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第48話 Cランク認定戦セミファイナルA

:::::::::::::::::::::::::


      「Cランク認定戦 開始」


【テーブル】A


【開始時席順】


BTN(ボタン)       …… デアロ

SB(スモールブラインド)  …… レガリス

BB(ビッグブラインド)   …… ポンジー

UTG(アンダーザガン)   …… 巴


【ブラインド】

25/50   6ハンド刻みでブラインドレベル上昇

【開始時アンティ】

なし

【開始時チップ】

1250

【開始時刻】

10:00

【賞金】

優勝 15000ライル + Cランク認定

2位 10600ライル

【備考】

一位通過でBテーブルの勝者とヘッズアップ

 

:::::::::::::::::::::::::


「よろしく僕はレガリス・エストだ」


 さりげなく出された手に自己紹介して握手していた。


「なんだまともな人もいるじゃない」

「なにか……」


 レガリスはさらりと金髪を掻き上げた。

 レガリスの眼が妖しく光る。


「いや何でもないわ」


 妙に上気した顔を見られたくないと思った。


 ハンドはK7色違い


「ごめんなさい……ぼっとしてたわレイズ……100」

「可愛らしい手だ」

「見てられぬであるな」


 デアロがレガリスとポンジーに颯爽たる初志の風(エアロ・ブレイズ)と能力逆転(リバース)をかける。レガリスの顔色が悪くなり、ポンジーが髪を掻きまくりフケが飛んだ。


「おや、巴にはいいのかい?」

「我は無駄なことはしないのである」

「妙なことを言うね? まあ紳士なのはいいことだ」


 デアロが顔をしかめた。


「いつか後悔するのである、コール」

「コールさ」

「コール……じゃ」


 <フロップ>

 Q2Q


 レガリスが人差し指をくるっと回しチェックを伝える。

「チェック……じゃ」

「……チェックよ」

「チェックである」


 あれ……今レイズしてたらチップ取れてたのに……

 レガリスさんの微笑みにつられて微笑んでしまう。


 <ターン>

 T(10)

「レイズ200だよ、巴」

「フォールドじゃ」


 ああ……レガリスさんが名前を呼んでくれた。もっと呼んでくれないかな。


「コール」


「フォールドである」


 <リバー>

 5


 なんか頭が痛い。伏せたカードをなんとなくめくる。


 K7?

 コミュニティカードはQ2QT5?


 なんで私はリバーまで参加しているの?


「オールインだよ、巴」


 またこれだ、なんかくらくらする。

 奥歯を噛みしめた。


「フォールドよっ」

 

 こいつ……何かしている。レガリスを睨んだ。


「僕は強い娘も好きだよ」


 余裕の笑みを浮かべたレガリスが高見から見下ろして

いた。



【3ハンド目 終了時点 ブラインドレベル1:25/50】


BTN  …… ポンジー  (1125→1225)

SB   …… 巴     (950→900)

BB   …… デアロ   (1375→1325)

UTG  …… レガリス  (1600→1550)



 ハンドが進むたびレガリスの笑みが怪訝なものに変わっていく。


「ねえ? 巴は土属性かい?」


 口を閉ざして私は答えない。

 さらに自問自答してレゴリスがこぼす。


「ひょっとしてついてるってことは……ないか?」




【5ハンド目 開始時点 ブラインドレベル1:25/50】


BTN  …… デアロ   (1300)

SB   …… レガリス  (1500)

BB   …… ポンジー  (1300)

UTG  …… 巴     (900)




 そして私は神妙な顔で悩む男と対峙していた。


「分からないな……いや、君の胸の大きさの話だ」


 普段なら湧き上がるであろう怒気も今も鳴りを潜めている。


「僕は今君の胸の大きさについて真剣に考えている」


 殴りたい気持ちと殴りたくない気持ちが交錯する。


「ああ今彼女がいれば! いや彼女がいたらこんなことはできないか。これは悩ましい。徳川巴。あとでちょっと見せてくれないか」


 垂れた前髪をさらりと手でかきあげ、レガリスが私を見つめスキルを使う。

「魅了(チャーム)」


 その瞬間。私の心臓が早鐘を打った。なにこの整った顔! 男なのにケアが行き届いているお顔。毛穴の開きはなく、あれはパック? いや化粧水もしているに違いない。あんなかっこいい人に抱かれたら私は……


「じゃねぇ!」


反射。颯爽たる初志の風(エアロ・ブレイズ)を受けてきた経験が生きる。即座に感情を炎に変え、天井に放つ。ふっと悪い憑物が取れると同時にどす黒い感情の波がやってきた。気持ち悪いものを見せんな。馬鹿、クズ、この死んでしまえ。


「ディーラー!!」


大声で叫んだらさっとタキシードの男が現れる。


「ディーラーつまみ出してこいつ他者を害するスキルを使ったわ」


「徳川巴様、誠に申し訳ありませんが、レガリス・エスト様は他者を害するスキルを使っておりません。魅了(チャーム)はですね。デバフではなくてバフと協会の方で判断されています」

「僕のスキルは君の中の僕の好感度を高めるものだからね。つまり、君は元もともと僕を好きだったてことさ。おいで、抱いてあげる」


 レガリスが私の顔を見てぎょっとする。


「女性ってそういう顔もできるんだね。さすがの僕も

ちょっと引いたよ」

「ない……絶対ない」

「どうやら君とは相性が悪いようだ……嫌いじゃないけどね」

「私は嫌いよ!」

「そんな直情的なところも魅力的……だよ」

「ディーラー!|部外者の準致命的な言及《トラッシュトーク》」

「部外者ではありません巴様」

「今度食事でも――」

「それが先だろうが」


 首を振り、もう一度炎を通気口にぶんなげた。

 妙にほんわかした炎だったのが鼻につく。


 隣のテーブルを見た。

 遊都が泣いている。私の炎を見て泣いている。

 大丈夫。私も泣きそう。

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