第30話 ラウンズ戦1低レート
初心者プレイをやるんだ。ということでギルドに向かってゲームに参加することにした。
ギルドを見渡してトーナメントの形式を見比べる。
「ん? 9人のテキサスホールデムがない??」
思わず出た疑問にギルドのお姉さんが答える。
「ハイ。ここは宿場町とダンジョン都市ギアスの間になります。時間をかけるのを好む人が少ないので、4人でやるテキサスホールデム文化が根付きました。4人でやるテキサスホールデムのゲームを円卓の騎士と呼んでおります。ディーラーも当然普段はいません。過激なスキルの使用はディーラー不在の時は控えて頂けると助かります。ディーラーがいない代わりにプレイの進行は魔道具で補っています。気になられるのでしたら、あそこで販売もしていますよ。特にターバイン限定のボタンゴーレムが人気です。頭にある傘で全天候型を謳っています。まあもともとボタンゴーレムは水に弱くはないのですが」
「ボタンゴーレム君っ!!」
急に叫んだ巴を見ると、恥ずかしそうに言う。
「何よっ、いいでしょ見るだけよ……安かったら買うけど」
脱兎のごとく販売所に行った巴はしょんぼりして帰ってきた。
「うぐっ……高い……」
「入荷して残り一個だよ! 限定のターバインモデルだよー! お、坊主買うのかい? 大物だねえ。毎度あり」
あーあれはジャンだ。巴は気づいてないので放っておこう。
「売り切れたぁ」
泣きそうな巴にお姉さんが補足説明する。
「ボタンゴーレムは小さく、価値が減らないことから人気で、換金性も高いため転売目的で買われるお客様が後を絶たないのですよね。本当はかわいがってもらえる人に買って貰いたいところですが」
「価値が減らないのであれば買う一択だったな。情報収集はやっぱり大事だ。それと勝負勘も鍛える必要がある、買う買わない、このハンドで参加する、しない。この台を打つ、打たない。ふむ……やはり台に呼ばれた時にだけ打てば勝てるのか?」
「私稼ぐわ! 今度見かけたらためらわず買ってやるっ」
「じゃあ盛り上がったところで早速テキサスホールデムするか。スターティング表の考えを知ったところでハンドをしぼるってのは大事ってのは分かったら、あとは教えるより、体験する方が早い」
「え? なになに?」
「巴、このゲーム全ハンド参加な。しばらくロックの反対をやれ。どうなるか」
「なーにー?」
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「ラウンズ戦 バイイン1ライル 開始」
【テーブル】4
【開始時席順】
BTN ……
SB ……
BB ……
UTG …… 巴
【ブラインド】
25/50 4ハンド刻みでブラインドレベル上昇
【開始時アンティ】
なし
【開始時チップ】
1000
【開始時刻】
9:00
【賞金】
優勝2.7ライル
2位1.2ライル
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「よろしくお願いします」
参加者が挨拶を交わす。
巴がスターティングハンドを人差し指と親指でつまんで一瞥する。
「コール」
微妙な顔を貼り付けたまま巴は参加を宣言した。
「オールイン」
若い男性が仕掛ける。
「オールイン」
少し考え女性も乗ってきた。
「オールイン」
最後BTNの老人も宣言する。
「えっ? えっ? オールイン?」
流れで巴も参加を宣言する。
ハンドが公開される。
巴のハンドはJ7色違い。
他のメンバーはそれぞれAQ、99、KJ。
順当にAQの人が勝利し、ラウンズ戦が終了した。
「なんかすぐに終わっちゃった」
「次だ次。もちろん、参加したあとは降りてもいいぞ。人数が少ないんだこういう事もある」
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「ラウンズ戦 バイイン1ライル 開始」
【テーブル】22
【開始時席順】
BTN ……
SB …… 巴
BB ……
UTG ……
【ブラインド】
25/50 4ハンド刻みでブラインドレベル上昇
【開始時アンティ】
なし
【開始時チップ】
1000
【開始時刻】
9:02
【賞金】
優勝2.7ライル
2位1.2ライル
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UTGの控えめなコールからゲームが始まる。
BTN、SBの巴、 BBが順にコールしてフロップがめくられる。巴がチェックし、UTGがポッドの半分をレイズして全員が降りた。
BTNに巴が回ったのを見てポジションについて教えていないことを思い出す。
「まあ、やってりゃつかめてくるだろ」
テキサスホールデムは楽しむまでに必要な知識が多すぎる。
「やるのに3分、極めるのに一生かかる……だっけ」
