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不思議な宇宙(そら)のもとで  作者: まほ。かんた。
不思議な虚空の中の宴
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第七章 不思議な虚空の中の宴③

リブラは、少しずつテツロウ達の日常へ触れていきます。


そして、不思議な体験とともに――


彼女を待っているものとは。


【登場人物】

・青星テツロウ

・赤井エアリ

・青星リオ

・紫雲タリア

・桃野リブラ

・青星エミ

・青星ミニ


■第七章 第三話


 青星家・玄関前――


 テツロウは、巨大な女性達に囲まれていた。


 エアリ。


 タリア。


 リオ。


 そして――リブラ。


 冬空の下。


 巨大な彼女達が見下ろす中、

 テツロウは小さく息をつきながら

 周囲を見上げる。


 すると、

 リオが優しく微笑みながら膝をついた。


 「お兄様。さあ、こちらへ」


 そう言って、

 白く綺麗な掌をテツロウのそばへ差し出す。


 テツロウは少し戸惑いながらも、

 慣れた様子でその掌へ乗った。


 リオは、掌に乗せたテツロウを

 壊れ物でも扱うように、

 そっと持ち上げる。


 「お兄様。

  わたくしがお運びしますね」


 「う、うん……お願いするよ」


 テツロウは苦笑しながら頷いた。


 一方でリブラは、

 そんな二人の様子をじっと見つめていた。


 最初は戸惑いばかりだった。


 だが今は――


 目の前の小さなテツロウから、

 どうしても目が離せない。


 リオは、そんなリブラへ優しく微笑む。


 「リブラさん。

  お兄様を、もっと近くでご覧になりますか?」


 そう言うと、

 掌に乗せたテツロウを

 リブラの目の前へそっと差し出した。

挿絵(By みてみん)

 「えっ……」


 突然近づいた巨大なリブラの顔に、

 テツロウは思わず困惑する。


 「ち、近い……」


 ゆるく巻かれたピンク色の髪。


 大きな瞳。


 ほんのり甘い香りまで伝わってくる。


 リブラは、そんな小さなテツロウを見つめながら、

 小さく息を呑んだ。


 「……かわいい……」


 そして無意識のように呟く。


 「テツロウ様……」


 その声は、

 どこか熱を帯びていた。


 リブラはさらに顔を近づける。


 テツロウはますます困惑しながら、

 リオの掌の上で軽く身を引いた。


 「り、リブラさん……?」


 エアリはそんな様子を見ながら、

 くすりと微笑む。


 「ふふっ。続きはログハウスの中でしましょうか」


 「むぅ。すぐそこに展開していますのでな」


 タリアは当然のように頷いた。


 その視線の先――


 冬の庭先には、

 いつの間にか

 巨大なログハウスが静かに展開されていた。


 リオは、掌の上のテツロウを大切そうに抱えながら、

 巨大ログハウスの中へ入っていく。


 木の香り。


 暖かな照明。


 そして、畳敷きの大広間。


 どこか現実離れしているのに、

 不思議と落ち着く空間だった。


 テツロウは、

 そんな景色を見上げながら小さく呟く。


 「……なんだろう。

  何度も見てる気がするな、この景色……」


 だが、その感覚を深く考える前に、

 リオはそっと大広間の

 巨大テーブルへテツロウを降ろした。


 そして――


 テツロウは、巨大な女性達に囲まれながら、

 再び『宇宙のもと』について語り始める。


 スターライト。


 切り取り部屋。


 疑似体。


 そして、この世界の不思議な仕組み。


 大学での講義よりも、

 ずっと自然に言葉が出てくる。


 リオは、そんなテツロウをうっとりと見つめていた。


 「やっぱり……。

  ここで講義しているお兄様は素敵ですわ……」


 「むぅ。実に分かりやすいですな」


 タリアも満足そうに頷く。


 エアリは優しく微笑みながら、

 テツロウへそっと手を伸ばした。


 「テツロウさん。

  少しお疲れになったでしょう。こちらへ」


 「あっ――」


 テツロウは、そのまま優しく持ち上げられる。


 そして。


 エアリの胸元近くへ、そっと寄せられた。

挿絵(By みてみん)

