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不思議な宇宙(そら)のもとで  作者: まほ。かんた。
不思議な虚空の中の宴
54/70

第七章 不思議な虚空の中の宴④

リブラによる特別ライブが始まります。


久しぶりに開かれた地下ステージ。


そして、それぞれの“特等席”から見守る仲間達。


少し特別な時間を、お楽しみください。


【登場人物】

・青星テツロウ

・赤井エアリ

・青星リオ

・紫雲タリア

・桃野リブラ

・青星エミ

・青星ミニ


■第七章 第四話


 地下ステージ。


 今日は簡易的ではあるが、

 準備が進められていた。


 文化祭の時のような華やかな装飾はない。


 代わりに。


 黒い幕で囲まれた地下ステージ。


 淡いピンク色の照明が、

 空間を幻想的に照らしている。


 仮設モニター。


 簡易スピーカー。


 床を走る配線。


 静かな電子音。


 簡易的な設備ではあったが。


 そこには、小さなライブ会場のような

 空気が広がっていた。


 その中央では、エアリが最終確認を行っている。


 やがて。


 地下からエアリが戻ってきた。


 「皆さん」


 黄色いメガネを軽く押し上げながら、

 エアリは穏やかに微笑む。


 「地下ステージ、

  今日は簡易的ですが準備できました」


 「おおっ」


 ミニが目を輝かせる。


 一方。


 リオは優雅に微笑みながら、

 テツロウへ視線を向けた。


 「お兄様」


 「素敵なステージが、再び始まりますわ」


 「本日も、リオの特等席でご観覧しましょう」


 「え、またそこなの?」


 テツロウは思わず苦笑する。


 だが。


 次の瞬間には、

 巨大なリオの手が優しく彼を包み込んでいた。


 そのまま、リオはテツロウを“特等席”へ案内する。


 包み込まれる感覚。


 再び近づく、リオの温もり。


 テツロウは、

 再びリオの温もりの中へ埋もれていった。


 「うぅ……やっぱり落ち着かない……」


 「ふふっ」


 リオは楽しそうに微笑む。


 すると。


 その様子を見ていたミニが、楽しそうに声を上げた。


 「兄ちゃん、リオお姉ちゃんに

  埋もれてておもしろーい!」


 「面白がるところじゃないからね!?」


 和室に、賑やかな笑い声が広がっていく。


 やがて。


 地下空間の照明が、ゆっくりと灯り始めた。


 淡い光が、静かな地下ステージを照らしていく。


 今日は簡易的な設備ではあったが。


 その空間は、どこか幻想的だった。


 リオの特等席に包まれながら。


 テツロウは、その光景を見上げていた。


 ステージ中央。


 そこに立っていたのは――


 桃色の髪を揺らす少女。


 リブラだった。


 透き通るような歌声が、

 地下空間へ静かに広がっていく。


 可愛らしく。


 けれどどこか惹き込まれる、不思議な歌声。


 アイドルらしい笑顔と仕草。


 軽やかに舞うステップ。


 その姿に、ミニが目を輝かせる。


 「わぁ〜っ! リブラちゃん素敵ー!」


 「本物のアイドルって感じー!」


 「えへへっ♪」


 リブラは嬉しそうに笑う。


 そして――


 ふと。


 ステージ端まで近づいてきた。

挿絵(By みてみん)

