第21話 下級冒険者Dランク認定戦(2)
場が荒れた。
圧倒的強者がいなくなるとそのテーブルの主導権をとろうとするかのように乱戦の様相になった。
あるいは一人明確な弱い最小の賭け額で参加するリンパーがいるとそうなってくる。
――イリアだ。
イリアが狙われていた。
グレイソンに圧殺的な異様をもって飛ばした見る影はなく。
与し易い相手となっていた。
アレクとガーネットがチップを積み重ねる。
【7ハンド目 ブラインドレベル1:10/20】
BTN …… モンド (約1500)
SB …… 巴 (約1450)
BB …… イリア (約2300)
UTG …… アレク (約2100)
MP1 …… ガーネット(約1800)
MP2 …… スイ (約1600)
HJ …… フランカ (約1300)
CO …… 遊都 (約1450)
【13ハンド目 ブラインドレベル2:15/30 アンティ4】
巴が作戦通りに静かに降りる。
気怠さを隠そうとしないイリアがミニマムレイズで参加して2000ライルを切った。
それまで口を開いていなかったモンドが口を開く。
「Eランクには別名がある……初心者を表すニュービーとは別にテキサスホールデムそのあり方からフィッシュと呼ばれている。それはこのスキル使用ありのルールを知らないことから名付けられた。お前ら王都なんて行くもんじゃねえ。Dランクはなんて言われているかって養分だ。行ったらそうそう戻ってこれねえ。それなのにこんな認定式になんか駆り出されるってのは……」
アレクが「レイズ90」と宣言し、モンドを遮る。
「それはてめえが弱いだけよ。都落ち野郎。俺たちはあんたみてえにはならねぇ。もっとも鍛治師と冒険者じゃ違ってくるがな。俺らはでかいクエストをばんばんこなし、ダンジョンを制覇して、テキサスホールデムでも勝ち続ける。英雄になるんだよぉぉ!」
呼応するようにフランカも言う。
「勝つ気がないならモンドさん抜けてもらえますか?」
モンドはそれ以降黙ってしまった。
「……勇猛たる闘志の炎それとコールよ」
「ニャはは、コール」
スキルのかけ直し? 有効時間か?
「コールします」
「フォールド」
こんなバトルロワイヤルな局面参加してられるか。
「……コール」
むっとしながらモンドも参加してきた。
「シックスプレイヤーズ!!……違ったコール……シックスプレイヤーズ!!」
フロップがめくられる様子をグレイソンはギルドに併設されたバーカウンターで眺めていた。
「これは荒れるな」
鏡に映し出されるスターティングハンドを見て呟く。
「競ってこそのテキサスホールデムだ」
火照った顔でグレイソンは何度も頷いていた。
<フロップ>
クラブの7 スペードのT スペードの6
::::::<スターティングハンド>:::::::
フランカ(BTN) :クラブの9、T
モンド (BB) :スペードの4、5
イリア (MP1) :クラブの8 ダイヤの8
アレク (MP2) :ハートのA クラブのJ
ガーネット(HJ) :スペードのK ダイヤのJ
スイ (CO) :ダイヤのA ハートのT
:::::::::::::::::::::::::
モンドはしばらく考えチェックを選択した。
イリア、アレク、ガーネットも続いてチェック。
スイが破顔した笑みを貼り付けたままベットする。
「にゃは450」
フランカはちらりと伏せられたカードを確認するとしばらくスイの笑顔と対峙して変わらぬ笑顔に諦めたようにコールした。
不機嫌なモンドもそのままコール。
イリアもノータイムでコール。
「フォールド……だ」と苦々しげなアレク。
虚空に目を彷徨わせていたガーネットもフォールドする。
「フォープレイヤーズ!!」
参加プレイヤーはフランカ、モンド、イリア、スイだ。
4枚目の場のカードがオープンになる。
<ターン>
クラブのK
「チェック」の声が順繰りに響く。
「チェックアラウンド!!」
「フォープレイヤーズ!!」
5枚目の最後のカードが開かれる。
<リバー>
ハートの8
「オールイン!」
モンドのぶっきらぼうな声がする。
「オールイン」
イリアが淡々と呼応する。
「にゃはっ……」
スイの固まった顔に一筋の汗が流れる。
「……フォールド……にゃ」
ちょっと考え、覚悟を決めてフランカが言う。
「オールインです」
モンドがハンドをめくる。
「8ハイストレート!」
イリアがハンドをめくって清々しく負けハンドを宣言する。
「8のスリーオブアカインド!」
フランカがハンドをめくる。
「Tハイストレート!!」
「モンドさんありがとうございます」
フランカがとびきりの笑顔でモンドにお礼を言った。
【13ハンド目 終了時点 ブラインドレベル2:15/30 アンティ4】
BTN …… フランカ (約1250→4500)
SB …… 遊都 (約1600)
BB …… モンド (約1450→200)
UTG …… 巴 (約1400)
MP1 …… イリア (約2100→850)
MP2 …… アレク (約2050→1950)
HJ …… ガーネット(約1900→1800)
CO …… スイ (約1750→1200)
【15ハンド目 ブラインドレベル2:15/30 アンティ4】
アレクからフランカまで降りた。
そして残りは4人俺の後ろはモンド、巴、イリアでハンドはA9十分闘える。
モンド来いと念じながら、自分にとって自然な額75をレイズする。
遅ればせながらモンドの声が予想通り聞こえる。
「オールイン」
巴は静かにフォールド。
イリアがコール。ありがたい。
「コール」
フロップにAが落ちる。
ターンまで回してみても……いやないなイリアは何持ってるか分からない。
チェックしてくるならポットの半分を定石通りベットする。
乗るか?
