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不思議な宇宙(そら)のもとで  作者: まほ。かんた。
不思議な聖夜の遊園地
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第八章 不思議な聖夜の遊園地④

第八章 第四話です。


ミニとリブラから、

テツロウという名のバトンが引き継がれます。


次の案内役は、

エミとリウス。


クリスマスイルミネーションに彩られた遊園地で、

不思議な時間が続いていきます。

■第八章 第四話


 冬の遊園地を見下ろしながら、

 ミニとリブラは並んで歩いていく。


 イルミネーションが輝き、

 楽しげな音楽が響く園内。


 テツロウを乗せたバイキング船は、

 二人によって大切そうに運ばれていた。


 「次は誰だったっけ?」


 テツロウが尋ねる。


 「ふふっ♪」


 リブラが微笑む。


 「もうすぐわかりますよ」


 その時だった。


 「あっ!」


 ミニが前方を指差す。


 「いたいた!」


 テツロウも視線を向ける。


 すると――


 少し先に、

 二人の巨大な少女の姿が見えた。


 長い青髪を揺らすエミ。


 そして。


 銀色の短髪が印象的なリウス。


 二人は何かを囲むようにして、

 こちらを待っている。


 やがてミニとリブラは歩みを止めた。


 目の前に広がっていたのは、

 コーヒーカップのアトラクション。


 いくつものカップが並び、

 中央の円盤の上で静かに待機している。


 もっとも――


 テツロウにとってはアトラクションでも、

 巨大なエミとリウスにとっては、

 まるで大きなティーセットのようにも見える。


 そんな場所で、

 二人はしゃがみ込みながらこちらを見つめていた。


 「兄さん」


 エミが柔らかく微笑む。


 「お待ちしていました」


 「テツ兄ー!」


 リウスも大きく手を振る。


 「次はボクたちの番だよ!」


 ミニは嬉しそうに笑った。


 「はい!

  無事お届けしましたー!」


 「お預かりしていたお客様です♪」


 リブラも楽しそうに続ける。


 そして二人は、

 テツロウを乗せた船をゆっくりと地面へ降ろした。


 「ありがとうございました」


 エミが小さく頭を下げる。


 その直後。


 エミとリウスが、

 そっと身を寄せるように顔を近づけた。


 巨大な二人の顔が、

 視界いっぱいに広がる。


 「兄さん。

  目は回っていませんか?」


 エミが心配そうに尋ねた。


 「さっきまでバイキングでしたから」


 優しい声。


 どこか看病の時を思い出すような、

 穏やかな口調だった。


 「大丈夫だよ」


 テツロウが答える。


 「少し揺れたけど平気だ」


 「そうですか」


 エミはほっとしたように微笑んだ。


 その表情を見ていると、

 なぜだかこちらまで安心してしまう。


 すると今度は。


 「よかったー!」


 リウスが明るく声を上げる。


 「じゃあ安心して回せるね!」


 「おいおい」


 テツロウが苦笑する。


 「そんなに回す気なのか?」


 「ほどほどですよ?」


 エミがくすりと笑う。


 「たぶんね!」


 リウスも笑った。


 その返事に、

 テツロウは少しだけ不安を覚えながらも、

 思わず笑ってしまう。


 次なる舞台は、

 コーヒーカップ。


 エミとリウスによる案内が、

 今始まろうとしていた。


 誰もハンドルに

 触れていないにもかかわらず、

 カップはまるで意思を持っているかのように、

 ふわりと滑らかに回転を始めたのだ。


 「わっ……!」


 心地よい旋回が始まり、

 周囲の景色がゆっくりと動き出す。


 外側では、エミとリウスが優しく腰を下ろし、

 その大きな体を折りたたむようにして

 テツロウを見守っていた。


 「兄さん、始まりましたね」

 「テツ兄、いい感じ~!」


 二人の声が重なり、

 カップの回転速度が少しずつ増していく。


 テツロウは、

 カップの中心から外の景色を

 見上げようと顔を上げた。


 しかし、回転の勢いに身体が

 わずかに揺れ、視界は安定しない。


 視界の中では、二人の巨大な膝から先が、

 コーヒーカップの旋回に合わせて

 流れるように通り過ぎていく。


 (うわ……回るたびに、視界が……)


