第14話 初任務
「ただいま」
学校で水無月との諍いがあってから数刻が流れ、俺は帰宅した。医者の仕事をしている父さんはまだ帰ってきていない。その後、荷物を自室に置き、手洗いとうがいを済ませた後、下校途中にスーパーで買ってきた食材をキッチンへ並べていく。父さんは仕事で帰りが遅いことが多い。だから、夕食当番は自然と俺の役目になっていた。
「さて、父さんが帰ってくる前にさっさと作るとするか」
冷蔵庫から調味料を取り出し、俺は早速夕食作りに取りかかる。そんな時、ポケットに入れていたスマホが着信音を鳴らした。
「なんだ......?」
俺はポケットに手を突っ込み、着信音を鳴らしているスマホを取り出し、発信者の名前を見る。
「国分寺さん......?」
電話の発信者は国分寺さんだった。何かが起こる予感を抱きながらも、通話ボタンを押す。
「もしもし、神崎シュウです」
『シュウ君、突然の連絡ですまない。今は事を急ぐため、要件を手短に伝えさせてもらう。 ――神崎シュウ、君に出撃を要請する』
通話を通して、国分寺さん――いや、国分寺大佐の雰囲気が変わったのを感じた。
「出撃ですか......?」
『そうだ。詳しいことは基地で話す。今はそちらに迎えの車を向かわせている。君は直ちに乗車し、基地へ向かってくれたまえ』
国分寺大佐がそう言った時、家の外から車が停車する音が聞こえた。どうやら迎えの車が来たようだ。
「分かりました。すぐにそちらへ向かいます」
『うむ、待っているぞ』
俺は通話を切ると、キッチンに並べた食材を慌てて冷蔵庫へ押し込み、家を飛び出した。そして、玄関の先には、いつも見慣れていた父さんの車が停まっていた。運転席からは父さんが窓を開けて顔をのぞかせていた。
「シュウ!」
「父さん!?医者の仕事はどうしたんだよ!!」
「国分寺のやつから連絡が来たから早めに切り上げてきたんだ。さあ、早く乗れ!」
俺は言われるがままに車に乗り、父さんはIDOの基地に向けて車を走らせた。
「全く、人使いが荒いんだよ国分寺のやつは!」
「父さん、国分寺さんから出撃要請って聞いたんだけど、もしかして――」
父さんは国分寺さんへの愚痴を止め、「ああ」と短く頷く。
「クリーチャーが東京コロニーの近くに現れたらしい。おそらく、一ヵ月前に現れた飛竜から逃げていた奴らが戻ってきたんだろうな」
一ヵ月前の飛竜の襲撃。国分寺さんからは、飛竜がコロニーに襲来する前、水無月たちが任務中にクリーチャーと交戦していた際、奴と遭遇したと聞いている。恐らく、その時に逃げ延びたクリーチャーたちが戻ってきたのだと父さんは推測していた。
俺は一ヵ月前のあの惨状を思い出す。飛竜というイレギュラーの出現が最大の原因ではあるものの、クリーチャーによってコロニーは多大な被害を被った。今回のクリーチャーたちを放置すれば、いつあの時の飛竜と同等、またはそれ以上の脅威が現れるか分からない。
だが、ここでひとつ気になることがあった。
「父さん、アストレイアの調整は大丈夫なのか? 三日前はまだ調整作業が残ってるって言ってただろ?」
アストレイアの調整作業について俺が聞くと、父さんは「心配するな」と言う。
「こんなこともあろうかと、俺が離れている間にうちの整備士が調整を進められるように設計図と作業内容を伝えておいたんだ。そして、ついさっき俺の部下からアストレイアの調整が完了したと連絡が入ってな。いつでも出撃できるそうだ」
父さんはそう言うと、俺に一冊のファイルを手渡してきた。
「完成したアストレイアのマニュアルだ。操作方法はアレの記憶フィードバック機能で身についていると思うが、一応読んでおけ」
(記憶フィードバック機能? もしかして、俺が偶然アストレイアに乗ったとき、俺の記憶にCOAの操作方法が流れ込んできたあれか)