負けるだけなら簡単なのだ、テキサスホールデムというゲームは。
レイズすれば取れる場面でも巴は律儀にコール参加し続ける。
「立派なコーリングステーションに育って……お兄さんは泣きそうだよ」
「|部外者の準致命的な言及は黙ってて」
「はいはい」
ハンドが4回配られるとブラインドが上がる。つまり、後半になれば否応なしに参加を余儀なくされるということだ。今はレベル2で30/60。じり貧になって死ぬ。体感してもらいたいものだが、このルールでは駄目だ。じり貧になる前に誰かのレイズにつられて普通に死ぬ。
「うーん? オールインは降りてもいいぞ?」
「そう。助かるわ。弱いハンドで参加しても面白くなかったし」
「とりあえずもう一戦回して一旦終わろうか」
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「ラウンズ戦 バイイン1ライル 開始」
【テーブル】33
【開始時席順】
BTN …… 巴
SB ……
BB ……
UTG ……
【ブラインド】
25/50 4ハンド刻みでブラインドレベル上昇
【開始時アンティ】
なし
【開始時チップ】
1000
【開始時刻】
9:06
【賞金】
優勝2.7ライル
2位1.2ライル
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「まあなんだ4人制じゃ上手くいかなかったんだが、悪いハンドでも参加し続けると無駄にチップを失って窮地に自分を落とすような行為なんだってのを体感してもらいたかった」
「そんなのより、なんか戦法とかないの? ロックとかあったじゃない? それにチップをいくら賭けたらいいのかよくわからなくてストレスなんだけど」
「ロックは戦法というより……まあ、まずは基本からだな。賭けるチップというのは最初の3枚がめくられたあとの賭けるチップのことだろう。その3枚の中で一番強いカードと手元のカードが揃ってトップペアでワンペア以上確定になったらポッドの半分が原点だ。そこからは意図を持って増やしたり減らしたりしてみていいんだが、とりあえず基本ということでフロップがめくられてAやKのワンペアになったらポッドの……賭けられているチップの量合計の半分を賭けてみろ。それだけで勝てるゲームも出てくるはずだ」
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「ラウンズ戦 バイイン1ライル 開始」
【テーブル】15
【開始時席順】
BTN ……
SB ……
BB …… 巴
UTG ……
【ブラインド】
25/50 4ハンド刻みでブラインドレベル上昇
【開始時アンティ】
なし
【開始時チップ】
1000
【開始時刻】
9:12
【賞金】
優勝2.7ライル
2位1.2ライル …… 巴
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「やっと2位っ」
「おめでとう」
「でも増えたのがちょびっと」
「3回やって増えたのが0.2ライルだから大赤字だな。低レートだからどうでもいいんだが。低レートってならしに使うもんだし。どうだったポッドの半分は」
「なんか思ったよりもどんどん降りてくわ」
上機嫌で巴が言う。
「自分が何も揃っていなかったらチップの半分賭けられたら大概参加したくはないからな」
「ねえねえ! もっとポッドの半分よりも増やしたらいいんじゃない」
「やってみたらどうだ、なーにライルはまだまだたくさんある」
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「ラウンズ戦 バイイン1ライル 開始」
【テーブル】39
【開始時席順】
BTN ……
SB ……
BB ……
UTG …… 巴
【ブラインド】
25/50 4ハンド刻みでブラインドレベル上昇
【開始時アンティ】
なし
【開始時チップ】
1000
【開始時刻】
9:26
【賞金】
優勝2.7ライル
2位1.2ライル
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「3位だったあ」
「残念だったな……何が駄目だったと思う?」
「全然みんなチップ賭けてくれない。入ってきて欲しいのに。1回応えてくれて入ってきたけど、私よりも強い手札の人だったあ」
「それさえわかれば上出来だ。状況によってはチェックで回して、ターンやリバーでレイズした方がいい場合もあるな。まあ問題は相手も同じ事を考えるって事だ。ここでレイズをしたら相手は引くのかのっかるのか、それともリレイズしてくるのか、それはブラフか。相手の立場に立って考えることが大事なんだ」
ポッドは応じてくれる人がいて初めて膨らむ。
「テキサスホールデムは1人ではできないからな」




