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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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情報




部屋から差し込む朝の日差し。

苦しそうだった澄香の顔色が格段に明るくなった。

澄香を見据えると、安堵の一息を吐いた留奈。

そのままベッドの際にパタリと倒れ込んだ。



「留奈ちゃん!?大丈夫?」


「…大丈夫。集中が、切れただけ」



そんな留奈の頭を優しく撫でる手。

瞼が震え、澄香の意識が戻る。



「あーあ!またバレちゃった!」

「頼るって言ったのに…ごめんね」




白々しい笑顔で言い放つ。

だが、二言目には謝罪の言葉。

くしゃりと顔を歪ませて、澄香は2人を見つめた。




「本当に!これっきりだからね!私の心臓が何個あっても足りないわぁ…」



「…何回でも、治してあげるよ」



ぷりぷりと頬を膨らませて叱る環。

柔らかい笑みで語る留奈。

胸が迸るように熱い。

耳まで赤く染めた澄香はか細く呟いた。




「もう、しないから」




「ええ。もっと私達を頼って良いんだから、ね?」


「…ん、パーティ、でしょ?」



「うんっ!2人ともありがとう!あたし、支度するね!」




2人の言葉に心の底から笑う澄香。

元気に声を弾ませ、出発の準備を始めた。



「フーちゃん、出てって」



留奈の力強い眼差しが俺を射抜く。

慌てて羽ばたき、部屋から飛び出した。






暫くすると、3人が用意を済ませて部屋から出てきた。

忙しそうに早足で階段を降りてくる。

俺は早速、留奈の頭に飛び乗った。



「…ふふ、フーちゃんも準備バッチリだね」


「さっさと話をしに行くわよっ!」


「そうねぇ。さ、行きましょうか?」



環が玄関のドアを静かに開けた。

先陣を切り、走って出ていく澄香。

何かが吹っ切れたように元気良く歩いて行く。


やっと、パーティが帰ってきた。





―――オルドの街 ギルド



ガチャッと音を立てて、環はギルドへの扉を開ける。

目の前にはいつもの受付嬢。

ふと目が合うと目を輝かせて言葉を放つ。



「冒険者ギルドへようこそ!」


「待ちくたびれていたよ」


受付嬢の後ろにはギルドマスター。

壁に寄り掛かりながら、目を細めて発言する。



「昨日の件について、ですよね?」


「ああ、ここで話す訳にはいかないからね」

「着いてきてくれるかな?」


「では、奥の客室へご案内しますね!」




受付嬢はファイルを沢山抱えると、いつもとは違う方向へ歩き出す。

その後ろを恐る恐る着いて行く3人。



「こっちにも部屋があったのね!」


「私達、ここでゆっくりした事なんてないものねぇ」


「…隠し扉、あるかな」



鼻息を荒げ、辺りを見渡す留奈。

その様子に2人は微笑ましくなり口角が小さく上がった。



とある扉の前で、受付嬢が立ち止まる。

丁寧に扉を開けると、4人に入るよう促した。



「こちらでごゆっくりお話し下さい!」

「私は受付に戻ってますね!それでは!」



にこやかに言いながら、大量のファイルをギルドマスターに押し付ける。

元気良く会釈をすると、受付嬢は颯爽とカウンターへと戻っていった。




殿に居た留奈がそっと扉を閉める。

マスターはソファへと目を配り、3人は急ぎ足で着席した。




「では、始めようか」



ゆっくりとマスターが腰掛ける。

たった一言で空気が変わった。

肌に感じるヒリつくオーラ。



静寂の間。


誰かの喉が鳴る音が聞こえる。




「あいつ、何者なの?」

「あたし達の全力が何一つ通じなかった…っ!」



「私達も魔道具の件で追っていたのだが、派遣隊が誰1人帰って来なかったんだ」

「唯一届いた書簡では、雷の化け物だと」



呟いた言葉と共に、マスターは俺に視線を向ける。

バチっと目が合った視線。

思わず目を泳がせてしまった。



「雷の魔法を扱うのは容易い事じゃない」

「…雷神様に、加護を受けた者ではないと使えないんだ」



「ええっ!?あいつ、祝福を受けてるって訳!?」


「…でも、黒い雷、だった」


「とてもじゃないけど…神聖な気は感じなかったわ」




マスターの発言に、部屋中に響き渡る驚愕の声。

各々がそれに対して意見を述べる。

留奈の言葉にマスターが反応し、深いため息を吐いた。



「ハデス、か…」



(俺達を狙ってるあいつの名前がなんでそこで…!?)