俺はあの時の不思議な現象の正体に納得しつつ、父さんから渡されたマニュアルを開く。まず目に飛び込んできたのは、完成したアストレイアのイメージ図だった。俺が乗ったときは装甲が取り付けられていない箇所があったり、武器が二つしかないなど貧相な感じだったが、マニュアルに描かれているこれは、装甲がしっかりと取り付けられ、背中にフライトユニットというものが装備されており、全体的に細身ながらもマッシブな印象を受ける。二つしかなかった武器も、銃とナイフが新たに装備され、これなら充分に戦えそうに感じた。
次のページを開くと、アストレイアの装備についての解説が書かれていた。俺があの時使った頭部60㎜バルカンやクサナギも載っている。俺はその二つとは別の装備の解説に目を通す。
まずはイメージ図のアストレイアが手に持っている銃「MBW-02 グングニール」。簡潔に言うと、これはビームライフルらしい。ただ、強力な代わりにオーバーヒートしやすく、一定回数撃つとバレルの交換が必要になるらしい。正直、かなり癖が強い。
次に、アストレイアの腰部右側に二本装備されているチタン合金製のコンバットナイフ。これは至ってシンプルな武装で、手に持って斬りつけたり、投げナイフとしても使える汎用性が高い武器とのこと。投げナイフなんてやったことないんだがな......。
最後に、アストレイアの背部に一際大きな存在感を放っている装備「フライトユニット」。これはある程度自由に可動するバインダーについているスラスターの推進力で飛ぶもので、空中で立体的な動きをすることができるとのこと。ただし、燃料が無くなると自動的に切り離されるらしい。見た感じ重そうだもんな、これ。
そうして俺は次々とマニュアルを読み進めていき、各装備の注意点や運用方法等を記憶に刻んでいく。その時、父さんから声がかかる。
「シュウ、そろそろ基地に着くぞ。マニュアルにはしっかり目を通したか?」
「うん、アストレイアの装備の使い方は一通り頭に入れた。でも、正直使いこなせるかは分からない」
「大丈夫だ、お前なら絶対に使いこなせる。一ヵ月前、不完全な状態のアストレイアで飛竜を倒したお前なら。――本当はお前を戦場に行かせたくない俺が言うことじゃないと思うがな」
そう言う父さんの顔は少し悲し気になっているように思えた。それはそうだ。父さんは俺をクリーチャーと戦わせたくなかった。でも、俺はクリーチャーと戦う選択をした。いくら大切なものを守るためだとしても、俺は父さんと母さんの願いとは真逆の道を進んでしまった。
(俺は本当に親不孝者だな......)
俺がそんなことをそう思った時、ちょうど車が基地へと到着していた。
「シュウ、これからお前をブリーフィングルームへ案内する。ちゃんとついて来いよ」
「分かった」
車から降りた俺は父さんの後をついて行き、基地の内部を進んでいく。そうしているうちに、SF映画に出てきそうな扉が前方に見えてきた。その扉の前に近づくと、自動的に扉が開く。父さんはその奥の部屋に足を踏み入れ、その場で敬礼をした。
「神崎ソウジロウ技術大尉です。アストレイアのパイロット、神崎シュウをお連れしました」
「うむ、ご苦労様だったな、神崎技術大尉」
父さんの声に言葉を返したのは、巨大なモニターの前に立っていた国分寺大佐だった。その手前にはすでに水無月たち第13機動小隊が並んでいる。言うまでもないが、俺の姿を目にした水無月は露骨に不機嫌な顔をしていた。そして、国分寺大佐と反対側の位置に、一ヵ月前、水無月の機体のコックピットでモニター越しに話した鳴神と呼ばれていた男が立っていた。
「シュウ君、急に呼び出してすまないな。何が起きたかは神崎技術大尉から聞いていると思う」
「はい、コロニー付近にクリーチャーが現れたと聞いています」
「そうだ、君にはそれらの討伐任務に加わってもらいたい。それにあたり――」
国分寺大佐は第13機動小隊のいる方へ顔を向ける。
「君を第13機動小隊に配属し、その一員として彼ら彼女らとともに戦ってもらう」