 その視線は、リオの特等席にいる

 テツロウへ向いている。


 「リオ様は素敵だけど〜」


 リブラは、ひょいっと身を乗り出した。


 「わたし、ちゃんとアイドルしてる?」


 「えっ」


 巨大なリブラの顔がぐっと近づく。


 きらきらした瞳。


 甘い香り。


 そして、期待するような笑顔。


 「ど、どうって……」


 テツロウは思わず視線を泳がせる。


 すると。


 リブラはさらにぐっと顔を近づけた。


 「ねぇねぇ、どうかな?」


 「可愛かった?」


 「ち、近い近い……!」


 テツロウが慌てる。


 その様子を見ていたミニが、楽しそうに笑った。


 「兄ちゃん面白ーい!」


 「リブラちゃんに困ってるー!」


 「ミニちゃん!?」


 一方。


 リオは、特等席へ埋もれて慌てる

 テツロウを見ながら。


 ふふっと、どこか余裕ありげに微笑んでいた。


 「えへへっ♪」


 リブラは満足そうに微笑む。


 そして、リオの特等席へ埋もれている

 テツロウへ向けて、小さく手を振った。


 「それじゃ、もう一曲いきますね♪」


 「今度は、もっとアイドルしますからっ」


 そう言うと。


 リブラは軽やかに振り返り、

 再びステージ中央へ戻っていく。


 桃色の髪が、淡い照明の中でふわりと揺れた。


 一方。


 その様子を見送っていたリオが、

 ふとミニへ視線を向ける。


 「ミニちゃん」


 「お兄様の特等席、体験してみます?」


 「えー?」


 ミニは、リオへ埋もれているテツロウを

 見ながら楽しそうに笑った。


 「んー……」


 「リオお姉ちゃんに埋もれてる、

  兄ちゃん見てる方が楽しいからいいかなー♪」


 「ミニちゃん……」


 テツロウが小さく抗議する。


 するとリオは、今度はエアリへ優雅に微笑みかけた。


 「では、エアリさんはいかがです?」


 「お兄様の特等席」


 「えっ……」


 エアリは少し驚いたように目を瞬かせた。


 黄色いメガネの奥の瞳が、少しだけ揺れる。


 「……いいのですか?」


 どこか嬉しそうに尋ねるエアリ。


 するとリオは、くすっと微笑んだ。


 「ええ」


 「お兄様も、きっと喜びますわ」


 「兄ちゃんなら絶対喜ぶよー!」


 ミニも元気よく頷く。


 「兄ちゃん、

  エアリちゃんの特等席も好きだもん♪」


 「ちょっ……勝手に決めて……」


 テツロウが慌てる。


 だが。


 エアリは少し照れたように視線を下げながら、

 小さく呟いた。


 「……テツロウさんが、嫌じゃなかったら……」


 その言葉に。


 リオは優しく微笑む。


 「お兄様は、エアリさんにそんなこと言いませんよ」


 「うぅ……」


 三人に見つめられ。


 テツロウは観念したように小さく息をついた。


 そして。


 「……是非」


 小さくそう答える。


 その瞬間。


 エアリの表情が、ぱっと明るくなった。


 「はいっ」


 嬉しそうに頷いたエアリは。


 そっとテツロウを両手で包み込み、

 自身の“特等席”へ優しく案内していく。


 エアリの特等席へ包まれながら。


 テツロウは、地下ステージを見上げていた。


 淡い照明の中。


 リブラの歌声が、静かな地下空間へ

 透き通るように響いていく。


 軽やかなステップ。


 くるりと舞う仕草。


 アイドルらしい可愛らしさと。


 人を惹き込む、不思議な華やかさ。


 その姿を見つめながら。


 テツロウは、ぽつりと呟いた。


 「……やっぱり、歌うまいんだなあ」


 素直に感心しているような声だった。


 すると。


 エアリは、特等席へ包まれている

 テツロウを見下ろしながら、ふわりと微笑む。


 「素敵な歌声ですね〜」


 「はいっ♪」


 リブラは、歌の合間に嬉しそうに返事をした。


 どうやら聞こえていたらしい。


 「いや、返事くるんだ……」


 テツロウが少し驚く。


 その時。


 ひょこっと、ミニがエアリの

 胸元付近へ顔を近づけてきた。


 そして。


 特等席に埋もれているテツロウを、

 じーっと覗き込む。

挿絵(By みてみん)

 「兄ちゃん」


 「ちゃんと歌聴いてるのー?」


 「えっ?」


 「なんか、エアリちゃんの

  特等席に夢中になってない?」


 「なっ……!」


 テツロウが慌てる。


 すると。


 エアリも少しだけ頬を赤くしながら、

 困ったように微笑んだ。


 「ミニちゃん……」


 一方。


 ステージ上のリブラは、

 そのやり取りを見ながら楽しそうに笑っていた。


 「ふふっ♪」


 「じゃあ次は、もっとちゃんと

  聴いてもらえるように頑張りますねっ♪」


 リブラの歌声が、静かな地下空間へ響いていく。


 そのたびに。


 照明が淡く揺れ。


 桃色の髪が、幻想的に浮かび上がる。


 エアリの特等席へ包まれながら。


 テツロウは、その光景を静かに見上げていた。

挿絵(By みてみん)

