第53話 Cランク認定戦セミファイナルA3
【8ハンド目 開始時点 ブラインドレベル2:30/60】
BTN(最初)…… 巴 (1550)
SB …… デアロ (1000)
BB …… ポンジー (2450)
私のハンドはクラブのQとダイヤの5。ぱっとしないけど仕掛けられないよりマシ。3人ならいけるでしょ。
「レイズ180よ」
「コールである」
「フォールドじゃ」
デアロとの1対1。ここで仕留めておかないとトップにはなれない。ポンジーにデアロのチップを奪われでもしたら、ものすごく不利な局面でヘッズアップをしなければならなくなっちゃう。ヘッズアップはもう始まっている。私はデアロと潰し合わなければいけない。……Dランク認定戦で分からなかったことが今なら分かる。
<フロップ>
ダイヤの6 ハートのQ スペードのA
デアロがポッドの半分をベットしてくる。
Aを持っているの? 持っていないの?
「コールよ」
<ターン>
クラブの7
フラッシュの目は消えた。ううん違う。フラッシュの目なんて元からなかった。フロップはマークがばらばらなのにデアロはベットしてきた。これは純粋に数字の勝負だ。
「チェックである」
Aを持っている? こっちのAを警戒してる? それともQ? ベットしたら勝てる? ……できないこんなハンドでは勝負できない。
「チェックよ」
<リバー>
スペードのJ
「チェックである」
仕掛ける? キッカー。そうだ。キッカーが私弱いんだった。
「チェックよ」
デアロはQとTを見せた。デアロの勝ちだ。私は考えた手札を伏せて捨てず、広げた。デアロの眼鏡が曇っていて表情は読み取れない。
あのラウンズ戦をめいいっぱいやった日々が蘇る。
「いいか……どんなプレイをしたかは覚えておくんだ……これは相手じゃない自分もだ。相手はどんなハンドでどんな賭け方をしてきたか、自分はどんなハンドでどんな賭け方をして、そのハンドを見せたのか。それを覚えて次に似た状況になった時……それは仕掛け時だ」
今がその時――
デアロはミドルペアでも入ってくる私もそう……でもキッカーはこんなに弱いのよ。黒い炎に包まれた私が笑った気がした。
【9ハンド目】
デアロがレイズしてポンジー、私と続けて降りた。
【10ハンド目 開始時点 ブラインドレベル2:30/60】
BTN(最初)…… ポンジー(2390)
SB …… 巴 (1115)
BB …… デアロ (1495)
ポンジーが降りた。ありがたい。
「レイズ180よ」
「コールである」
ハンドは8K
<フロップ>
J38
またミドルペアでヒット。今度は順番が逆ね。ポッドの半分で仕掛ける。
デアロがコールで受ける。
<ターン>
5
レインボー。状況は2ハンド前と一緒。私はどう思われている? 仕掛ける? 降りてくれる可能性はある。だけどそうではなかった時、私のチップは通常のプレイが出来ない戻れないところまで減る。ある程度減ったチップから勝とうと思ったらオールインを連発するしかない。どうしよう。ここは2ハンド前をなぞる。
「チェックよ」
「チェックである」
Jは持っていない?
ただでリバーを見たがった?
<リバー>
Q
Qを持っていると……思わせてみせる!
ノータイムでオールイン。これで降りてくれるはず。
悩んだデアロが眼鏡の位置をもどす。ゆっくりとデアロが宣言する。
「コールである」
しまった負けたかも。
「8のワンペア、キッカーKよ」
「……8のワンペア、キッカーTである。勝てると思ったのであるが」
首の皮一枚繋がった。
【10ハンド目 終了時点 ブラインドレベル2:30/60】
BTN(最初)…… ポンジー(2390)
SB …… 巴 (1115→2230)BB …… デアロ (1495→380)
11ハンド目。私はいつものようにビッグブラインドの3倍のレイズを打った。デアロが悩んで降りて、ポンジーもそのまま降りた。
12ハンド目。デアロがオールイン。ポンジーが降りる。オールインどうだったか。遊都との会話を思い出す。
「相手のオールインには理由がある。本当に強い時、ブラインドに追い詰められている時、コールして入ってきてもらっても問題がない時、いづれにしても勝ちの目があるからオールインしているんだ、だから大体の場合流すのは正解になる。自分がモンスターハンドの時、相手が嘘を仕掛けている。仕掛けていると思った場合は例外だけどな」
強いと言っているハンドとやり合う必要はないか。
デアロのハンドを私も受け流した。
13ハンド目は66ポケットペア。どうだったかな強いんだっけ。負けても1820か。チップ差を見る。ポンジーが入らなければオールインしよう。そう考えを巡らしているうちにポンジーがレイズ200で入ってきた。え? どうしようフロップ見た方がいいのかな。
「コールよ」
「オールインである」
「コールじゃ」
「コールよ」
フロップがめくられる。強いカードがたくさん出てきて私の66は場違いな感じがする。チェックで回したらポンジーがレイズをしたのでフォールドするしかなかった。間違えたかも。ポンジーはデアロを飛ばしてチップ差が開いてしまった。
【13ハンド目 終了時点 ブラインドレベル3:50/100】
BTN(最初)…… ポンジー(2300→3180)
SB …… 巴 (2260→1820)
BB …… デアロ (440→0)
ここまでであるかと呟いてデアロは去って行った。
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Cランク認定戦:A 3位 敗退 デアロ
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残り1人。相手はポンジー何の特徴もなし。やれる。きっと勝てる。追いついてそして勝つ。勝って次の都市に行って、地球に帰る手がかりを見つけてみせる。
「やっと抜けおったか。若いもんは年寄りに何かとすぐスキルをかけたがる。勘弁して欲しいものじゃ。フン、このまま、わしがトップ独走じゃ」
「そうはさせないわ」
「小娘に遅れをとるほどわしのテキサスホールデムは甘くはないぞ」
私の心に熱が入る。
ポンジーと視線が交錯する。
空中で火花が散ったような気がした。




