第41話 水鏡(別名転移)の迷宮2
「おおっ、凍ってる凍ってる」
巴と二人で観戦していた。
ルタの二対一体の双子剣が白く染め上げられている。
「ああ、やめてやめてまた対策されちゃう」
ルタがスキルを解除した。
そのままヘッズアップでステラがルタを飛ばし、賞金をかっさらった。
「変な人……元気?」
「元気だけど」
ステラが話しかけてきた。
「そう……それはよかった」
満足げにステラはそそくさと離れていった。
なんだったのだろう。
食事を終えた俺たちは再び水鏡の迷宮へとやってきていた。食事処の店員にも地球へ帰る手がかりを聞いて何も掴めなく、いらいらをサハギンにぶつけているようだった。いらいらをサハギンにぶつけてられる間は良かったのだ。
5階から氷の精霊がでてくる。水属性の例外にあたるらしく、事前情報では火に弱いと聞いていたのだが。
「なんで効かないのよ」
宙に浮いている氷の精霊が炎に巻かれながら時々氷を飛ばしてくる。そこまで好戦的でないのが救いか。巴がくぐり抜けて肉薄し、氷の精霊を斬り殺す。危なくないのが救いだが、巴の火には弱くない。巴のフラストレーションが溜まる。巴が炎にするぶつける。効かない。巴のフラストレーションが溜まる。巴が炎にするぶつける。効かない。何この最悪の無限ループ。階層を進むにつれ巴の機嫌が悪くなっていく。これはダンジョンを間違えたか。
また一体氷の精霊を斬り殺した巴が話す。
「こんなに金稼ぎが本当に必要なのかな? 遊都は聞き込みしてる?」
「でも金稼ぎは大事だろ?」
「そりゃそうだけど」
「金もってりゃ大抵のことはなんとかなる。普段聞けない情報を手に入れたり、集めることもできる。普段の生活でも必要だし……」
「地球に帰れないじゃないっ! 納得できないのよ! 遠回りしているみたいで!」
気まずい空気が流れた。
「でも……金は力なんだよ。金が力になるんだ」
《スキルが発生しました》
えっ、こんな雑に? こんなタイミングで?
「何よ……なんか言いたいことあるの?」
「いや、スキルが発生……しました」
「えっ? なんで?」
「さあ?」
「どんなスキルなの? それ見ればわかるじゃない」
「ああそうだな。バッキー? バッキー??」
バッキーと言ったあと手には見慣れたカードが握られていた。バッキーと言えばパチンコ店で現金や出玉の情報が詰まったカードだ。
<ユニークスキル>
new! バッキー(金を力に換える)
神眼(見たいものだけを見れる)
神眼Lv.2(本当に見たいものの一部を具現化できる)
<アクティブスキル>
乱数支配<3分>
乱数確定
弓術Lv.2
射出Lv.1
<パッシブスキル>
言語理解・時刻理解・スキル表
残高表示・送金
バッキーから銀色のオーラが伸びている。
「……持ちにくいな」
バッキーを色々と持ちかえてみる。
「だが、これで戦える」
近くにあった手頃なクリスタルを切りつける。
オーラがクリスタルをすり抜けた。
「は?」
スキル表で確認してるけどしたくなかった。
「これひょっとしなくてもライル使うのか?」
【遊都】
(現在所持ライル)
3585ライル
――2つ目のユニークスキル
ユニークとは1人1つではなかったのか……これは、どういうことなのか……3秒考えたところで、考えることに意味がないと気づき、俺は結論を下す。
俺はパチンコ台でハンドルを握った時のように健やかに脳死したのだった。




