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魔核戦機アストレイア  作者: 秋紅葉リュウ
第一章 始動

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第4話 絶望の翼 side:セイレーン

「ここが目的地のようね」


『うはぁ......うじゃうじゃいるっすねぇ......』




 私たちは、目的地の旧池袋跡地にたどり着いた。そこには250......いや、およそ300体ほどのクリーチャーが生息している光景が見えた。今まで多くのクリーチャーの巣窟を制圧してきたけど、流石にここまでの規模の巣窟は見たことがない。




『大隊長はたった4人のアタシらにこんな場所の制圧をしろって言ってるんすか.........?こんなの無茶にも程があるっすよ......』


『ん......イーグルに激しく同意.........』




 確かに、4人しかいない第13機動小隊でこの数を相手にするのは無茶だとは思う。だけど、任務を与えられた以上、それに背くわけにはいかない。任務を与えられることは命令を受けると同然。軍にとって命令は絶対。もし命令に背けば、私たちはただでは済まないでしょうね。




『簡単に弱音を吐くなイーグル、キラービー。任務を与えられた以上、クリーチャーを滅する兵器として生み出された俺たちはそれに従うだけだ』


『むぅ......』


『ちぇっ、分かったっすよ......』


『セイレーン、この巣窟は俺たちが知る以上、過去最大の規模だ。闇雲に攻撃しても数の利で不利なだけだと思うが、どう攻略する?』


「そうね......サラマンダー、マイクロミサイルランチャーの残弾はどれほど残ってる?」




 私は巣窟の攻略について聞いてきたサラマンダーに、彼の機体に装備されているマイクロミサイルランチャーの残弾について聞く。残弾の量によってはこの巣窟の攻略はスムーズに進むかもしれない。




『......確認した。今残っているマイクロミサイルの数は72発。最大装填時の約半分ほどだ』


「流石ね、さっきの任務からの連戦なのにそこまで残弾を残しておくなんてね。」


『知っているだろう、俺は無駄を嫌う。それはこういう時に備えるためだ』


「もちろん知ってるわよ。どうやら必要ない心配だったみたいね」




 私はサラマンダーの答えに小さく頷きながら、眼下に広がるクリーチャーの群れを見下ろし、メンバー全員へ向けて作戦を伝える。




「セイレーンより各機へ、これよりクリーチャーの巣窟の制圧を行う。初めにサラマンダーのマイクロミサイルランチャーによる先制攻撃を行い、着弾と同時に私とイーグル、サラマンダーが巣窟へ突入し、攻撃を行う。キラービーはここから狙撃による後方支援を頼む。以上が作戦内容だ。異論はあるか。」


『サラマンダー、異論はない』


『イーグル、同じく』


『キラービー......特になし......』


「よし。では、これより攻撃を開始する!総員、臨戦態勢!」


『『『了解』』』




 作戦開始の号令と共に、サラマンダーの乗機【インフェルノ】のバックパックに装備されたマイクロミサイルランチャーの銃口がクリーチャーの巣窟へと向けられる。




『マイクロミサイルランチャー、セーフティ解除、マルチロックオンシステム・アクティベート......ターゲット・ロック――マイクロミサイル、発射』




 その瞬間、インフェルノから多数のマイクロミサイルがクリーチャーの巣窟へと向けて発射された。発射したマイクロミサイルは進路を変えることなくクリーチャーたちのもとへ一直線に飛来し......




――ドガァァァァァァァッ!!!




 着弾と同時に轟音が鳴り、炎が爆ぜ、大気が衝撃で揺れた。


 炎に包まれ、轟音に驚いたクリーチャーたちは、突然の奇襲によって混乱状態に陥っていた。




「さあ行くわよ、イーグル、サラマンダー、突入開始ッ!」


『了解した』


『よーし、いっちょやってやるっす!』




 私はイーグルとサラマンダーと共にクリーチャーの巣窟へと降り立つ。その直後、クリーチャーたちは私たちの存在に気づき、激昂しているかのように咆哮をあげて襲い掛かってくる。私は自身の駆る【ブルーメーア】の腕部に装着された高周波ブレードを展開し、それをこちらへ向かってくるクリーチャーへ向けて振るい、その首を斬り裂く。喉を裂かれ、声をあげることなくクリーチャーはその命を散らす。