俺の第13機動小隊への配属。国分寺大佐の放ったその言葉に一人、大きな反応をする者がいた。
「待ってください大隊長! なぜ戦闘経験が素人も同然のこいつを隊に加えるのですか!?」
今日、学校の屋上で俺を認めないと怒りを露わにしていた水無月が抗議の声をあげる。俺を嫌っているのなら、間違いなく嚙みついてくるとは思った。
「セイレーン、君が彼を嫌っているのは分かっている。だが、彼は飛竜を討伐したとはいえ、戦いを知らなかった者だ。単身で戦場に出すわけにはいかない」
「それは分かっています! ですが、他にも隊があるのになぜ――」
「くどいぞ、セイレーン」
水無月の声を遮った国分寺大佐は、これまでに感じたことのない威圧感を出していた。その気配に当てられた水無月は言葉を詰まらせる。
「君も我らIDO軍の一員だろう。あまり私情を挟むな」
「......はい、申し訳ございません」
国分寺大佐からの叱責を受けた水無月は、心の奥に燻る不満を押し殺し、大人しく引き下がる。
「すまない、話が反れてしまったな。シュウ君を第13機動小隊に配属する理由についてだが、彼が戦いの中で戦闘のノウハウを身に付けていくためには、君たち第13機動小隊が適任と考えたからだ」
「大佐、なぜ俺たちが適任と考えたのでしょうか」
国分寺大佐の言う理由に対し、不知火が冷静な面持ちで問いかける。
「君たち第13機動小隊は、我ら神雷大隊の中でも屈指の連携力を誇っていると私は評価している。それに、なんの接点もない者たちとシュウ君と会わせるわけにいかない。その点、君たちは彼とすでに顔を合わせている。君たちを監視役として指名したのもその一環だ」
「なるほど。なんの面識もない者と組むよりは、すでに互いの顔を知っている俺たちと組んだ方が心理的にも彼に戦闘経験を積ませる意味でも合理的ということですね」
「そういうことだ。理解が早くて助かる」
不知火の言葉に頷いた国分寺大佐は、自分とは反対の場所に立っている鳴神という男に目を向ける。
「鳴神少佐、モニター越しに話したとはいえ、彼と直接対面するには初めてだろう。改めてここで自己紹介するといい」
「はっ!」
鳴神という男――もとい、鳴神少佐は国分寺大佐へ向けて敬礼をした後、俺の方を見る。
「直接会うのはこれで初めてだな。IDO東京支部軍 神雷大隊所属、第13機動小隊担当司令官の鳴神ツヨシ少佐だ。以後、鳴神指令と呼びたまえ」
「は、はい、神崎シュウです。よろしくお願いします」
「ふむ、貴様が我が軍でCOA開発の功労者として知られている神崎技術大尉の息子か。親子ともども、今後の活躍に期待させてもらうぞ」
どこか胡散臭い雰囲気がする人物だと思いつつも、俺はこれから上官になる鳴神指令と挨拶を交わした。
「よし、前置きも終わったところで、今回の任務についてのブリーフィングを行う」
国分寺大佐の一言でこの場の雰囲気が一変し、部屋に設置されている大型モニターに地図が表示される。
「今回の任務は、東京コロニー北西8.5キロ地点、旧池袋跡地に出現したクリーチャー群の殲滅である。確認されたクリーチャーは牙獣種ウシ型に属するツイスターホーンブルだ。先月、コロニー内に飛竜と共に侵入したものと同一のクリーチャーだ。おそらく、第13機動小隊が遭遇した飛竜から逃れた群れが戻って来たのだろう」
殲滅対象のクリーチャーの内容は、父さんの予想通りのものだった。やはり飛竜の襲撃から逃れたクリーチャーたちが戻り、住処としていたようだ。
「ツイスターホーンブル自体、あまり強いクリーチャーではないが、奴らの身体強化と空気抵抗無効化の魔法現象を利用した突進には注意しておくように。実際にそれによって死傷した例もある。油断は大敵だ」
簡潔に言うと、例え弱い敵でも油断はするなということか。この言葉で、戦場は本当に一瞬の油断が命取りになるということが分かる。
