第八章 不思議な聖夜の遊園地①
第八章「不思議な聖夜の遊園地」スタートです。
忘年会も終わり、
季節はいよいよクリスマスイブへ。
テツロウ達は、
新たに発見されたスターライトの反応を追い、
『天の川遊園地』へ向かうことになります。
巨大な仲間たちに囲まれながら過ごす、
少し不思議な聖夜。
今回から始まる新たな物語を、
お楽しみいただければ幸いです。
【登場人物】
・青星テツロウ
・赤井エアリ
・青星リオ
・紫雲タリア
・青星エミ
・青星ミニ
・桃野リブラ
・銀水リウス
・銀水ピスカ
■第八章 第一話
十二月中旬――
テツロウは、
ログハウスの大広間のテーブルで、
仕事をこなしていた。
そのすぐ隣では――
巨大なエアリが、
静かに彼を見守っている。
「テツロウさん。
体調は大丈夫です?」
エアリが、
心配そうに顔を覗き込んでくる。
頭上いっぱいに広がる、
巨大な赤髪と黄色いメガネ。
テツロウは思わず苦笑した。
そういえば今日も普通に出勤したはずなのに、
気づけばまた、
大きなエアリにここへ
連れて来られていたのだった。
「エアリちゃん。
大丈夫だよ」
そう答えると、
エアリはほっとしたように微笑む。
「よかったです。
この前、体調も崩されましたし……
お酒もかなり飲んでらっしゃいましたから」
「うっ……」
忘年会を思い出し、
テツロウは少し視線を逸らした。
するとエアリは、
ふと思い出したように言った。
「そうそう、テツロウさん。
こちらをご覧になってください」
次の瞬間。
テツロウの体が、
ふわりと持ち上がる。
エアリが、
優しく抱え上げたのだ。
巨大なノートパソコンの前まで運ばれ、
片腕で抱きかかえられたまま
画面を見せられる。
そこには――
【スターライト出現ポイント:天の川遊園地】
【出現条件:不明】
【出現日時:○○年12月24日】
と表示されていた。
「……遊園地?」
テツロウが呟く。
エアリは、
小さなテツロウを
より深く自身の傍へ寄せ前のめりにながら、
不思議そうに首を傾げた。
「どういうことなんでしょうね?
出現条件が不明だなんて……」
「エアリちゃん、あたって……」
「うふふ。
遠慮しなくていいんですよ?」
エアリは楽しそうに笑う。
それでも、
視線は真剣だった。
スターライト。
しかも、
クリスマスイブ限定。
テツロウは、
表示された画面を見つめながら小さく呟く。
「……親父が言ってたな」
「え?」
「特定の時期に、
特定の行動をすると
出現するスターライトもあるって」
エアリは少し驚いたように、
テツロウを見下ろした。
「そんな種類まであるんですか……?」
「俺も詳しくは知らないけどな。
ただ……
条件付きのスターライトは存在するらしい」
するとエアリは、
ふっと微笑む。
「でしたら――」
そして、
小さなテツロウを優しく抱え直した。
「テツロウさん。
クリスマスですし、
遊園地で遊んでみたらどうでしょう?」
「遊ぶ……?」
「はい。
もしかしたら、
それ自体が条件なのかもしれません」
なるほど、とテツロウは思う。
確かに、
今までのスターライトも、
何らかの条件に反応していた。
その時だった。
「ただいまー! 兄さん!」
「兄ちゃん、ただいまー!」
ログハウスの入口から、
エミとミニの声が響く。
二人は学校帰りらしく、
そのまま大広間へ駆け込んできた。
ミニはすぐに、
エアリに抱えられているテツロウを見つける。
「兄ちゃん!
エアリさんと何やってるの?」
「スターライトの調査ですよ」
エアリが説明すると、
ミニの目がぱっと輝いた。
「遊園地!?
なにそれ!
絶対面白そう!」
エミも、
少し嬉しそうに微笑む。
「クリスマスに……
兄さんと遊園地、ですか」
その言葉に、
ミニも勢いよく頷いた。
「行こうよ、兄ちゃん!
絶対楽しいって!」
巨大なミニが、
テーブル越しに身を乗り出してくる。
その勢いに、
テツロウは少しのけ反った。
「わ、わかったから近い近い……」
するとエアリが、
くすりと笑う。
「ふふ。
どうやら決まりみたいですね」
その時だった。
大広間の入口から、
再び声が聞こえてくる。
「失礼しますわ」
「お邪魔します、テツロウ氏」
現れたのは、
リオとタリアだった。
どうやら大学帰りらしく、
二人とも冬用のコート姿である。
巨大なリオは、
室内へ入るなり、
エアリに抱えられている
テツロウへ視線を向けた。
「お兄様。
本日もエアリさんに保護されていたのですね」
「いや、別に保護ってわけじゃ……」
「ふふ」
リオは楽しそうに微笑む。
一方、
タリアは巨大なノートパソコンの
画面へ目を向けた。
「ん?
