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不思議な宇宙(そら)のもとで  作者: まほ。かんた。
不思議な虚空の中の宴
57/71

第七章 不思議な虚空の中の宴⑦

いよいよ忘年会が始まります。


料理に、乾杯に、賑やかな仲間達。


そして今回は、タリアへの少し遅れた誕生日祝いも。


年末らしい温かな時間をお楽しみください。


【登場人物】

・青星テツロウ

・赤井エアリ

・青星リオ

・紫雲タリア

・桃野リブラ

・銀水ピスカ

■第七章 第七話


 しばらくして。


 大テーブルから少し離れた場所に置かれていた、

 丸いテーブルへ、

 皆がゆっくり移動していく。


 ピスカ。


 タリア。


 リブラ。


 リオ。


 エアリ。


 そして、

 中央付近には小さなテツロウ用の席。


 先ほどまでの賑やかな忘年会とは違う。


 大人たちだけの、

 落ち着いた酒席が始まろうとしていた。


 テツロウが席へ腰掛けると、

 ピスカが優しく微笑む。


 「ふふ♪

  ここからはこちらを呑みましょうか」


 そして。


 ドン、と。


 一升瓶が、

 丸いテーブルへ置かれた。


 「おお……」


 テツロウが思わず見上げる。


 巨大な皆にとっては普通の酒瓶でも、

 今のテツロウにとっては、

 まるで巨大なビルのような大きさだった。


 「ピスカさん……」


 するとピスカは、

 くすりと優しく笑う。


 「はい♪

  テツロウちゃんはこちらですわ」


 そう言いながら、

 テツロウ用の小さなお猪口を用意した。


 「おお、ありがたい……」


 すると今度は、

 タリアが酒瓶へ手を伸ばす。


 「では、テツロウ氏。

  私が注いであげますね」


 タリアは少し嬉しそうに笑いながら、

 巨大な一升瓶をゆっくり傾ける。


 そして。


 テツロウ用の小さな小さなお猪口へ、

 丁寧に日本酒を注いでいった。


 とくとく、と。


 静かな音が、

 暖かなログハウスへ響いていく。


 ピスカは、

 テツロウ用の小さなお猪口へ酒を注ぎ終えると、

 今度はタリアへ視線を向けた。


 「タリアさん。

  お誕生日おめでとうございます♪」


 「ありがとうございます」


 「もう二十歳ですものね。

  タリアさんも少しどうですか?」


 そう言いながら、

 ピスカは日本酒の瓶を軽く持ち上げる。


 するとタリアは、

 少し照れたように笑った。


 「……では。

  せっかくですし、少しだけ」


 リオが嬉しそうに微笑む。


 「ふふ♪

  タリアさんのお酒姿、少し新鮮ですわね」


 「いや、そんな大したものじゃ……」


 タリアは苦笑しながら、

 自分のお猪口を受け取った。


 その時だった。


 ピスカの視線が、

 向かい側へ座っていたリブラへ向く。


 「……あら?