「現状、ツイスターホーンブル以外のクリーチャーは確認されていない。しかし、放置すればいずれ飛竜のような捕食目的のイレギュラーが現れるのは時間の問題だ。そのため、殲滅は迅速に行うするようにしてくれ。任務内容は以上だ。何か質問がある者はいるか」
国分寺大佐がそう言った後、誰一人、手を挙げるものはいなかった。
「どうやら質問はないようだな。では、これより任務を開始する!各員、出撃準備!」
その直後、第13機動小隊の面々が「了解!」と敬礼をしながら言った。少し戸惑ったが、俺も遅れて同じように「了解!」と言う。その後、どこかへ向かう水無月たちの後を追い、更衣室のような場所に辿り着く。
自分の名前が書かれたプレートがつけられているカーテンを開けると、そこには白を基調としたパイロットスーツが置かれていた。俺はそれを手に取ると、一枚の紙が落ちた。
「なんだこれ?」
その紙を拾うと、それにはパイロットスーツの装着方法が書かれていた。のだが――
「え、これ裸になってから着るのか......?」
パイロットスーツは裸になってから装着する必要があるという、少し恥ずかしいことが書かれていた。今思えば、水無月たちと初めて会ったとき、あいつらが着てたパイロットスーツがボディラインがくっきりと表れていたのは、これが理由なのだろう。
(あの時の水無月のスーツの下ってまさか......ってダメだダメだ!なに考えてんだ俺......!)
けしからん考えを必死に忘れようと、俺はいそいそと着ていた服を脱ぎ、用意されていたパイロットスーツに四肢を通し、スーツの上半身前面にあるファスナーを閉じる。すると、背中にある機械が肌と生地の間にある空気を抜き、スーツが身体に密着する。少し驚きつつも、俺はスーツが密着した身体を動かしてみる。
「お、意外と動きやすいなこれ。まるでインナーみたいだな」
正直、身体に密着していると動きにくいんじゃないかと思っていたが、スーツの生地が意外と伸縮性がある物で、動きが制限されるようなことはなかった。
パイロットスーツに着替えた後、更衣室を出ると、すでに水無月たちがパイロットスーツに着替え終わっている姿が見えた。
「お、やっと来たっす。どうすか、パイロットスーツの着心地は?」
俺の姿を確認した風見がパイロットスーツの着心地について聞いてきたため、俺は正直に答える。
「生地が身体が密着する感覚が少し慣れないけど、そこまで悪くはない」
「あー分かるっす。アタシも最初着た時は違和感が凄かったっすから」
「ん......同意......」
俺の感想に風見と蜂谷が共感していると、水無月が不機嫌そうな視線を向けていた。
「無駄話が済んだ? 終わったのならさっさとついて来なさい」
「お、おう......」
「ひえっ......隊長めっちゃ怒ってるっす......」
「ん......凄い不機嫌......」
これ以上、水無月がが不機嫌になるといろいろとまずいことになりそうな予感がする。そう思った俺は大人しく彼女の後をついて行く。そうして進んでいくうちに、見覚えのある場所に着いた。
「ここは......あの時の格納庫か?」
そこは一ヵ月前、俺が水無月たちに連行された時に足を踏み入れた格納庫だった。俺がその光景を懐かしんでいると、「おーい、シュウ!こっちだ!」と俺を呼ぶ声が聞こえた。声の聞こえた方向を見ると、そこには父さんが手を振っていた。俺は父さんがいる場合へと駆け寄る。
「ようやく来たな。見ろみろシュウ、アレが――」
俺は父さんが指し示す方向を見る。そこには、あのやせ細ったような感じが嘘のように消えた白い機械仕掛けの巨人がいた。
「完全体のアストレイアだ」
俺の相棒となるアストレイアが、マニュアルに描かれていた完成イメージ図と全く同じ姿で格納庫の中で佇んでいた。
「これが正真正銘、本来のアストレイア......」
俺はその神秘的ともいえる白く輝く機体を見つめる。細身ながらも、どこか力強さ感じるその風貌に俺は不思議と頼もしさを感じる。俺はアストレイアの傍に近づき、この白く輝くボディに触れる。