『大人しく蜂の巣になるといい』




 サラマンダーが機体の両腕部に装着したガトリングガンを前方のクリーチャーの大群へ向けて、斉射する。その激しい弾幕はクリーチャーに逃げ場を与えず、サラマンダーの宣言通り、彼の放った弾幕を回避できなかったクリーチャーたちは蜂の巣にされていった。しかし、弾幕をかいくぐった一部のクリーチャーがサラマンダーのもとへと突撃し、彼に攻撃をしかける。




『させないっすよ』




 だが、それをイーグルの【ダガーホーク】のアサルトライフルから放たれた銃弾が貫き、その痛みからクリーチャーの動きが鈍る。どうやら仕留めるに至らなかったようだ。




『ありゃ、仕留め損なったっすか』


『ん......撃ち漏らし厳禁......』




 イーグルが仕留め損なったクリーチャーへ後方に構えているキラービーが駆る【ハントスティンガー】のスナイパーライフルから20㎝口径の絶大な威力を誇る銃弾が放たれる。その銃弾はクリーチャーの頭部へと着弾し、その頭は跡形もなく粉々となった。




『着弾確認......』


『キラービー、ありがとっす!』


「流石の狙撃能力ねキラービー。これで居眠り癖がなければ完璧なのだけど」


『むぅ......最後の一言は余計......』


「あら、ごめんなさいね。 ――それにしても妙だわ」




 私はこの状況に何か違和感を感じていた。これだけの数がいるのなら普通は数の利で私たちが不利な状況であるはず。それなのに今は特に苦戦することなく戦うことができている。それに、心なしかクリーチャーたちはどこか疲弊しているように見える。




「何か嫌な予感がするわね......」




 そんな不安を胸に私は目の前のクリーチャーたちのもとへブースターによる加速で接近し、その勢いを乗せて、一体、また一体と次々に斬り刻んでいく。それに負けじと小隊メンバーもそれぞれでクリーチャーの処理をしていく。やがて、そうしているうちにクリーチャーの数は最初の約半分ほどに減っていた。




(この調子でいけば任務達成は確実。あの予感は杞憂で終わったわね)




 そんなことを思った時、ブルーメーアのレーダーが大きく反応を示した。私はレーダーを確認すると、北西方向から何か巨大な魔素反応がこちらへ向かって高速接近していた。私は急ぎ各メンバーへ通達する。




「――!? セイレーンより各機!北西方向から巨大な魔素反応が高速接近中!ただちに――きゃあ!!?」




 通達中、近くで何かが轟音を立てて激突し、私は地面が抉れるような強い衝撃で吹き飛ばされ、コックピット内が一瞬だけ無重力になった。その直後、私は地面へと衝突し、意識が飛んでしまいそうなほどの衝撃に襲われる。




『何事だ!』


『隊長、大丈夫っすか!?』


『あ......あわわわわ......あ、あれは......!?』




 私は朦朧とする意識の中、映像の乱れと共に【WARNING】と表示されるモニターを見る。その時、耳を劈くような咆哮があがる。その音圧によって砂埃が散り、ここへ激突したものの全貌が明らかになった。




――そして、私はそれを見た瞬間、絶望した




「嘘......何で......」




 それはあまりにも巨大だった。私たちが駆るCOAが見上げるほどに。


 その身は硬い鱗で覆われ、いかなる攻撃も通じることはない。


 その口は凶悪な牙が並び、どんな重装甲だろうと容易に貫く。


 その翼は一度羽ばたくだけで、周囲の全てを吹き飛ばす暴風を巻き起こす。


 その姿は、物語に語られる圧倒的な強さを誇る最強の生物そのものだった。






――【飛竜種】






 現時点で確認されているクリーチャー種の中で最強の存在であり、一度も討伐報告がされていない、絶望の象徴。それが今、私たちの目の前に、その姿を現した。

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