表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/52

謎①





今まで出逢った人の中でも1番の巨体。

謎のぬめりで体が艶々と光り輝いている。

歩くだけもしんどそうな村長は、荒い呼吸で3人を呼び止めた。



「ひぃ、ふぅ…依頼を受けてくれるそうで…」

「誠に感謝ですぞぉ」



「こ、困った方を助けるのは当然の事ですから…」


「立ち話も何ですからな、オラの家に来てくだせぇ」



満面の笑みで話をする村長。

距離の近さに背筋を凍らせながら、環は必死に平静を取り繕う。

案内されるまま、村長の後ろをついて行く。




「こいつが本当に村長なの?」

「信じられないんだけど…」



「…でっかい、ぬるぬる」



「しっ!2人とも、これ以上喋るの禁止!!」



2人の言葉を聞いた環が鬼の形相で振り返った。

人差し指を唇に当てて、小声で叱る。

怒気に溢れたオーラに、2人は物凄い速さで首を縦に振った。



気がつくと、目の前には大きな藁の小屋。


既に小屋の中に居た村長が、にこやかに手招いていた。

会釈をしながら小屋へと入っていく。



「こんな村に勇者殿が来て下さるなんて!光栄だぁ」

「何もない漁村ですが、ゆっくりして下せぇ」



促されるまま、硬い敷物へと座る3人。



「ありがとう。でもゆっくりはしてられないわ!」

「あたし達は黒いモンスターを討伐しに来たの」



村長は労いの言葉を3人に掛けた。

しかし、澄香はそれを一蹴し本来の目的を話す。


一瞬、目が丸くなった村長。

だが、次の表情は安堵に包まれた顔だった。



「さすが勇者殿だぁ。…ここ数日で、漁師が何人も消えてんだ」

「海で襲われたみてぇでな、船しか残されてねぇ」

「モンスターから逃れた奴も、黒い痣が出来ちまって苦しんでる」



「…黒い、痣?」



その言葉に、留奈が反応を示した。

険しい表情を浮かべて、村長に問い掛ける。




「その痣、広がったり、してる?」



「何で分かんだ!?今じゃ、もう寝たきりでよぉ」



「…それきっと、呪いだよ」



「何だってぇ!?じゃあ、あいつはもう…死ぬしかねぇってのか?」



衝撃的な一言に狼狽える村長。

大量の汁を滴らせながら、恐怖に怯えて留奈に問い掛ける。

その様子を見ていた留奈は、首を横に振って言葉を続けた。



「…わたしが居るから、大丈夫」



そう言うと、留奈は勢い良く立ち上がり村長へ視線を送る。

威勢の良さに2人は瞬きを何度も繰り返していた。




「そのひとの所まで、案内して」


「あぁ。分かったぁ」



同じように立ち上がった村長。

その後ろを着いていく留奈。

少し間を置いて、2人が後を追いかける。



「留奈!勝手に1人で行動しないでよっ!」



「でも、大事な何かが分かったのよね?」



「…ん、呪いを解除出来ないか、やってみる」



「無理は、しないで頂戴ね?」




環は留奈を見据えると、心配そうな目で問う。

一度だけ頷いて、自信溢れる顔を見せた留奈。

苦しんでいる村人の小屋は直ぐ近くだった。



「ここですじゃ!どうか…!」



「皆は離れてて」

「…お邪魔しまーす」



瞳を潤ませて言葉を発する村長と2人を置いて、小屋へと入って行く留奈。


視界に入ったのは、細長い痣が全身に広がり苦しむ村人だった。

熱にうなされ、大量の汗が流れる。

妻が泣きそうになりながら、何度も汗を拭いている。

荒い呼吸音だけが、小屋に響いた。



「家に何か…用ですか?」


「その人、助けるから。待ってて」


急な来訪者に怯えた目付きで話し掛ける妻。

だが、留奈の言葉を聞いた瞬間目の色が変わった。

体を拭いていたタオルを置くと、一目散に留奈へと駆け寄る。



「ほ、本当ですか!?もう1週間もこのままで…」

「黒いのも広がって、目を覚まさなくなって…うう」



「わたしに任せて。何とか、してみせる」



留奈は、徐ろに村人の前に立つ。

目を瞑り、意識を集中させ始めた。

小屋中が柔らかな空気に包まれていく。


突然、緑の魔法陣が村人の下に展開された。




「苦しいのも、とんでけ!」



目を開いて叫ぶように言い切る。

次の瞬間、直視出来ないほどの光が放たれ全員の目を焼いていく。