 「ち、近い……」


 柔らかな温もり。


 優しい香り。


 テツロウは思わず顔を赤くする。


 エアリは、そんなテツロウを

 包み込むように微笑んだ。


 「ふふっ。

  テツロウさん、疲れは少し取れました?」


 「う、うん……」


 テツロウは照れながら小さく頷く。


 一方でリブラは、

 その様子をじっと見つめていた。


 その瞳には、

 先ほどまでとは違う熱が宿り始めている。


 リオはそんなリブラを見て、

 どこか嬉しそうに微笑んだ。


 「エアリさん。

  リブラさんも、

  お兄様に優しくしてあげたいそうですわ」


 「えっ!?」


 突然話を振られ、

 リブラは思わず頬を赤くする。


 しかしエアリは、くすりと微笑むだけだった。


 「ふふっ。

  テツロウさんの魅力はすごいですね……」


 そしてエアリは、

 優しくテツロウをリブラへ差し出す。


 「リブラさん。

  テツロウさんを、よろしくお願いしますね」


 「は、はい……」


 リブラは緊張した様子で、

 そっとテツロウを受け取った。


 両腕で大事そうに包み込む。


 柔らかな温もり。


 甘い香り。


 テツロウは赤面しながらも、

 リブラに抱えられていた。

挿絵(By みてみん)

 リブラは、

 小さなテツロウを愛おしそうに見つめる。


 その胸の奥は、

 もう抑えきれないほど高鳴っていた。


 「リオ様……ありがとうございます」


 リブラは小さく微笑む。


 「わたしも……

  テツロウ様の魅力、分かってきましたわ……」


 そう呟きながら、

 リブラはテツロウを優しく抱きしめる。


 その温もりの中で――


 彼女は確かに、

 テツロウへ惹かれ始めていた。


 リブラは、

 両腕の中のテツロウを見つめながら、

 少しだけ頬を染めた。


 「……テツロウ様に。

  わたしのアイドル姿、見ていただきたいです」


 「えっ?」


 テツロウは思わず目を瞬かせる。


 リブラは、どこか恥ずかしそうに微笑んだ。


 「せっかくですし……

  テツロウ様にも、見てもらいたくて」


 どうやら、

 本気でそう思っているらしい。


 リオは、そんなリブラを見ながら嬉しそうに頷いた。


 「いいですわね、お兄様。

  リブラさん、大学内でも人気あるんですよ」


 「そ、そうなんだ」


 テツロウは、

 リブラに抱えられたまま顔を見上げる。


 「すごいんだね、リブラちゃん」


 その言葉に、

 リブラは少し照れたように目を細めた。


 「リオ様には叶いませんけど……」


 「でも、テツロウ様にも

  是非見ていただきたいです」


 「衣装も、ちゃんと

  持ってきていますので……」


 エアリは、

 そんなリブラを優しく見守りながら口を開く。


 「ふふっ。

  ここの地下にはステージもありますので」


 「リブラさん、

  テツロウさんに見てもらいますか?」


 「是非……!」


 リブラは、

 嬉しそうにテツロウを抱きしめる。


 そして、そのままタリアへ視線を向けた。


 「タリアさん。

  ドラム、お願いしてもいいですか?」


 「もちろんですぞ」


 タリアは得意げに胸を張る。


 「機材調整も含めて、

  お任せくだされ」


 するとリオも、

 どこか楽しそうに微笑んだ。


 「ふふっ。

  お兄様専用ライブですわね」


 テツロウは、

 巨大な女性達に囲まれながら苦笑する。


 「なんだか……

  すごいことになってきたなぁ……」


 テツロウが苦笑した、その時だった。


 「ただいまー、兄さん!」


 「兄ちゃん、ただいま〜!」


 玄関の方から、

 明るい声が響いてくる。


 どうやら、

 エミとミニが学校から帰ってきたようだった。


 すると次の瞬間。


 「……あれ?」


 「わぁっ!?」


 ログハウスの大広間へ入ってきたエミとミニが、

 思わず目を丸くする。


 そこには――


 巨大な女性達に囲まれ、

 リブラに抱えられているテツロウの姿。


 「な、なんか増えてる!?」


 ミニが驚いた声を上げる。


 エミは、

 リブラの顔を見て小さく瞬きをした。


 「……あれ?

  もしかして、大学のアイドルの人?」


 するとミニが、

 ぱっと表情を明るくする。


 「リブラちゃんだ!

  この間、見たよ〜!」


 そして、

 テツロウを抱えているリブラへ近づいていく。


 「兄ちゃん、面白いよね〜!」


 そう言いながら、

 ミニはリブラの腕の中にいる

 小さなテツロウを覗き込んだ。

挿絵(By みてみん)

 「兄ちゃん、また囲まれてる〜♪」


 「ミ、ミニ……」


 テツロウは照れながら困ったように苦笑する。


 エアリは、

 楽しそうに微笑みながら口を開いた。


 「この後、地下のステージで――

  リブラさんが、テツロウさんのために

  歌ってくれるそうなんです」


 そして、エミへ視線を向ける。


 「エミちゃん。

  ギター演奏、お願いしてもいいかしら?」


 エミはぱっと表情を明るくした。


 「もちろんですよ!