天の川遊園地?」
「スターライト反応が出たんです」
エアリが説明すると、
タリアの目が少し輝く。
「ほう……
遊園地ですか」
「しかも、
出現条件が不明なんです」
「条件付きスターライト……
面白いですね」
タリアは興味深そうに呟く。
するとミニが、
勢いよく手を上げた。
「ねえねえ!
みんなで遊園地行こうよ!」
「ミニちゃん、
まだ決まったわけでは――」
「でも、
条件探さないといけないんでしょ?」
ミニは、
きらきらした目でエアリを見る。
「だったら、
いっぱい遊べばいいんじゃない?」
その言葉に、
タリアが小さく吹き出した。
「はは。
確かにそれは合理的かもしれませんね」
リオも、
静かに頷く。
「クリスマスの遊園地……
素敵ですわね」
そう言いながら、
リオはそっとテツロウへ顔を近づけた。
「お兄様も……
たまには息抜きが必要です」
頭上いっぱいに広がる、
巨大なリオの微笑み。
テツロウは、
少し困ったように苦笑した。
「なんか、
行く流れになってないか……?」
するとリオが、
ふと思い出したように顔を上げた。
「そうですわね。
せっかくですし、
リブラさんもお誘いしてみましょうか」
「あ、それいい!」
ミニが嬉しそうに声を上げる。
「リブラちゃん、
きっと喜ぶと思う!」
するとエミも、
小さく頷いた。
「みんなで行くのでしたら、
リウスさんやピスカさんにも
声をかけてみますね」
「確かに、
その方が賑やかになりそうですね」
タリアも楽しそうに微笑む。
気が付けば、
遊園地探索の話は、
どんどん大きくなっていた。
「……もう完全に決定事項だな」
テツロウがそう呟くと、
皆は楽しそうに笑うのだった。
するとエアリが、
優しくテツロウを抱え直しながら微笑む。
「はい。
クリスマスイブ、
みなさんで天の川遊園地へ行きましょう」
ログハウスの窓の外では、
冬の夕暮れが静かに広がっていた。
するとエアリが、
優しくテツロウを抱え直しながら微笑む。
「はい。
クリスマスイブ、
みなさんで天の川遊園地へ行きましょう」
ログハウスの窓の外では、
冬の夕暮れが静かに広がっていた。
そして――
12月24日。
青星家・地下二階。
『宇宙のもと』の装置前。
静かな地下空間には、
わずかに機械音が響いている。
転送装置の周囲では、
エミ達がそれぞれ準備を進めていた。
赤と白を基調にした、
クリスマス仕様の衣装。
等身大のサンタガール姿の彼女達を見て、
テツロウは少し苦笑する。
「なんというか……
本当にクリスマスって感じだな」
「ふふ。
せっかくですから」
エアリが微笑む。
その隣では、
ミニがくるりとその場で回ってみせた。
「どうどう?
兄ちゃん!
似合ってる?」
「うん。
似合ってるよ」
「えへへー♪」
ミニは満足そうに笑った。
一方、
エミは少し照れた様子で、
スカートの裾を整えている。
「兄さん……
その、変じゃないですか?」
「そんなことないって。
エミも似合ってるよ」
「……ありがとうございます」
エミは、
ほっとしたように微笑んだ。
リオは、
落ち着いた雰囲気のサンタ衣装姿で、
静かにテツロウを見つめている。
「お兄様。
本日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
リオは、
優雅に小さく頭を下げた。
一方、
タリアは端末を確認しながら頷く。
「『宇宙のもと』側の調整は完了しています。
現地側への反映も問題なさそうですね」
エアリも、
モニターへ視線を向けながら続ける。
「スターライト反応も継続中です。
やはり、
天の川遊園地で間違いなさそうですね」
画面には、
【スターライト反応確認】
【ポイント:天の川遊園地】
と表示されていた。
するとテツロウは、
ふと思い出したように顔を上げる。
「そういえばエアリちゃん。
現地集合でよかったんだっけ?」
「ええ」
エアリは優しく頷く。
「わたし達も、
遊園地の最寄り駅まで行きますので。
テツロウさんは、
直通列車で来てくださいね」
「なるほど。
駅で合流ってことか」
「はい。
その方が自然ですから」
エアリは、
少し楽しそうに微笑んだ。
するとミニが、
勢いよく身を乗り出す。
「兄ちゃん!
