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魔核戦機アストレイア  作者: 秋紅葉リュウ
第一章 始動

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第5話 失態と悲劇 side:セイレーン

『なっ!?』


『ひえええ!なんっすかこれぇぇぇぇぇ!?』


『飛竜種......危険......!』




 想定外だった。まさか飛竜種が襲来してくるなんて。その巨体から溢れ出る威圧感に当てられた私は全身が凍り付いたように動かなかった。そして、周囲にいたクリーチャーたちは、恐怖のあまりに一目散に逃げ出す。だが、逃げ遅れたクリーチャーの一体が、飛竜の牙に食い破られる。飛竜はその口を鮮血で染め上げ、骨が砕ける音と共に捕らえたクリーチャーの肉を貪る。


 その光景を見て、私は先程まで感じていた違和感の正体を理解した。クリーチャーたちは逃げていた。自らを食らおうとする捕食者から。クリーチャーたちがこんな数で身を寄せ合っていたのも、妙に疲弊していたのもこれが原因だったのかもしれない。




『く、喰ってる......喰ってるっすよこいつ......!』


『まさに......食物連鎖......』




 喰らっていたクリーチャーの肉を腹の中へ取り込んだ飛竜は、まだ足りないと言わんばかりに空へ羽ばたき、逃げ出したクリーチャーたちを追いかける。だが、私は飛竜が飛び去って行った方向を見て、顔色を変える。




「まずい、あの方向には東京コロニーが!」


『なんだと!?』


『えええ!?冗談じゃないっす!!』


『緊急事態......!』




 私は急遽、飛竜を食い止めるように小隊全体へ指示を通達する。




「セイレーンより各機!持てる力のすべてをもって飛竜を食い止めよ!絶対に奴を東京コロニーへ近づけるな!」


『『『了解!』』』




 続いて、私は司令部の鳴神指令へ通信を飛ばす。




「セイレーンより鳴神指令、応答願います!」


『......なんだね急に、これでも私は忙しいのだが』




 通信に応じた鳴神指令は面倒そうな態度で話してくるが、今はそんな態度に触れている状況ではない。私は声を荒げつつも状況を説明する。




「そんなことを言っている場合ではありません!任務中に飛竜種が乱入し、逃走したクリーチャーと共に東京コロニーの方向へと向かっています!」


『何っ!?飛竜種だと!!?』


「現在、私たちは飛竜種のクリーチャーを追っています!東京コロニーの方も防衛機構を作動してください!」


『ちっ、面倒なことを......!諸君らは一体何をやっていたのだ!!!デモンズはこのような異常事態も想定できないのか!!!』




 私は鳴神指令の怒りの言葉を聞き、この任務を受けたときから溜まっていた不満が抑えられなくなり、一気に爆発した。




「飛竜種が乱入してくるなんて想定してるわけがないでしょう!!元はと言えば無茶ぶりを言ってくるあなたたち司令部の調査不足が原因でしょうが!!!」


『なっ!?貴様、上官に対してその態度はなんだ!』


「話はあとでたっぷり聞きます!だから大人しくコロニー側の防衛をしてください!!」


『おい、待ちたま――』




 私は言いたいことを言った後、鳴神指令の言葉を待たず、強引に無線を切った。後で軍法会議でアレコレ言われるだろうが、今はそんなこと知ったこっちゃない。私たちが今やるべきことは、飛竜を東京コロニーに到達させないこと。それが最優先だ。




「キラービー、あなたの狙撃で飛竜の翼を撃ち抜ける?」


『無理......飛竜が羽ばたく時の風圧で......威力が極端に減衰する......』


「くっ......キラービーの狙撃でも無理か......!」




 キラービーの狙撃が通じないのであれば、遠距離からの足止めは不可能......ならば、できる限り接近して攻撃を加えるしかない。




「全機、ブースター最大出力!飛竜へ攻撃を加えられる距離まで急速接近するわよ!みんな、加速Gに備えて!!」


『ひええ......アタシ、あの押しつぶされるような感覚が苦手なのにぃ......』


『そんなものはあらかじめ克服しておけイーグル』


『ん......それはそう......』




 私たちはブースターの出力を最大に設定し、それを起動する。ブースターから静かに音が鳴り響き、それがだんだんと強い金切り音になっていく。そして、ブースターの推進剤が点火される。その瞬間、私たちは強い推進力でコックピットのシートに押しつぶされる。




「くぅぅぅぅぅっ!!」


『ひぃぃぃぃぃっ!!』


『ぐっ......!』


『あばばばばばばばば......!』




 コックピットの内部は警告音が鳴り響き、モニターには【WARNING】と表示され、機体の各部が軋むような音があちこちから聞こえる。




(機体が持つか分からないわね、これは......!)