 見上げようとしても、

 回転する視界は容赦なく彼女たちの

 サンタ衣装を映し出す。


 サンタ服の赤い布地が、

 ふわり、ふわりと

 カップの回転速度に合わせて踊る。

 風に捲れるスカートの襞(ひだ)が、

 視界の端から端までを横切るたび、

 テツロウは目を逸らすことができなかった。


 しゃがみ込んでいる彼女たちの、

 圧倒的なスケール感。

 その裾の向こう側、

 カップが旋回するたびにチラリと、

 そして隠れるようにして、

 柔らかな気配が視界をよぎる。


 直接的なものではない。


 しかし、回転する景色と

 赤いサンタ衣装が織り成す光景は、

 まるで万華鏡のように変化し続け、

 テツロウの記憶に深く刻まれていった。


「兄さん、楽しんでますか~?」

「テツ兄、もっと回っちゃえ~!」


 「兄さん?」


 エミがくすりと笑う。


 「さっきから、

  きょろきょろしていますけど……」


 コーヒーカップは、

 ゆっくりと回転を続けている。


 「どこを見ているんですか?」


 どこか悪戯っぽい声音。

挿絵(By みてみん)

 「えっ」


 テツロウは思わず言葉に詰まった。


 「いや、その……」


 視線を逸らす。


 しかし、

 回転するカップの中では、

 逃げ場もない。


 「ふふっ♪」


 エミが楽しそうに微笑む。


 「兄さん、困ってますね」


 「ほんとだ!」


 リウスも笑顔になる。


 「テツ兄、

  なんだか可愛いかも!」

挿絵(By みてみん)