  お初ですね♪」


 「あっ、はい!」


 リブラは姿勢を正し、

 ぺこりと頭を下げた。


 するとリオが、

 穏やかに紹介する。


 「私たちが通っている大学の同級生で、

  アイドル活動をされているリブラさんです♪」


 「はじめまして~♪

  桃野リブラです!」


 リブラは明るく笑いながら、

 小さく手を振った。


 「リオ様とテツロウ様に誘っていただいて、

  今日は参加させてもらってます♪」


 「まあ♪

  そうでしたのね」


 ピスカは優しく微笑む。


 そして次の瞬間。


 くすり、と。


 少し楽しそうに、

 テツロウへ視線を向けた。


 「テツロウちゃん。

  また女の子を口説いたの?」


 「ぶっ!?」


 思わずテツロウがむせる。


 するとリブラが、

 きょとんとした後、

 楽しそうに笑い出した。


 「えっ、そういう感じなんですか~?♪」


 「違う違う違う!」


 「ふふ♪」


 ピスカは、

 どこか面白そうに肩を揺らしていた。


 やがて。


 皆へ酒が行き渡った頃。


 ピスカは、

 小さくお猪口を持ち上げながら微笑む。


 「せっかくですし♪

  改めて乾杯しましょうか」


 するとリブラが、

 嬉しそうに頷いた。


 「いいですね~♪」


 タリアも、

 少し赤くなった顔のままお猪口を持ち上げる。


 リオとエアリも、

 穏やかに微笑んでいた。


 そしてピスカは、

 テーブル中央の小さなテツロウへ視線を向ける。


 「テツロウちゃん。

  お願いしますわ♪」


 「え、また俺?」


 「うふふ♪

  本日の主役みたいなものですもの♪」


 「いや、タリアちゃんの誕生日なんだけど……」


 「でも、

  皆テツロウちゃん囲んで呑んでますわよ?」


 「……否定できない」


 リブラが、

 くすくす笑う。


 「確かにそうですね~♪」


 テツロウは苦笑しながら、

 小さなお猪口を持ち上げた。


 周囲には、

 巨大なお猪口達。


 暖かな照明。


 静かな冬の夜。


 そして、

 優しく自分を囲む皆の姿。


 テツロウは小さく息を吐く。


 「じゃあ――」


 静かな酒席の中。


 テツロウは、

 少し照れながら笑った。


 「タリアちゃんの誕生日と、

  今年一年に――乾杯」


 『乾杯♪』


 穏やかな声と共に、

 巨大なお猪口がゆっくり掲げられる。


 静かな乾杯の音が、

 冬のログハウスへ優しく響いた。


 宴は、まだ続いていた。


 お猪口が重なり。


 笑い声が増え。


 暖かなログハウスには、

 ゆったりとした酔いが回り始めている。


 そして――


 「ではここで♪」


 突然。


 ピスカが楽しそうに立ち上がった。


 「テツロウちゃん、

  スペシャルゲーム開催ですわ~♪」


 「…………はい?」


 テツロウが嫌な予感しかしない顔をする。


 だがピスカは、

 完全に楽しそうだった。


 「せっかくですし♪

  みんなで順番に、

  テツロウちゃんと呑みましょう♪」


 「なんですかそれー!?」


 リブラが目を輝かせる。


 エアリも、

 少し頬を赤くしながら笑った。


 「ピスカさん、

  もう結構酔い回ってますね~……」


 だが。


 「でも、ちょっと面白そうです♪」


 「エアリちゃんまで!?」


 すると今度は、

 タリアがぐいっと顔を近づけてくる。


 少し赤くなった顔。


 酒で柔らかくなった表情。


 「テツロウ氏。

  ここからは――」


 タリアは、

 どこか楽しそうに笑った。


 「スペシャルな展開が続きますぞ~♪」


 「近い近い近い」


 「ふふ♪」


 その様子を見て、

 リブラがさらに興味津々になる。


 「テツロウ様のスペシャルゲームって、

  一体なんなんですか~?♪」


 「うふふ♪

  お兄様へ、

  特別なことをして差し上げるのですわ♪」


 リオが優雅に微笑む。


 そして。


 テツロウへ視線を向けた。


「これから、

  皆さんの特別なご奉仕が待っていますわ♪」


 「なんだその不穏な言い方」


 「ふふ♪

  きっと楽しいお酒になりますわよ?♪」


 「俺の意思は……?」


 「「「ありません♪」」」


 綺麗に揃った。


 「なんでだよ!?」


 ログハウスの中へ、

 また笑い声が広がる。


「ではまず、

  私からですわね♪」


 ピスカが、

 楽しそうに微笑みながら手を差し出す。


 「時計回りで、

  テツロウちゃんへ特別な事していきましょう~♪」


 「それ絶対ろくでもない流れだよな?」


 テツロウが冷静に突っ込む。


 だが周囲は、

 誰一人止める気がなかった。


 「ふふ♪

  細かいことは気にしません♪」


 ピスカはそう言いながら、

 そっとテツロウを巨大な掌へ乗せる。


 暖かく、

 柔らかな手の感触。


 そのままピスカは、

 大事そうにテツロウを持ち上げた。


 「ではまず――

  ピスカの番ですわ♪」


 次の瞬間。


 テツロウの視界が、

 ふわりと持ち上がる。


 そして――


 ピスカは、

 自分の肩口近くへ、

 テツロウをそっと寄せた。

挿絵(By みてみん)

