第60話 【閑話】ステージ移行~ヒロインステージ~
クリスタルオーガを倒した後。金の配分で揉めた。金を多く貸し付けるのは一緒に旅している私だと巴が、命を助けてもらった私だとステラが、俺を取り合ってきた。結局ステラから多く借りる形で決着が着いた。それで今俺は2人から借金をしている。転移前の知識チートによると、とりあえず借金を一本化することが返済の近道だ。だが、俺はステラと巴からの借金を一本化できるのか?
ところでステラはめっちゃかわいかった。私の命を救ってくれたと従順だし。その割に私は金主だからと強気でもくる。巴とは違うタイプの女の子だ。ヒロインというならこういう子で間違いない。ステラが好意的に甘えてきてボディタッチが増える。心なしか巴からもボディタッチが増えている感じがする。これはふざけているだけか。でも妙に距離が縮まって、時々ドキドキしてしょうがない。ただ最近気になるのは何故か巴の機嫌が悪い時がある。何故だろう。嫉妬かな。巴の特約はとってつけたものだが。まさかな。
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「今日はこのお店にしましょう。可愛い」
店員が俺らの前に水の入ったコップを2つ置く。
「コップ、もう一つお願いします」
店員が驚いた声を上げる。なんでだ?
「もう一ついるわ」
「そ……そうですか」
店員が薄気味悪そうにコップをもう一つ置いていく。
「ごっ、ご注文は」
「私はこの肉料理」
「俺はこれだな」
ステラが無言で魚のムニエルっぽい何かを指さす。
「ステラは……ステラは魚が食べたいんだってえ」
何故かホラーテイストで巴が店員に注文を伝える。
「かっ……かしこまりました」
悲鳴を押しつぶした声で了承した店員がオーダーを通しに去って行った。
「ねえ、ステラ気配消すのやめない?」
「ああ、消えてたのか」
「これは癖。癖になってる。最初の店に入る時は知り合いがいないか、確認して姿を見せるようにしている」
「ステラさんの分もお出ししますねっ。ご、ごゆっくりー」
注文を並べた店員の前にフードをかぶった青髪のおぼろげなステラが現れるよう、ステラが演出した。
見ようによっては、というか幽霊にしか見えないだろう。逃げるように店員が離れていった。
「ステラ意外と趣味悪いわね」
「初めてやった。結構楽しい」
クスリとステラが笑う。
「遊都ってお金好きよね? その割にがめつくないわ。なんで?」
そういえば、ここの食事は割と高級だったなと思う。
「馬鹿だな。金にがめつくてケチなのは3流だ。本当の拝金主義は金を生み出すものには金を出す。今稼げる手段はテキサスホールデムだからな、いい集中力、的確に判断できる頭が必要になってくる。そのためには万全に体調を整える必要がある。よって多少高くても栄養バランスのいい食事は欠かせない。それが、金を生む。しかも健康になれば病気やけがなどの無駄な出費をしなくてすむ、素晴らしい」
「遊都はすごい」
「だから巴も野菜食え野菜」
「嫌よ、力でないもん」
「ステラは魚好きなの?」
「話題そらしたな」
「私のいた村では肉ばかりで、その反動」
その後は、故郷の話とかそんなとりとめのない話をたくさんした。時間はたくさんあった。ギアスに向かう前に軍資金はあるだけあった方がいいし、巴のCランク認定もまだだ。ステラも付き合っている以上Cランク認定をとってギアスに向かうことになるが、スキルの能力だけで勝ってきたので、テキサスホールデム自体はクソ雑魚だ。ステラにもテキサスホールデムを教えなければならない。ターバインの滞在はまだ長そうだ。
「ここの食事は私が出すわ」
「いいえここは私」
「じゃあ私が持つ」
「私は新参者」
「分かったわ」
トランスファーの貸借モードに同意する。
俺が店に払った。
いつものことだ。普段の買い物の時も二人して、俺の残高表示にお金を渡してくれる。おいおい、また俺の借金増えちまったよ。
「残高表示」
(貸借モード):負債・債務を表示
ステラ10480ライル
金利特約:付き合うこと
徳川巴5280ライル
金利特約:機嫌をなるべくとること
俺の債権を取り合いするヒロイン達に向けて言った。
「奢れよ」
2章:本編に絡まない余談
癖のある2章を読破し、ここまでお読み下さいましてありがとうございます。
ブクマと評価励みになりますとしても、つまらないので消して本編に関係ない余談載せておきます。
Q:セルゲイ・ヴェレミエンコって何人?
A:ロシア人です。
セルゲイに主人公はテキサスホールデムしようぜと呼びかけていますが、思い入れがあって。この2章を書いている時にpokerstarsでロシア人のアカウントが追い出されました。ウクライナとロシアの戦争です。ロシア人がいなくなってからウクライナ人のアカウントが目立つようになって、複雑な心境になったのを覚えています。クレバーなハイパーアグレッシブなプレイヤーがごっそり消えたのですから、テキサスホールデムの環境が大きく変わりました。ここでどうこう語るつもりはありませんが、1テキサスホールデムプレイヤーとして全世界の人が隔てなくプレイできる平等な場所であって欲しかった。そう切に思っております。
ちなみに著者は現在はpokerstarsをやっていません。税金を納めたらやっていいという方向ではなく、オンラインカジノは違法という流れになりつつあるからです。日本人はセルフで締め出しを食らいはじめていますが、アメリカ人もカジノという既得権益を守るためにアカウントが作れないようになっています。まあ、カナダ人アカウントでやってるみたいですけど。そんな理由でグレイソン・コートはカナダ人です。