 だが――


 近い。


 やはり近い。


 微かに伝わる鼓動。


 そして、すぐ傍から聞こえるエアリの吐息。


 文化祭の時とは、違う。


 もっと静かで。


 もっと距離が近い。


 そんな不思議なドキドキ感だった。


 「テツロウさん?」


 ふと。


 エアリが優しそうに顔を覗き込んでくる。


 「……ちゃんと観ていますか?」


 「み、見てるよ!?」


 テツロウが慌てて答える。


 すると。


 ステージ上のリブラが、くすっと楽しそうに笑った。


 「ふふっ♪」


 「テツロウ様、

  ちゃんとわたしのこと見てくださいね〜?」


 「いや、見てるから……!」


 「兄ちゃん真っ赤ー♪」


 ミニが楽しそうに笑う。


 一方。


 リオは、その光景をどこか

 余裕ありげに見守っていた。


 やがて。


 リブラの最後の歌声が、地下空間へ静かに響き渡る。


 淡い照明が、ゆっくりと落ちていく。


 そして――


 小さな拍手と笑い声が、

 暖かな地下空間へ広がっていった。


 やがて。


 リブラの最後の歌声が、地下空間へ静かに響き渡る。


 淡い照明が、ゆっくりと落ちていく。


 そして――


 小さな拍手と笑い声が、

 暖かな地下空間へ広がっていった。


 「ありがとうございました〜っ♪」


 リブラは嬉しそうに大きく手を振る。


 ミニも元気いっぱいに拍手していた。


 「リブラちゃんすごかったー!」


 「またやってほしいー!」


 「えへへっ♪」


 リブラは少し照れながら笑う。


 一方。


 エアリの特等席に包まれていたテツロウは、

 小さく息をついた。


 「……なんか、文化祭とはまた違う感じだったな」


 「ふふっ」


 リオは優雅に微笑む。


 「今回は、文化祭の時より距離も近かったですから」


 「距離も近かったですしね〜」


 エアリも穏やかに頷く。


 地下ステージには、まだ淡い照明が残っていた。


 静かな電子音。


 そして、ライブ後の暖かな余韻。


 その空気の中で。


 エアリは、特等席へ包まれている

 テツロウを見下ろしながら、ふわりと微笑んだ。


 「……十二月ですし」


 「来週あたり、忘年会しませんか?」


 「忘年会!?」


 ミニが、ぱっと目を輝かせる。


 「やるやるー!」


 「鍋したいー!」


 すると。


 ステージ上のリブラも、ぴくっと反応した。


 「忘年会?」


 そして。


 少し嬉しそうに身を乗り出す。


 「……私も参加していいですか?」


 「え?」


 一瞬。


 地下空間が静かになる。


 だが次の瞬間。


 「もちろんですわ」


 リオが優雅に微笑む。


 「リブラさんも、

  もうこちらのステージメンバーですもの」


 「わぁっ♪」


 リブラの表情がぱっと明るくなった。


 ミニも楽しそうに笑う。


 「リブラちゃんも来るなら楽しそー!」


 その賑やかな声を聞きながら。


 テツロウは、小さく苦笑する。


 どうやら。


 今年の年末は、

 思っていた以上に賑やかになりそうだった。


 地下空間には、まだ淡い照明が残っている。


 静かな電子音。


 淡く揺れるピンク色の光。


 賑やかだった地下ステージにも、

 少しずつ穏やかな余韻が広がっていた。


 十二月上旬。


 冬の一日は、こうして静かに幕を閉じていく。


■第七章 第五話へ続く

第七章 第四話をお読みいただき、ありがとうございました。


今回は地下ステージでの特別ライブ回でした。


文化祭とはまた違った雰囲気の中で行われたリブラのライブ、

いかがだったでしょうか。


そして物語の最後には、年末恒例(?)の忘年会の話も。


少しずつ年末へ向けて、物語も賑やかになっていきます。


ご感想やご意見など、お待ちしております。


※挿絵はAIを用いて作成しています。

 AIの仕様や制約により、

 作者のイメージ通りに再現できていない部分もありますが、

 あくまで参考イメージとして補完しながら

 お楽しみいただければ幸いです。


次回は8月25日(火)公開予定です。


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