動揺を隠せず、ビクリと羽根が震え上がった。

3人は不思議そうな様子で問いを返す。




「ハデス?誰それ?」


「クロノスではない、第三の勢力なのですね?」


「…あの人は、真っ黒だったよ」




頭を下げて項垂れるマスター。

暫く無言だったが観念したのか、ポツリと言葉を紡いでいく。



「あれを…神だなんて、呼びたくもない」

「人間の手には負えない…悍ましい化け物さ」



発せられた言葉に、3人の表情が一気に曇る。

冷たくなる部屋の雰囲気。

重々しい空気が薄氷のように広がって行く。



「もし…あたし達が諦めたら、化け物になっちゃうってこと?」



親指を食い込ませて手を握りながら澄香はマスターに問う。

伏し目がちに、床を見つめて。



声のトーンが一つ下がるマスター。



「君達がいつ絶望するのか、今も笑って見てるかもしれない。ハデスはそんな神だよ」




「ふ、ふんっ!舐められたものよね!」



「ハデスはわざと、私達とメルクスを戦わせたのでしょうか?」



マスターは環の話を聞くと、小さく唸り声を上げて考え込む。

トントン、と片足を揺らす音が聞こえる。

受付嬢から貰ったファイルを広げ始め、語り出した。



「いや、魔道具で探らせた冒険者も、帰還すらしていないんだ」

「攻撃が当たらない、黒い光が空から落ちてくる」

「圧倒的な魔力、異常な攻撃性…記録にはそう書かれているね」



「でも!あいつはあたしに止めを入れなかった!」

「試されたのよっ!人生を、諦めるのか…」



澄香は両手をテーブルに激しく叩きつけた。

悔しそうに声を荒げて発言するが、言葉尻は小さくなっていく。

そのまま力無く床に座り込んでしまった。



「それでも、君達は唯一の帰還者だ」

「こんな重い事を頼みたくないが…メルクスの力に対抗出来る、勇者であって欲しい」




「3人とも、ボコボコにされたのに?」



「生きているだけで、素晴らしい事もあるんだよ」




労う言葉。

優しい台詞。


肩の荷が降りたように3人は大きく息を吐いた。

その光景をお互い見つめると、肩を揺らして笑い始める。



「そーね!生きてれば、あいつとまた戦えるわっ!」


「ええ。次に会った時は必ず、倒しましょうね」


「…今度こそ、全部守るよ」



3人の宣言により、場の空気が一瞬で明るくなる。

鼓舞するように腕を振り上げ声を出す。

その様子を見て、マスターは嬉しそうに目を細めた。






高らかな宣言は、世界の狭間にも響いた。





「ほほーっ!宣戦布告じゃのぉ」



口角を上げ悪戯に笑みを浮かべるゼウス。

その後ろには、黒衣の男。



「くだらんな…」

「メルクスにすら届かぬ勇者など、必要ない」



その言葉に割って入るのは、アテナだった。



「では、私も動かせて頂きます」



怒りに満ちた眼差しをハデスに向けて語気を強めると、金色の風が強く吹き荒れる。

荒れ狂う風は、アテナを包み込み変えていく。



「…見くびると痛い目見るぞ?」


「……」



狭間の空間が歪みそうな程の波動。

魔力がぶつかり合い、空が歪む。



「チッ。構っている暇などない」



苛立ちを覚えた声は、舌を鳴らす。

張り裂けそうな雰囲気のまま、ハデスは漆黒の風を巻き起こし跡形もなく消え失せる。




神々が動き出す。

それぞれの人生が、変わっていく。




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