第23話 ステージ移行~王都圏~
「もう向かうのか?」
見送りに来たグレイソンに挨拶する。
「大金を手にしたのにせわしないもんだ」
「遊んでられないからな」
「くはっ、名前に遊ぶが入っているのにか?」
「まあそうだな……そう言えば、あんた俺に嫌な名前って言ったよな? なんでだ」
「あああれか……くだらない話って言えばくだらない話なんだが。王都の名前。知ってるか?」
「いや知らない」
「だろうな。王都の名前はロスチップ。王都ロスチップだ」
俺は思わず王都の方向を見る。
「縁起悪ィ……」
「だろっ?」
くはははとグレイソンが笑う。
「王都ロスチップ。そこで遊ぶっていうんだから大した名前だよ」
俺と巴は王都圏内に入る馬車に揺られていた。どこまでも続く外壁と大きな堀に沿って進む。
どうやら次はダンジョン市と呼ばれる街にしばらく居着くことになりそうだ。
流れゆく景色を見ながらなんで俺は乱数支配でカードを変えれなかったのか考えていた。派生スキルはユニークスキルの影響から逃れられないんだったけか。俺のユニークは神眼……見たいものだけが見え、それを確定する。か。見たくなかったんだろうか。カードが変わる光景を。裏ROMみたいなものだもんな。それは確かにチートだ。でも俺はチートを望んでいないのだろう……。
実力でもぎとったぱんぱんに膨れ上がった革袋がガーネットとのヘッズアップを思い出させる。
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「うおっ」
魔力のオーラが俺の体を纏う。
ガーネットが勇猛たる闘志の炎を俺にかけたのだ。
湧き上がるこの気持ちはなんだ?? 今にも飛び出していけそうなほど勇気が出る。
ゴブリンも素手でいけそうだ。
スキルを対戦相手にかけるという行為に俺たちは驚いた。
俺の冷静さが失われるだろうとガーネットが勝ち誇る。
湧き上がる高ぶる気持ちそうか、これがスキルか。
確かにこれで平常心は難しいだろう。
「巴、王都は怖い所みたいだぞ」
「そうみたいね」
「スキルとかなんもないし俺たち」
「そうね……でも私は行くわ一人でも」
「俺もパチンコの禁断症状がひどくてね。早く帰らないといけないんだわ地球に」
「一番近道なら行くしかないでしょ」
「そう、どんな世界が待っていようが構わない。最速で最短でまっすぐに帰れるならば……」
「どうしたの? 遊都」
「パチンコ打ちたい」
「この馬鹿っ、パチンカスっ」
胸の昂りを抑えきれずに叫ぶ。
「巴、これに勝って王都に行くぞ」
巴が笑って言う「まかせたわ」
「オールインだ」
最後の一勝負。
手に炎を握って祈る巴。
行こうAAがたとえ使えなくても俺なら勝てる。
何の手がかりもないんだ。
――ガーネットが天を仰ぐ。
俺はガッツポーズをして吠える。
巴が駆け寄ってくる。
そのまま俺に抱きつき巴も声をあげた。
「極貧生活からおさらばよっ!」
会場が歓声に包まれた。
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ヨーヴン認定戦 2位入賞 ガーネット・アトランダム 賞金4500ライル
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ヨーヴン認定戦 優勝 伏見 遊都
優勝賞金7000ライル
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地球とそれほど変わらない景色、その向こうに地球ではありえない大木が小さくなっていく。
ここは地球とは違う。俺は改めて決意する。
――生まれ変わろう。
――そうこれは異世界転移ではない。
――異世界転生なんだ。
――生まれ変わって。
一旦パチンカスを卒業しよう
なんとかして
地球に戻りパチンコを打つ
それでいいじゃないか
そうやって木窓を見て呟く。
「あ、ラウンド曲が俺を呼んでいる」
外壁をくぐった。これで王都の圏内だ。
「でもやっぱりパチンコがしてえええ!!!」
俺は心から叫んだ。
その絶叫に呼応するかのように脳内に声が響いた。
《スキルが発生しました》