クリスマスの電車って、
なんかワクワクするよね!」
「まあ、
確かにな」
「イルミネーションとかあるかなー!」
ミニは、
もう遊園地気分らしい。
その様子を見て、
エミもくすりと笑う。
「兄さん、
ちゃんと迷子に
ならないでくださいね?」
「子供扱いしてないか?」
「ふふ。
どうでしょう?」
エミは少し楽しそうだった。
その時だった。
「テツロウ氏。
こちらをどうぞ」
タリアが、
何かを差し出してくる。
小さな赤いサンタ帽子だった。
白いふわふわの縁取りがついた、
クリスマス仕様である。
「クリスマスですしね」
タリアは、
少し楽しそうに笑った。
「タリアちゃん、
ありがとう」
テツロウは帽子を受け取り、
軽く被ってみせる。
「クリスマスかぁ……」
そして、
小さく笑った。
「――では、
行ってくるか」
次の瞬間。
転送装置の光が、
静かに地下空間へ広がっていく。
しばらくして――。
テツロウは、
見慣れた部屋で目を覚ました。
青星家。
自分の部屋だ。
どうやら、
『宇宙のもと』側への
反映は無事完了したらしい。
「……そうか」
テツロウは小さく息をつく。
遊園地の最寄り駅で、
みんなと待ち合わせだったか。
リオやタリアちゃん達も、
一緒に電車で行けばいい気もするけど……
どうなんだろうな。
まあ、
駅へ向かうか。
テツロウはサンタ帽子を軽く被り直し、
部屋を後にした。
そして――
駅へ到着したテツロウは、
思わず足を止める。
ホームに停車していたのは、
いつもの通勤電車。
だが――
表示されている種別と行先が違っていた。
【直行:天の川遊園地前】
「……これに乗るのか」
クリスマスイブ限定列車なのだろうか。
車内も、
どこかいつもより華やかだった。
イルミネーション風の装飾。
クリスマスソング。
どこか浮かれた空気。
テツロウは、
少し不思議な気分になりながら席へ座った。
電車に揺られること、
数十分――
やがて列車は、
ゆっくりと減速を始める。
車窓の向こうには、
巨大なイルミネーションが見えていた。
そして車内アナウンスが響く。
『まもなく――
天の川遊園地前駅です』
「着いたか」
テツロウは立ち上がり、
ホームへ降り立った。
その瞬間だった。
「テツロウさん、
お疲れ様です」
頭上から、
優しい声が降ってくる。
「うわっ!?」
テツロウが顔を上げる。
そこには――
巨大なエアリがいた。
クリスマス仕様のサンタ衣装。
冬空を背にした、
巨大な赤髪の女性。
その隣では、
リブラも微笑みながら立っている。
「テツロウ様。
本日はさらに可愛くなってますね~
とっても素敵です♪」
「リブラさんまで……」
困惑するテツロウに、
エアリがくすりと笑う。
「今回は、
遊園地の設備などを考慮して、
1/50サイズ設定にしていますので。
前回より、
テツロウさんが可愛く見えているはずですよ」
「……なに言ってるんだ?」
テツロウは思わず苦笑した。
ホームへ降り立ったテツロウの頭上には、
巨大なエアリとリブラの姿が広がっている。
クリスマスイルミネーションに照らされた、
巨大なサンタガール達。
その非現実的な光景に、
テツロウは改めて困惑するのだった。
「テツロウ様。
こちらへどうぞ♪」
リブラが、
ゆっくりとかがみ込む。
そして、
テツロウのそばへ、
巨大な掌をそっと差し出した。
イルミネーションの光に照らされた、
白く柔らかな手。
テツロウは少し苦笑しながら、
その掌へ乗る。
するとリブラは、
嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱり……
テツロウ様、とっても素敵です♪」
そのまま、
リブラはテツロウを優しく抱え上げる。
そして――
そっと自分の頬へ寄せた。
「うわっ、近い近い……」
突然広がる、
リブラの柔らかな桜色の髪。
甘い香り。
ほんのり伝わる体温。
テツロウは困惑しながらも、
思わず考えてしまう。
……リブラさん、
いい香りするな。
するとエアリが、
くすりと笑った。
「テツロウさん。
本日は二人ずつでご案内させていただきますね」
「……二人ずつ?」
「はい♪
テツロウさん、とても人気ですので」
エアリは、
少し楽しそうに続ける。
「誰が最初にご案内するか、
福引で決めさせていただきました」
「どういうことなんだろう……」
テツロウは、
思わず首を傾げる。
その小さな仕草を見て、
リブラがまた嬉しそうに声を漏らした。
「テツロウ様……
本当に可愛いです♪」
「いや、
だからそういう扱いは……」
しかし、
リブラはもう完全に微笑ましそうに、
テツロウを見つめていた。
一方、
エアリは端末を確認しながら、
にこりと微笑む。
「それでは――
最初のアトラクションへご案内しますね♪」
クリスマスイルミネーションに彩られた、
天の川遊園地。
その中を――
エアリと、
テツロウを頬へ寄せたリブラが、
ゆっくりと歩いていく。。
クリスマスイブ限定の、
不思議なスターライト探索が、
いよいよ始まろうとしていた。
■第八章 第二話へつづく
第八章 第一話をお読みいただき、
ありがとうございました。
いよいよクリスマス編が始まりました。
今回は、
天の川遊園地へ向かうまでのお話でした。
クリスマスイルミネーションに彩られた遊園地で、
いよいよ新たなスターライト探索が始まります。
※挿絵はAIを用いて作成しています。
AIの仕様や制約により、
イメージ通りに再現できていない部分もありますが、
あくまで参考イメージとして
補完しながらお楽しみいただければ幸いです。
※作品の感想なども
お聞かせいただけましたら幸いです。
今後の創作の励みになります。
次回 第八章 第二話は
9月8日(火)公開予定です。