 ロングヘアから、

 ほのかにシャンプーの香りが漂う。


 暖かな体温。


 包み込むような距離。


 その近さに、

 テツロウの鼓動が少しだけ早くなる。


 さらに、

 ピスカは片手でお猪口を持ちながら、

 くすりと微笑んだ。


 「ここなら、

  お酒も飲みやすいでしょう?♪」


 「いや……

  近いんだけど」


 「うふふ♪

  テツロウちゃん、

  もっと上も下も見ていいんですのよ?♪」


 「ぶっ……!?」


 思わずテツロウがむせる。


 ピスカは、

 楽しそうに肩を揺らした。


 そのたびに、

 柔らかな髪がふわりと揺れる。


 近い。


 近すぎる。


 酒の熱とは別に、

 テツロウの鼓動が少しずつ早くなっていった。


 「ピスカさん、

  完全に酔ってますわね♪」


 リオがくすくす笑う。


 「いいじゃないですか♪

  忘年会ですもの♪」 


 ピスカは、

 どこか楽しそうに肩を揺らす。


 そのたびに、

 テツロウの視界もゆっくり揺れた。


 「わぁ~……

  そういう感じなんですね♪」


 リブラが目を輝かせる。


 「なるほど……」


 タリアも、

 少し赤い顔のまま頷いていた。


 するとピスカは、

 テツロウ用の小さなお猪口へ、

 再び酒を注いだ。


 とくとく、と。


 静かな音が、

 暖かなログハウスへ響いていく。


 「はい♪

  テツロウちゃん、どうぞ♪」


 巨大な女性達に囲まれながら、

 テツロウは小さくため息をつく。


 「……今日は、

  本当に俺に拒否権ないな」


 ピスカの肩口という特等席で、

 テツロウは小さなお猪口を傾ける。


 日本酒の熱が、

 じんわりと体へ広がっていった。


 「……うまい」


 「ふふ♪

  それは良かったですわ♪」


 ピスカは満足そうに微笑む。


 そして。


 「では次は――」


 ゆっくりと視線を横へ向けた。


 「タリアちゃんですわね♪」


 「えっ、私ですか!?」


 タリアが少し慌てる。


 だが周囲は、

 すでに完全に乗り気だった。


 「タリアちゃんファイトー♪」


 「見てみたいです~♪」


 リブラとエアリが、

 楽しそうに笑っている。


 ピスカは、

 そんな皆の様子を見ながら、

 テツロウを優しく掌へ乗せ直した。


 「はい♪

  テツロウちゃん、次ですわ♪」


 そして、

 そっとタリアへ手渡していく。


 タリアは、

 少し緊張した様子でテツロウを受け取った。


 「な、なんか責任重大ですねこれ……」


 「ただ抱っこするだけなのに?」


 「ピスカさんの後って、

  なんかプレッシャーあるんですよ!」


 そんな事を言いながらも、

 タリアはどこか楽しそうだった。


 しばらく悩んだあと――


 「……よし」


 タリアは小さく頷く。


 そして。


 テツロウを、

 自分の膝の上へそっと座らせた。


 「おおっ?」


 「テツロウ氏、

  これなら普通に一緒に飲めますぞ♪」


 タリアは、

 どこか得意げだった。


 目線の高さも近い。


 巨大感はあるが、

 先ほどのピスカとは違い、

 “隣で飲んでいる”ような距離感になる。


 さらにタリアは、

 自分のお猪口を軽く持ち上げた。


 「せっかくですし、

  一緒に乾杯しましょう」


 「お、いいなそれ」


 テツロウも、

 小さなお猪口を持ち上げる。


 カチン。


 小さな音。


 タリアは、

 少し嬉しそうに笑った。


 そして――


 「……テツロウ氏も、

  メンテナンスしないとですね♪」


 「は?」


 次の瞬間。


 タリアは、

 お猪口を持ったままのテツロウを、

 その巨大な手でそっと自分の方へ引き寄せた。

挿絵(By みてみん)

 「うおっ!?」


 視界いっぱいに広がる、

 タリアの姿。


 銀紫色の髪。


 少し赤くなった頬。


 そして、

 覗き込むような視線。


 タリアは、

 真面目な顔のまま小さく頷いた。


 「ふむ……」


 「な、何を確認してるんだよ」


 「今日のテツロウ氏は――」


 タリアは、

 少し楽しそうに笑った。


 「問題ないですね♪」


 「何判定だそれ!?」


 周囲から、

 くすくすと笑い声が漏れる。


 するとリブラが、

 興味津々に身を乗り出した。


 「タリアさん酔ってません~?♪」


 「酔ってませんぞ」


 即答だった。


 だが頬は、

 かなり赤い。


 その様子を見て、

 テーブルにはまた穏やかな笑い声が広がっていった。


 その様子を見て、

 周囲からまた笑い声が広がっていった。


 「では次は――♪」


 タリアは、

 少し赤くなった顔のまま、

 隣へ視線を向けた。


 「リブラさんですぞ」


 「えっ!?

