第44話 中級冒険者Cランク認定戦
――Cランク認定戦
それは地方大会優勝者に与えられる称号である。地方によってルールが違うが、ターバインでは4人で争うラウンズ戦が取り入れられている。テーブルAとBに分かれそれぞれのテーブルの勝者同士でヘッズアップし、優勝者がCランクの称号シャークと呼ばれる。
王都圏ではテキサスホールデムの大会が日々執り行われているので、王都圏以外で行うDランク認定戦よりその頻度は高い。ここターバインでは規定の人数が集まると随時執り行われるのだ。参加者は8人揃った時点で大会の日時を知らされる。まずはハイレートでの勝者を目指し、参加チケットを手に入れる。
遊都と巴はそれぞれ参加料1000ライル払い、Cランク認定戦参加権の優勝賞品を手にし、参加基準を満たしていた。
外は雨が降り始めていた。
「時間です、人数は1人足りませんが、始めることとしましょう。彼からは市の傘を作り次第、すぐに向かうと連絡を受けています」
これが大会で使うトランプです。
ディーラーが2つのトランプを2つのテーブルに扇状に広げた。そのうち中央のカードを1枚ずつとって、参加者の前に掲げ、専用の台座に立てかけた。
「各人、攻撃、補助問わずスキルを有する者はこのトランプにスキルを放て。カードを壊すのだ」
「毎回思うけどこんなのいるかな?」
「ルタ!」
「はいはい二対一体の双子剣」
ルタのスキルの剣はトランプとは反対の入り口のほうに漂っていった。浮いていた剣がトランプに標的を定めると目にもとまらぬ早さでトランプに突き刺さった。いや、鈍い音がして剣がはじかれる。面白くなさそうにルタがスキルを解除した。
「他の者も打ち込みなさい」
デアロが風の刃を、ステラが氷の刃をトランプにぶつける。
「僕は攻撃スキル持っていないんだ。野蛮だからね」
見知らぬ男が言うとポンジーも続いて言った。
「わしもじゃ」
「ないなら打たなくてよろしい」
促され俺と巴がそれぞれ前に出る。
巴が人差し指からふよふよした炎を放つ。
炎はトランプにはじかれ霧散した。
1ライルでいいか。
「バッキー」
なでるような攻撃をした。
トランプは未だ新品のようだった。
ディーラーが満足気に告げる。
「見よ、スキルをはじいた。これはこのトランプこそが、高純度のエーテルの結晶で作られたものであることの証左」
ディーラーはトランプを元の組に戻すと綺麗にシャッフルして机に置いた。その仕草が丁寧でうやうやしくすらある。
「では、魔力奉納の儀に入る。私に続きご唱和を」
「ヌイトに捧げる」
「「ヌイトに捧げる」」
「我らは盟約に囚われし10人」
「「我らは盟約に囚われし10人」」
「数多の英霊の捧げし、剣に連なるものなり」
「「数多の英霊の捧げし、剣に連なるものなり」」
「風よ、水よ、地よ、火よ。星の煌めきのもとイシスへの道程を照らしたまえ」
「「風よ、水よ、地よ、火よ。星の煌めきのもとイシスへの道程を照らしたまえ」」
体から立ち上る何かが作り変えられて王都上空の魔法陣に駆けていく。満足げにディーラーは宣言する。
これよりテキサスホールデムは他者を対象に害するスキルの使用を禁止します。