「......これからよろしく頼むぜ、相棒」
そう呟いた後、俺は父さんのいる方へ向き直る。
「父さん、俺、行ってくるよ」
「......ああ、行ってこい」
俺は、父さんに見送られながら格納庫の昇降機に乗る。
「シュウ」
昇降機が上へ向かって動き出したタイミングで、父さんが声をかけてきた。
「......必ず生きて帰ってこい。父さんとの約束だ」
「......ああ、絶対に生きて帰る」
父さんとひとつの約束を交わした俺は、アストレイアのコックピットに入り、機体の動力レバーを下げる。
【Power ON Operating System activate COA System All Green】
【Model number : TK-DL-00-P Name : ASTREIA】
【Start up a COA】
コックピットのモニターに文字列が表示され、アストレイアのシステムが順次起動する。そして、しばらくしないうちに機体の魔素変換炉が駆動する音が聞こえ始める。
『シュウ君、聞こえているか』
その時、国分寺大佐から無線が入った。
「聞こえています。国分寺大佐、どうしましたか」
『出撃前のため、簡潔に用件を伝えさせてもらう。シュウ君、君にコードネームを与える』
「コードネームですか」
『ああ、これから作戦中ではセイレーンたちのようにコードネームでやり取りをしてもらいたい』
水無月たちがセイレーンだとかサラマンダーだとか言っていたあれか。俺にもあんな風に呼び合うのか。
『竜殺しの剣――【アスカロン】。シュウ君、それが君のコードネームだ』
「アスカロン......竜殺しの剣か......」
『シュウ君、いや、アスカロン。これから送る地図を頼りにカタパルトデッキに向かってくれ。セイレーンたちが待っている』
「分かりました」
俺は国分寺大佐から送られた地図のナビを辿り、カタパルトデッキへと向かう。
『ようやく来たわね神崎シュウ......いえ、アスカロン』
『お先に出撃準備してるっすよ~アスカロン』
『ん......お先』
『これで全員揃ったようだな』
カタパルトデッキに着くと、すでにセイレーンたちが発進準備をしていた。
『これから出撃するけど。遅れるんじゃないわよ』
「分かってる」
『......なら、足を引っ張らないことね。管制室、聞こえてる?第13機動小隊が全員揃ったわ。カタパルトデッキの解放をお願いできる?』
水無月がそう言うと、デッキのスピーカースピーカーから『承認しました』という声が聞こえた。
『カタパルトデッキ解放。各員、出撃準備をお願いします』
その声を聞いた後、水無月、不知火の機体がカタパルトの上に乗る。
『セイレーン。ブルーメーア、出撃する!』
『サラマンダー。インフェルノ、出る!』
二人の機体がカタパルトに勢いよく押し出され、外へと放たれる。
『続いて、ダガーホーク、ハントスティンガー、出撃準備をお願いします』
『イーグル。ダガーホーク、行くっすよ!』
『キラービー......ハントスティンガー......出撃......』
続いて、後続の風見と蜂谷の機体が外へと放たれる。
『最後に、アストレイア、出撃準備をお願いします』
そして、いよいよ俺の番となった。俺は、アストレイアをカタパルトの上に乗せる。
ここから先は、俺が見たこともないコロニーの外。常に死と隣り合わせの危険地帯。俺はいつ死ぬかも分からないという緊張のあまり、心拍数がだんだんと早くなっていくのを感じる。だが、俺は死ぬつもりはない。絶対に生きて帰る。それが父さんとの約束だから。
『――アスカロン......アストレイア、行きます!』
直後、凄まじい衝撃と加速が俺を襲い、アストレイアがコロニーの外へと向かって、勢いよく放たれた。
こうして、俺の正式なCOAのパイロットとしての最初の任務が始まった。




