第42話 水鏡(別名転移)の迷宮3
快進撃。それはスカッと爽快な描写になるはずだった。
「もう使うのやめたら?」
「いやでもせっかくの攻撃手段だし」
アクアオーガをなんとか切り伏せた。
今また……俺は100ライルを失った。
【遊都】
(現在所持ライル)
3144ライル
新スキル『バッキー』を覚えた俺はとりあえず脅威度が低い氷の精霊で試し切りしたのだ。
「1ライル」
氷のつぶてを半身でかわし、切り結ぶ。
何か当たった? という感じでふよふよ浮いている。
「……10ライルアタック」
かつんと手応えはあった。手応えは。
氷の精霊の浮遊音がむかつく。
俺は覚悟を決めた。
「持って行け……俺のハイレート2回分」
氷のつぶてごとは切れなかった俺の一撃は氷の精霊に致命傷を与え、切り殺したのだった。
「切れ味、私よりちょっと強くなったね」
「100ライルぐらい……そう100ライルからか……」
「私の剣の値段は……」
「言うな! 言わないでくれ! それを言われたら俺はもう、立ち直れない」
俺は膝から崩れ落ちる。
でもまてよ。
立ち上がり巴に向き合う。
「切り札にはなるよな。どこまでも攻撃力あげれそうだし、うんうん。金があれば」
マネーイズパワー
なんかしっくりくるぞ。
「補給もしなくっちゃね」
小部屋を指し示し、巴が嬉しそうにする。
そこは円環状の小部屋で8つの宝箱が円を描くような配置で置かれており、入り口の宝箱には金貨が入っていた。この小部屋の前には冒険者の手で書かれた情報が残してあった。最初は金貨10枚。閉じたら次は2倍か2分の1。
「あーこれ答えは」
「答えないでっ」
「当然閉じるわ」
「なぜ?」
「面白いからよ、どうやって宝箱が現れるのか見たくないの?」
「なるほど」
右隣の宝箱が閉じ金貨が現れる。
「金貨5枚か」
閉じたら2倍か2分の1
「えいっ」
閉める巴。さらにもう一つ閉じられた右隣の宝箱を指で指し示す。直接触らないのはその金額で確定させたくないからだろう。
「見て金貨10枚よ」
何故か自慢げだが、最初に戻っただけだからな。
「ビッグちゃーんす20枚目指すわよ」
「いや先に進むぞ」
「なんで」
「時間の無駄だからだ」
「えー20枚になるかもしれないのに?」
「また5枚になるかもしれないだろ」
「つまんない、えいっ」
「やった20枚っ」
「ほらみなさいっ、私運がいいんだから。なんたって晴れ女だし。おみくじは大吉しか引いたことないし。じゃあ次は40枚」
また巴が宝箱を閉め、連動して閉じられた右の宝箱を開く。無言だ。
「ほら、行くぞ」
金貨10枚を宝箱から取る。
「あっ、どうせなら20枚にしてからやめればいいのに」
宝箱が8つとも全部消えた。
言ったら怒るから言わないが……巴……ギャンブラーの気質あるな。