咄嗟に羽根で目を覆う。



その時、留奈の魔法陣が瞬間的に黒く染まっていた。


輝きで、誰も気付かない。




俺は、後で後悔する事になる。


何故この時、留奈の近くに居なかったのだろうと。






烈しかった光は緩やかに収束し、やがて小さな粒となって空中で消え去った。

仕事を終えた留奈。

額に汗を滲ませてふぅと小さく吐息を漏らす。




「…もう、大丈夫」



静かに振り返ると、留奈は外に居た全員に向かって話した。

バタバタと足音を立てて部屋に入って行く。

入れ替わるように、呼吸を荒くしながら部屋から出て行く留奈。

細い腕に黒い痣が出来ているのを、ローブで無理矢理隠した。




その先には、黒い痣がすっかりと消え去った村人の姿。




「…あれ、ここは?」

 

「あんた!やっと目を覚ましたんだね!」


「ハッ!そうだ!俺は黒い奴に襲われて…!」



村人が、意識を取り戻した。

思わず語気を上げながら抱きついて嬉しさを分かち合う妻。

睦まじい姿に、皆の頬が綻んだ。



しかし、村長はすぐに村人に向かって問いかけた。




「襲われた時の事、詳しく教えてあげてくれぇ」

「このお三方はな、オマエを襲ったモンスターを退治してくれるそうでな」



「えっ?…はい。と言っても船に乗ってたんで、詳しい事は…」



「何でも良いわ。少しでも情報が欲しいの!」



懇願する澄香。

その様子に困惑しながらも、村人は一つ一つと言葉を紡ぎ始める。



「俺が漁に出るのはいつも夜なんだ。あの日もそう」

「普通に作業して、帰る予定だったんだが…」

「突然、俺の体に黒い何かが纏わりついてきたんだよ!」



物騒な言葉に、辺りの空気が重くなってきた。

生唾を飲みながら話を聞く2人。



「物凄い力だった!体を潰されて、そのまま落ちて死ぬかと思ったよ!」

「俺はたまたま、持ってたナイフを振り回したら当たったみたいで逃れたんだ」

「でも、帰ってきたら変な痣が出来てて…」



身振り手振りで話す村人に、じっくり耳を傾ける。

小屋の入り口に居た留奈がか細い声で呟いた。



「それが、呪い…だよ」



「触られただけで?ずるいじゃないの!」



「もし戦闘するなら…攻撃を受けてはダメと言うことね」



難しい顔をして考え込む環。

澄香も急に静かになり策を巡らす。



「って言っても、そんな簡単な事じゃないわよ?」

「あたし達、毎回ボロボロじゃない」



「ごめんね。私の盾が、もっと強かったら…」



「お姉ちゃんにはいつも助けられてるから!大丈夫だって!」



環は不甲斐なさそうに眉を下げて悔しそうに口をつむぐ。

慌ててフォローを入れ、励ます澄香。

そんな2人を横目に見ながら、村長は再び村人に問う。




「何処で襲われたか、分かるか?」


「南側の、海岸です!多分夜しか出てこないと思います!」


「確かにそうだなぁ。勇者殿、如何します?」



やっと、黒いモンスターの出没地域を特定出来た。

村長が目を遣ると、澄香は自信満々な顔で言い放つ。



「決まってるじゃない!今すぐ行くわ!」



「あの…船を、借りても良いですか?」



「勿論です!助けてくれたんだ!俺のを使って下さい!」

「襲われてボロいからすぐ分かると思います!」



「お心遣い、感謝しますわ」



話が纏まると、我先に走り出した澄香。

目的地は南側の海岸。

環も感謝を述べると、続いて小屋を去って行く。



そんな中、留奈は1人その場から動かない。



不安そうに見つめる村長。



「勇者殿…大丈夫ですかい?」

「オラがあそこまで運んで行こうかぁ?」



「…ちょっと、疲れただけ」

「ありがと。行ってくる」



俺を抱き上げながら呟く留奈。

いつもより、体温が高い気がする。

魔力の消耗が激しかったのか?


フラフラと覚束ない足取りで現地へと向かう。



「お気を付けてー!」



留奈は、その声に応えるように振り向いて会釈をする。

俺を抱く手が、静かに震え始める。


顔が上気し、息も荒くなっていく。



留奈の腕の痣が、脈を打ち僅かに広がった。




(今の、波動は何だ…?)





既に敵の術中に嵌っている事を、俺達は知らなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