  兄さんが喜んでくれるなら!」


 「むぅ。これは盛り上がりそうですな」


 タリアは満足そうに頷きながら、

 大広間の壁際にある大きな収納棚へ向かった。


 そして扉を開く。


 「こちらに、前回使った衣装がありますのでな。

  どうですかな?」


 そこには、

 文化祭の時に使った衣装が

 綺麗に畳まれて並んでいた。


 エミは思わず目を輝かせる。


 「わぁっ、これ文化祭の時の

  メイド衣装ですね!」


 タリアはにやりと笑う。


 「では、エミちゃん。

  リブラさんも、準備しますか」


 そう言いながら、

 タリアは上着を脱ぎ始めた。


 「なっ――」


 テツロウは思わず顔を赤くする。


 「ちょ、ちょっと待って……!」


 するとエミまで、

 制服のリボンを緩めながら笑った。


 「兄さんなら、

  別に目を逸らさなくてもいいんですよ?」


 「いや、そういう問題じゃ……!」


 テツロウは慌てて視線を泳がせる。

挿絵(By みてみん)

 一方でリブラは、

 そんなエミやタリアの様子を見て目を丸くしていた。


 「えっ……。

  こ、こんな自然に……?」


 リオはくすりと微笑みながら、

 リブラの腕の中のテツロウをそっと受け取る。


 「リブラさん。

  お兄様はこちらへ」


 「は、はい……」


 リブラは名残惜しそうにしながらも、

 丁寧にテツロウをリオへ預けた。


 その間にも、

 背後ではエミやタリアが

 ライブ衣装の準備を進めている。


 衣擦れの音。


 楽しそうな会話。


 時折聞こえるミニのはしゃいだ声。


 テツロウは、そんな空気の中で

居心地悪そうに肩を縮めていた。


 「うぅ……」


 なるべく視線を逸らそうとしているものの、

 周囲は巨大な女性達ばかり。


 どこを向けばいいのか分からない。


 リオは、そんなテツロウの様子を見て

 小さく微笑んだ。


 「お兄様。

  そんなに困らなくてもよろしいのに」


 「いや、だって……」


 テツロウは赤くなりながら視線を泳がせる。


 するとリオは、

 どこか悪戯っぽく目を細めた。


 「……お兄様がそこまで目を

  背けていらっしゃるのでしたら」


 「わたくしも、

  少し困らせてしまいたくなりますわね」


 「えっ?」


 次の瞬間。


 リオは、抱えていたテツロウを

 そっと胸元近くへ寄せた。


 「り、リオ!?」


 柔らかな温もり。


 近すぎる距離。


 ふわりと漂う香り。


 テツロウは思わず顔を真っ赤にする。


 「ち、近いって……!」

挿絵(By みてみん)

 リオはくすくすと楽しそうに笑った。


 「ふふっ。

  お兄様、可愛らしいですわ」


 「か、からかわないでよ……」


 テツロウは困ったように小さく抗議する。


 だが、そんな様子を見ているリオは、

 どこか本当に嬉しそうだった。


 一方でリブラは、

 その光景を少し離れた場所から見つめている。


 リオに優しく抱えられ、

 照れながら困っている小さなテツロウ。


 その姿に、

 胸の奥がまた熱くなる。


 「……やっぱり。

  テツロウ様、素敵……」


 リブラは小さく呟きながら、

 自分の胸元をそっと押さえた。


 そして――


 「わ、わたしも……

  ちゃんと準備しないと……」


 少しだけ頬を赤くしながら、

 リブラは衣装の準備を始める。


 テツロウの意思とは関係なく、

 巨大な女性達は楽しそうにライブ準備を進めていく。


 衣装。


 楽器。


 地下ステージ。


 そして――


 テツロウだけのために、

 再び開かれる小さな特別ライブ。


 ログハウスの中は、

 少しずつ文化祭の時にも似た、

 賑やかで温かな空気へ包まれていった。


 その一方で。


 テツロウは、

 巨大な女性達に囲まれながら、

 まだ落ち着かないまま小さく息をつく。


 「なんだか……

  本当に大変なことになってきたなぁ……」


 しかし。


 そんな困ったような表情とは裏腹に――


 どこか楽しそうでもあった。


           ◇


 そして地下ステージでは、

 ライブの準備が静かに進み始めていた――


■第七章 第四話へ続く

第七章第三話をお読みいただき、ありがとうございました。


今回はリブラが『宇宙のもと』の世界へ足を踏み入れ、

青星家の面々とも顔を合わせる回となりました。


そして話は、思わぬ形でライブイベントへ。


次回はいよいよ地下ステージでの特別ライブとなります。


ご感想やご意見など、お待ちしております。


※挿絵はAIを用いて作成しています。

AIの仕様や制約により、

作者のイメージ通りに再現できていない部分もありますが、

あくまで参考イメージとして補完しながら

お楽しみいただければ幸いです。


次回は8月21日(金)公開予定です。

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