 だが、機体の限界を迎える前に、遠く離れていた飛竜とそれから逃げるクリーチャーたちの姿を確認することができた。しかし、それと同時に東京コロニーの外壁も見えてきてしまっている。




『噓でしょ、もうコロニーの外壁の近くにいるんすか!?いくら何でも速すぎっすよ!!』


『先ほどまで俺たちが討伐していたクリーチャーの多くは【牙獣種】の一種【ツイスターホーンブル】だった。奴らは魔法現象で自らの肉体を強化し、周囲の空気抵抗を無くすことで、驚異的な速度で突進をすることができる。それならばコロニーの外壁への到達が速いのも頷ける』


『しかもあの飛竜......すごくしつこい......すごくお腹空いてる証拠......』


「まずいわね......早く食い止めないとコロニーに危害が及ぶ......!全機、ブースター出力を標準に調整!着地の衝撃に備えて!」




 私の指示に従い、全員はブースター出力を標準に調整し、加速の慣性に必死に耐えつつ、クリーチャーたちの近くに着地する。しかし、クリーチャーたちはコロニーの外壁からそれほど遠くない位置にいる。私は急ぎ、メンバー全員に攻撃指示を出す。




「セイレーンより各機、クリーチャーをなんとしてでも食い止めよ!絶対にコロニーへ被害を出すな!総員、攻撃開始!」


『まずは私から......!』




 キラービーがツイスターホーンブルたちを喰らおうと、低空飛行している飛竜の翼を狙って狙撃する。しかし……




――ガキィィィィンッ!!!




 その銃弾は偶然、硬い鱗に包まれた飛竜の尻尾に弾かれ、飛竜に一切ダメージを入れることはできなかった。その直後、『20㎝口径が弾かれた......理解不能......』とキラービーの口からそんな言葉が零れていた。




 『ちっ、ならば飛竜が狙っているツイスターホーンブルを狙うまでだ』




 続いて、サラマンダーが飛竜の捕食対象のツイスターホーンブルを潰そうとバックパックと連結したキャノン砲からロケット弾が放たれる。




――ドガァァァァァァッ!!!




 放たれたロケット弾はツイスターホーンブルたちへ直撃し、その半分ほどが爆炎に包まれ、爆発の衝撃で砂埃が舞う。そして、その砂埃はその近くにいた飛竜の眼へと直撃し、飛竜が苦しみの声をあげる。




『ナイスっすサラマンダー!』


「よし、イーグル、私たちで今のうちに飛竜へ攻撃を加えるわよ!」


『はいっす!』




 私はイーグルと共に飛竜が砂埃で眼が眩んだ隙に攻撃を加えるため、ブースターを吹かせ、飛竜のもとへ急速接近する。そんな時だった――




――ゴォォォォォォ.........




 「なっ!?」




 飛竜の喉奥から、()()()()()()()()()()()が覗いているのを私は見てしまった。竜種が数あるクリーチャー種の中でも最強と言われる所以が、今ここに放たれようとしていた。




「イーグル、今すぐ退避して!あれが――飛竜のブレスが来るわよ!!」


『ちょっ、ええええええええ!?』




 その刹那、想像を絶するほどの衝撃と熱気が私とイーグルを襲う。


 ブレス――竜種に属するクリーチャーの固有能力であり、一度放たれただけでも中隊規模のCOA部隊が壊滅するという最強最悪の魔法現象攻撃。そして、その破壊力は――




「うぅ......なんとか回避できたみたいね......」


『あ......ああああああああああああっ!!!』


「イーグル、どうしたの!?」


『た、隊長......コ、コロニーの......コロニーの外壁が!!』


「え......なっ!?」






――何層も厚く作られたコロニーの外壁を()()()()()で破壊する。

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