 「おい……」


 テツロウは苦笑した。


 だが。


 そんな反応さえも、

 二人にはどこか愛おしく見えてしまう。


 普段は頼れる兄。


 けれど今は、

 小さなコーヒーカップの中で、

 少しだけ振り回されている。


 その様子が、

 なぜだか微笑ましかった。


 エミとリウスは顔を見合わせる。


 そして楽しそうに微笑んだ。。


 テツロウは、

 楽しそうに笑う二人を見上げた。


 「二人とも、

  そんなに楽しいのか?」


 そう尋ねると。


 エミは一瞬きょとんとして、

 やがて優しく微笑んだ。


 「もちろんです」


 そして。


 「兄さんが楽しそうにしてくれているのを、

  こうして見ていられるんですから」


 穏やかな声。


 その隣で、

 リウスも満足そうに頷く。


 「そうだよ、テツ兄!」


 「一緒に遊んで、

  いっぱい反応してくれて、

  いっぱい話してくれて」


 「それだけで十分楽しいもん!」


 テツロウは少し驚く。


 そんなものだろうか。


 しかし。


 エミもリウスも、

 冗談を言っている様子はなかった。


 ただ純粋に。


 こうして同じ時間を過ごしていることを、

 楽しんでいるようだった。


 「兄さん♪」


 「テツ兄♪」


 二人は顔を見合わせ、

 楽しそうに笑う。


 その笑顔を見ていると、

 テツロウも自然と頬が緩むのだった。


 「テツ兄」


 リウスが楽しそうに声をかける。


 「もっと楽しんでもらうね!」


 その直後。


 巨大な手が、

 ゆっくりとコーヒーカップのアトラクションへ伸びた。


 回転していた円盤に、

 そっと指先が触れる。


 すると。


 ぐるぐると回っていたコーヒーカップは、

 ゆっくりと速度を落としていった。


 「え?」


 テツロウが見上げる。


 リウスは悪戯っぽく笑った。


 そして。


 コーヒーカップが載っていた円盤ごと、

 そっと持ち上げた。


 まるで。


 ティーカップを載せたトレーを

 持ち上げるかのように。


 「わっ!?」


 テツロウの視界が、

 一気に高くなる。


 巨大なリウスの姿が、

 今までよりもずっと近くなった。


 「どう?」


 リウスは、

 円盤の上にあるコーヒーカップを覗き込む。


 その顔は、

 まるでお気に入りの飾りを眺める子供のように

 楽しそうだった。


 「テツ兄、

  景色変わったでしょ?」


 確かに。


 さっきまで見えていた遊園地の景色とは、

 まったく違う。


 今見えているのは、

 巨大なリウスの笑顔だった。


 「エミも、テツ兄をもっと見る?」


 リウスが楽しそうに尋ねる。


 「そうですね」


 エミは微笑みながら頷いた。


 そして。


 円盤の上に置かれていた

 テツロウの乗るコーヒーカップへ、

 そっと手を伸ばす。


 壊れ物を扱うような慎重さで。


 コーヒーカップは、

 円盤から静かに持ち上げられた。


 「わっ……!」


 テツロウの視界がふわりと揺れる。


 次の瞬間。


 エミは優しく

 コーヒーカップを持ち上げると


 コーヒーカップごと移されたテツロウは、

 思わず顔を上げた。


 「兄さん♪」


 すぐ近くで、

 エミが優しく微笑んでいる。


 まるで、

 お気に入りのティーカップを

 眺めるように。


 けれど。


 その視線の先にいるのは、

 コーヒーカップではなく、

 テツロウ自身だった。


 エミは

 そっと持ち上げてる

 コーヒーカップを見つめる。

挿絵(By みてみん)

 そして。


 ゆっくりと顔を近づけた。


 「兄さん♪」


 巨大な顔が迫ってくる。


 テツロウの視界は、

 あっという間にエミで埋め尽くされた。


 「な、なんだ?」


 思わず身構える。


 しかし。


 エミはそれ以上近付こうとはせず、

 くすりと笑った。


 「ふふっ♪」


 「やっぱり兄さん、

  そういう反応をするんですね」


 「そりゃするだろ……」


 テツロウは苦笑する。


 すると。


 エミは少しだけ首を傾げた。


 「どうしてですか?」


 「どうしてって……」


 返答に困る。


 近すぎる。


 ただそれだけなのに、

 言葉にしようとすると妙に難しい。


 そんな様子を見て、

 エミの笑みが少し深くなった。


 「ふふっ♪」


 「兄さんは本当に素直ですね」


 その隣では、

 リウスも楽しそうに頷いている。


 「テツ兄、

  顔に出やすいもんね!」


 「おい……」


 困ったように返すテツロウ。


 だが。


 そんな反応が、

 二人にはたまらなく微笑ましかった。


 「兄さん♪」


 「テツ兄♪」


 二人は顔を見合わせて笑う。


 どうやら。


 コーヒーカップを楽しんでいたのは、

 テツロウだけではないらしかった。


 やがて。


 エミは掌の上のコーヒーカップを

 そっと見つめる。


 「兄さん」


 優しい声。


 「そろそろ次の場所へ向かいましょうか」


 「ああ」


 テツロウが頷く。


 すると。


 エミはコーヒーカップごと、

 テツロウを大切そうに抱える。


 壊れ物を扱うように。


 まるで、

 お気に入りのティーカップを

 運ぶかのように。


 「兄さん、

  ちゃんと掴まっていてくださいね」


 「わかった」


 その隣では、

 リウスも楽しそうに立ち上がった。


 「次はエアリさんたちだね!」


 「はい」


 エミが微笑む。


 冬の遊園地を見下ろしながら、

 二人はゆっくりと歩き始める。


 イルミネーションの灯りが流れ、

 楽しげな音楽が遠くから聞こえてくる。


 そして。


 テツロウを乗せたコーヒーカップは、

 次なるアトラクションへ向けて

 大切そうに運ばれていくのだった。



■第八章 第五話へ続く

第八章 第四話をお読みいただき、

ありがとうございました。


今回は、

エミとリウスによるコーヒーカップのお話でした。

バイキングとはまた違う、

穏やかで賑やかな時間を

楽しんでいただけましたら幸いです。


次回は、

また新たなアトラクションへ向かいます。


※挿絵はAIを用いて作成しています。

 AIの仕様や制約により、

 イメージ通りに再現できていない部分もありますが、

 あくまで参考イメージとして

 補完しながらお楽しみいただければ幸いです。


※作品の感想なども

 お聞かせいただけましたら幸いです。

 今後の創作の励みになります。


次回 第八章 第五話は

9月18日(金)公開予定です。

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