  私ですか~!?♪」


 リブラが嬉しそうに声を上げる。


 「はい♪

  順番ですから」


 タリアは笑いながら、

 膝の上にいたテツロウをそっと持ち上げた。


 そして。


 リブラへ、

 丁寧に手渡していく。


 「はい、テツロウ氏」


 「なんか受け渡しが完全に流れ作業になってない?」


 「うふふ~♪

  人気者ですね~♪」


 リブラは、

 初めて抱える小さなテツロウを、

 興味津々な様子で見つめていた。


 「わぁ……

  本当に小さいんですね……♪」


 「今さら!?」


 リブラは、

 楽しそうに笑いながら、

 テツロウをそっと自分の近くへ寄せる。


 だが。


 ピスカやタリアのように、

 すぐ“特等席”へは持っていかない。


 代わりに――


 「ん~……」


 リブラは少し考え込む。


 「どうしました?」


 「せっかくですし、

  アイドルっぽくしたいなって♪」


 「嫌な予感しかしない」


 その瞬間。


 リブラは、

 テツロウを自分の肩へちょこんと乗せた。


 「おおっ!?」


 「どうですか~?

  ライブのマスコット感ありますよ♪」


 「なんだその扱い!?」


 だがリブラ本人は、

 かなり楽しそうだった。


 しかも。


 肩へ乗せられたことで、

 リブラの表情がかなり近い。


 酒で少し赤くなった頬。


 楽しそうな笑顔。


 そして、

 くるくる変わる表情。


 いかにもアイドルらしい、

 賑やかな距離感だった。


 「テツロウ様、

  ちゃんと落ちないでくださいね~♪」


 「落ちたら普通に危ないからな!?」


 「ふふふ~♪」


 リブラは、

 わざと少し肩を揺らしてみせる。


 「うおっ!?」


 「きゃははっ♪」

挿絵(By みてみん)

 その様子を見て、

 周囲からまた笑い声が広がった。


 「リブラさん、

  完全に遊んでますわね♪」


 「楽しそうです~♪」


 エアリとリオも、

 くすくす笑っている。


 するとリブラは、

 少しだけ申し訳なさそうに笑った。


 「テツロウ様、

  怖がらせてごめんなさい♪」


 そう言いながら、

 今度はテツロウを、

 自分の腕の中へ優しく抱え直す。


 「おっと……」


 先ほどまでより、

 少し落ち着いた距離。


 リブラは、

 そんなテツロウを見つめながら、

 小さく微笑んだ。


 「はい♪

  今度はちゃんと、

  リブラのお酒も飲んでくださいね♪」


 そして、

 テツロウ用の小さなお猪口へ、

 とくとくと酒を注いでいく。


 「なんか急に丁寧になったな……」


 「ふふ♪

  さっきはちょっと、

  楽しくなっちゃってました♪」


 リブラは、

 どこか照れたように笑っていた。


 「では次は私ですわね♪」


 リオが、

 優雅に微笑む。


 リブラは、

 大事そうにテツロウを抱えたまま、

 そっとリオへ手渡していく。


 「はい、リオ様♪」


 「ありがとうございます♪」


 リオは、

 壊れ物でも扱うように、

 優しくテツロウを受け取った。


 そして。


 掌の上のテツロウを見つめながら、

 くすりと微笑む。


 「お兄様。

  少し顔が赤くなっていますわね♪」


 「そりゃ飲んでるからな……」


 「ふふ♪

  酔いが回っているのかしら?」


 リオは、

 ゆっくりとテツロウを持ち上げる。


 そのまま、

 自分の眼前へそっと近づけた。


 至近距離。


 青い髪が揺れ、

 リオの優しい瞳がすぐ近くにある。


 「それとも――」


 リオは、

 少し楽しそうに首を傾げた。


 「照れていらっしゃるのかしら?♪」


 「……っ」


 テツロウが言葉に詰まる。


 その反応を見て、

 リオは満足そうに微笑んだ。


 そして――


 自分の懐へ、

 優しく抱え込むように包み込んだ。

挿絵(By みてみん)

