたかった。


今思うとアメニティに詳しいことに、少しばかりは引っ掛かるべきだった。


「んー酔いすぎちゃった水飲みたいなぁ」


「はいこれ」


「飲ませてください」


部屋に無料で置かれていたペットボトルを、小気味のいい音と主に開封し、翠ちゃんの口に近づける。


「ちがう」


とろんとした瞳が喉の渇きを訴える。


「口で飲まして欲しいの」


こ、これは!?


イモタが言ってたやつだああぁぁぁぁぁ!!!


あんなにも自慢しまくっていたイモタの口移しエピソードが、嘘だと思っていた幻が、目の前で待ち構えている。


もちろんやった。


これは翠ちゃんの性なる癖なんだろう。


そこからは前回と同じ


ではなく


酔った翠ちゃんの熱く、情熱的な交わりにより、僕ら2人は溶け合った。


「ゴムと生どっちが好きですか?」


ほぇええ?


なんだその質問、ビールの話か?


いいや今僕の上で、耳元に囁く悪魔が言った意味はソレしかない。


「そりゃ、な、生だけど、けどさ?」


「もう入っちゃいました」


数年間否定されていた僕から妻への愛が馬鹿馬鹿しくなるほど


いとも簡単に翠ちゃんは、0.01という壁を乗り越え、僕を優しく艶かしく包み込んだ。


だめだ


でも


僕の上で能動的に動く翠ちゃんを


僕は止めることができなかった。


「バックいいかな?」


「はい」


体位を変えようとした時だった。


あれ


入らんぞ?


あっれれー


翠ちゃんの潤いは失われ、そうこうしているうちに


チンポゥ様の輝きが失われお辞儀をするまでが必然であった。


「ご、ごめぇ!?」


謝る隙もなく僕の口へと勝手に入り込む。


終わりでは無いと、大きな瞳が入っていた。


僕らは保健の教科書から逸脱し、熱くまぐわい、重なり


そして


白い花火を打ち上げた。


「ああ! 垂れちゃう」


中折れと実家への帰省により、強制オナ禁を余儀なくしていた息子は


異常な興奮と、喜びから


見たことのない量の小さき輝きを、翠ちゃんの小さな腹部へ吐き出した。


これが


これが欲しかったんだろう。


本当は妻から欲しかった。


やわらかな口調による対話


子供に対する優しさ


そして



愛の肯定



きっとこの日


この瞬間


砂漠にオアシスを見つけてしまったんだろう。


この言葉と共に


「明日帰るんですよね。 迷惑じゃなきゃ連絡してもいいですか?」


もちろん断らなかった。


この時の僕はまだ知らない。


身体を許したことよりも、連絡を許した事の方が、僕の罪はさらに深く、色濃くしたことを。


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