第27話 振り分け
「早速氷属性を体験した訳だが」
「見事に凍ってたもうね? もうほぐれた?」
「人を食材みたいに言うな」
「しかし不思議ねスキルって実質魔法だし」
巴が右手から左手に炎を太陽の様にプロミネンスしている。
ただ左手に移った炎は消えることなく手をぶんぶんして消火をはかっているが。
火を消し終えた巴が空を見る。
「昼間は見えないのね、あの変わった六芒星」
「そうだな……あれも魔法みたいなものなんだろう」
継ぎ目のない建物に立っていると、まるでポリゴンに囲まれたゲームの中に立っているようかの錯覚を覚えた。
「早く地球に帰りたいけどあまりにも遠い……」
「とりあえず情報収集も兼ねてギルドに属性でも見てもらいに行くか」
寂しげな巴の気を紛らわそうと提案した。
「おや、Fランク冒険者登録の時にしなかったのですか。登録の時に水晶にかざしたはずですが」
ギルドに行くと受付のお姉さんに不思議がられたが、アンダーツリーでやったと話すと納得された。
「あそこはまあ金にならないことでは動かないですからねえ。申し訳ないのですが、初回と違い2回目という扱いで有料になります。しかしDランク冒険者ですのでEランク冒険者よりも開示できる情報も少し多くなります。具体的にはテキサスホールデムの属性別の簡単な説明となりますが」
「料金は?」
「お一人様30ライルです。送金先は私でなくターバインギルドでお願いしますね」
「そのくらいならいいか」
「うん。送金」
「送金」
「はい確かに。ではこちらの水晶玉に手をかざして下さい」
巴が水晶玉に手をかざす。アンダーツリーの時とは違い澄んだ赤い色だ。
「綺麗な火属性ですね……ただ純粋な火属性というにはちょっと混ざっているような」
俺が水晶玉に手をかざし水晶が銀色の光をはなつと受付のお姉さんは驚いたようにこう言った。
「おやあなたは地球人ですか? 珍しいですね。ああ、だから巴さんも混ざって見えるのですね」
「地球人! ねえ地球人って他にもいるの?」
「たまにお見かけしますね。ただ、見た目ではわからないのでなんとも言えませんが、時折文化や言葉が入ってきますね。地球というところとは少し定着の仕方が違うみたいですが。続けますね」
こほんとお姉さんが気を取り直すと属性の説明に戻る。
「属性は基本的に4つに分けられます。土。水。火。風です」
「氷属性はないのか。じゃあ水だな。あの少女は」
「氷は水属性に分類されますね。また風は空気属性とも言われることがあります。そしてこの4つに分けられない第5の属性として無属性があげられます。徳川様は火属性と無属性。伏見様は純粋な無属性になります……そしてこれは、公にしないことをおすすめします」
「フランカさんはそんなこと……」
「まあ冒険者が何属性を持っていても、あのフランカさんのお金になりませんから」
なぜかちょっと受付のお姉さんがむっとした。
「失礼しました。なぜ徳川様と伏見様が地球人かと分かったかというと、この第5の属性を宿すのは何故か地球人の方だけなのです。基本4属性の説明は割愛させて頂きます。大別してのイメージ通りですし、また複数属性持つ方も珍しくありません。あくまで便宜上の分類となっております。ただ、理解しにくいのが第5属性である無属性になります。スキルのことをよく魔力を使用すると表現するのですが。ちょうどこの水晶にとられたものですね。そう、魔力と簡易的に説明していますが、それは正確ではありません。その魔力と呼ばれる源はもう一段階踏み込んでエーテルと呼ばれています。エーテルを変換し魔力としてスキルを使用しているのです。魔力はそれぞれ土。水。火。風のいづれかの形になります。それとは別の前の段階であるエーテルはそれぞれ自分で生み出すものでもあり、大気中にあるものでもあります。第5の属性である無属性はエーテルに直接作用できるらしいです。まあ普通にエーテルは世界に漂っているものなので、大気中から無意識にエーテルを自分の体を通し、魔力を生み出しスキルを使用するので普通はエーテルを理解する必要はないですね。ただ地球人の方はエーテルを操作するという意味で無属性スキルは普通の人とは異なった特殊なものになりやすいので、心にとめておくと良いかと思われます。それに……テキサスホールデムではちょっと嫌われてますね」
「だから公にしない方がいいのか」
「嫌われるのかぁ」
「いえいえ違います」
お姉さんが慌てて否定する。周りを見渡し誰も近くにいないことを確認すると声をひそめて話しかける。
「エーテルに作用するというのが問題でして。実は大気中のエーテルは神が作り出したものだと主張しているスロア教というものがあってですね。彼らの主張によると、地球人は神を騙る偽物だということになっています。過激派もいるので本当に大っぴらにするのはおすすめしません」
気をつけて下さいねとお姉さんに念押しされる。
「スキルの話に戻りますね。相性差の話です。昔は冒険者同士が衝突することもあったらしいんですが、すっかり平和になってますね。土は水に強い。水は火に強い。火は風に強い。風は土に強いとなっております。でも知りたいのはそんなことではないですよね」
お姉さんは茶目っ気を出すと続けて言った。
「テキサスホールデムの相性は、水は火に強い、火は風……空気に強い、空気は水に強いが定説になっています。土は相性とは外れていますからハズレとされがちですが、それぞれの相性から耐性をもっているとされています。あと全属性が使える万能型もいます。厄介なのはこのタイプでしょうね。地球人と一緒で何をしてくるかわかりませんから。そしてテキサスホールデムでは個人の資質によりますので、火が水に勝つ。風が土を食うなんてこともままあります。基本苦手は苦手みたいです。以上で属性の話は終わりとなります。何かお聞きしたいことはございますか? 属性の話でなくても構いませんよ。まだ時間が残っていますから」
「ねえ地球に帰ったって人はいる?」
「残念ながら聞いたことはありませんね……何か知ってそうな方はいますが。今代のお二方のSランク冒険者の1人真城つばさ様です。地球人ですからね。大祓シリーズ歴代優勝数1位。願いを何回もすでに叶えているはずです。地球に戻る方法を探しているとは聞いたことありませんが、方法があるならもう手に入れているのかもしれませんね」
「他にはございませんか?」
「そういえば……あれ? ギルドってライルの価値減らさないの? 期限ギリギリのだったんだけど」
「ええ、公的機関であるギルドでは減らしません」
「じゃあギルドを通せばお得ってこと??」
「期限に関して言えばそうなります」
鏡に映るテキサスホールデムのトーナメント案内を見て言った。
「ひょっとしてテキサスホールデムの参加費もそのままの金額で受け取ってもらえる?」
「もちろんです。参加して行かれます? 賞金のライルは期限が最大の3ヶ月で払いだされますよ」
お姉さんはにこりとして言った。