 「うおっ……」


 ふわりと、

 柔らかな青髪が近づく。


 暖かな体温。


 落ち着く香り。


 リオの懐は、

 不思議と安心感があった。


 「お兄様。

  落ち着きますでしょう?♪」


 「……まあ、

  なんか安心するな」


 「ふふ♪

  それは良かったですわ♪」


 リオは嬉しそうに微笑みながら、

 そのまま片手で優しくテツロウを支える。


 そしてもう片方の手で、

 ゆっくりお猪口を傾けた。


 「では最後は、

  エアリさんですね♪」


 リオが、

 名残惜しそうにテツロウを見つめながら、

 そっとエアリへ手渡した。


 「はい♪

  お預かりします♪」


 エアリは優しく笑いながら、

 テツロウを両手で受け取る。


 今日は白衣ではない。


 冬用の赤いシャツに、

 落ち着いた色合いのコート姿。


 いつもより、

 少しだけ大人っぽい雰囲気だった。


 「エアリちゃん、

  今回はどこなんだ?」


 「ふふ♪

  ここです♪」


 そう言ってエアリは、

 胸元の小さなポケットを軽く開く。


 そして。


 テツロウを、

 そこへそっと入れた。


 「おおっ……」


 柔らかな布地。


 暖かな体温。


 すぐ近くで聞こえる、

 エアリの心音。


 白衣の胸ポケットとはまた違う、

 冬服ならではの暖かさだった。


 エアリは、

 そんなテツロウを優しく覗き込みながら微笑む。


 「今日はここで、

  テツロウさんに特別なご奉仕しますね♪」


 「……なんか、

  一番落ち着くな」


 「本当ですか?♪」


 エアリは、

 嬉しそうに微笑みながら、

 両腕で胸ポケットをそっと支えた。


 「テツロウさん、

  どうですか?

  さらに安定しました?♪」


 暖かな体温。


 優しく伝わってくる鼓動。


 テツロウは、

 エアリの温もりへ包まれていく。


 優しく揺れる胸ポケットの中で、

 テツロウの意識は、

 少しずつ眠気へ引き込まれていくのだった。

挿絵(By みてみん)



 そして――


 ガタン。


 ゴトン。


 規則的な揺れと音。


 「……ん」


 ぼんやりとした意識の中で、

 テツロウはゆっくり目を開けた。


 目の前に見えたのは――


 電車の天井だった。


 「……あれ?」


 まだ少し重い頭のまま視線を動かす。


 すると。


 「おはようございます、テツロウさん♪」


 優しい声が降ってきた。


 そこにいたのは――


 等身大のエアリだった。


 冬用の赤いシャツ姿のまま、

 座席へ腰掛けている。


 そして――


 テツロウは、

 そのエアリの膝の上で眠っていたらしい。


 「うわっ!?」


 慌てて起き上がろうとするテツロウ。


 だがエアリは、

 くすくす笑いながら軽く肩を押さえた。


 「ふふ♪

  テツロウさん、飲みすぎましたか?」


 「……あー……」


 テツロウは額を押さえる。


 頭の中へ、

 断片的に記憶が戻ってきた。


 鍋。


 日本酒。


 「……確か、

  みんなで忘年会してたんだっけか」


 「はい♪

  とっても楽しそうでしたよ♪」


 エアリは、

 どこか嬉しそうに微笑む。


 電車は、

 静かな夜の街を走っていた。


 窓の外には、

 冬の灯りがゆっくり流れていく。



 そして――


 カメラが、

 ゆっくりと引いていく。


 夜の線路を走る小さな電車。


 そのさらに外側では、

 巨大なエアリ達が、

 静かな冬の夜を眺めていた。


 エアリは、

 少し嬉しそうに微笑む。


 「……テツロウさん、

  胸ポケットの中で、

  すっかり眠っちゃってましたね♪」


 「ふふ♪

  お兄様、かわいらしかったですわ♪」


 リオも、

 どこか満足そうに笑う。


 タリアは、

 思い出したように頬を赤くした。


 「……テツロウ氏、

  かなり安心しきってましたぞ」


 「うぅ……

  寝顔、反則級でした~……♪」


 リブラは、

 まだ余韻が抜けていないらしい。


 ピスカも、

 穏やかに目を細めた。


 「ふふ♪

  とても楽しい忘年会でしたわね♪」


 小さな電車は、

 巨大な彼女達に見守られながら、

 冬の夜をゆっくり走っていく。


■第七章 完

第七章、最後までお読みいただきありがとうございました。


冬の日常、大学での特別講義、新たな仲間との出会い、そして忘年会。

穏やかな日々を描いた第七章でしたが、楽しんでいただけましたでしょうか。


また、リブラも少しずつ青星家の日常へ溶け込み始めました。

これから先、どのように関わっていくのかも見守っていただければ幸いです。


※挿絵はAIを用いて作成しています。

 AIの仕様や制約により、

 作者のイメージ通りに再現できていない部分もありますが、

 あくまで参考イメージとして補完しながら

 お楽しみいただければ幸いです。


ご感想・レビュー・応援コメントなどもお待ちしております。


第七章も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


次回、第八章は9月4日(金)公開予定となります。

引き続き、『不思議な宇宙(そら)のもとで。』をよろしくお願いいたします。

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