「フォールド」
「なんか淡々としてるな、プレイスタイルとかあるの?」
「ん? フィーリング」
フィーリングさいですか。
「Aのワンペア、キッカー9です」
「Aのワンペア、キッカー7です」
モンドはくしゃくしゃと髭を掻くと立ち去った。
:::::::::::::::::::::::::
ヨーヴン認定戦 8位 敗退 モンド
:::::::::::::::::::::::::
【15ハンド目 終了時点 ブラインドレベル2:15/30 アンティ4】
BTN …… フランカ (約4500)
SB …… 遊都 (約1600→2000)
BB …… モンド (約200→0)
UTG …… 巴 (約1400)
MP1 …… イリア (約850→650)
MP2 …… アレク (約1950)
HJ …… ガーネット(約1800)
CO …… スイ (約1200)
【19ハンド目】
【ブラインドレベル2:15/30 アンティ4】
配られたハンドをめくる。A8オフスーテッド。カットオフでスティールを試みたくなるようなハンドだが、今はUTGという起点も起点だ。
「フォールド」
「フォールド」
巴のため息が聞こえた気がした。
「ん。オールイン」
「ふん。俺もオールインだ」
イリアに続いてアレクもオールインしてくる。
ガーネットとスイがフォールド。
フランカが口元に手を置いてぶつぶつ言っている。
「コール!」
こいつギルド職員なのに新人に花持たせようなんて一切考えてないな。
イリアが自信満々に6のポケットペアを披露する。微妙だよっ。
アレクはTのポケットペア。鼻に手をあてている。
それを職員フランカは勝ち誇った顔で見下しJのポケットペア広げる。めっちゃ笑顔。
アレクが顔をしかめた。
フロップがめくられる。
2、7、5のレインボー。つまり色はばらばらだ。
その表情はターンで一変する。T|《10》が落ちたのだ。
リバーはブランク。誰にも影響しないカードが落ちて、チップがアレクの元に移動する。
「ん。終わり」
てくてくとそのままディーラーの場所に移るとイリアが呟く。
「ここが私のフェイバリットスポット」
一瞬緩んだ顔が引き締まった。
「Jのワンペア」
「6のワンペア」
「Tのスリーオブアカインド」
:::::::::::::::::::::::::
ヨーヴン認定戦 7位敗退 イリア・クロスフィールド
:::::::::::::::::::::::::
「ブラインドアップします」
静かになったテーブルにイリアの声がかかる。
アレクパーティでチップを分け合うかのようなゲームが続いた。
【31ハンド目 ブラインドレベル3:25/50 アンティ6】
BTN …… ガーネット(約2650)
SB …… スイ (約1100)
BB …… フランカ (約2700)
UTG …… 遊都 (約2250)
HJ …… 巴 (約1250)
CO …… アレク (約3550)
KJが来た。初手で逃してしまった組み合わせだ。
「レイズ150」
巴、アレク、ガーネットが降りる。
アンダーザガンからレイズだ警戒はされる。
が、そんな警戒とは無縁のプレイヤーがひとり。
「にゃはコール」
フランカが降りてスイとヘッズアップ。
これでヒットすれば。
KAJがめくられる。
KJのツーペアこれは強い……強いが、危ないフロップだ。Aのツーペアを持ってる可能性もあれば、まず少ないがストレートの可能性もある。普通は薄いが普通じゃない精神状態の相手だハンドレンジは広がっているとみて間違いないだろう。
チップ差はある。どうする? ベットが来るよな? やっぱり……。
「にゃ……ベ……チェックですぅ」
「ちっ」
舌打ちしてガーネットが勇猛たる闘志の炎を唱える。
怯えた眼に獰猛な光が宿る。
……コンティニューションベットだ。
「ベット50」
「にゃはははレイズ250」
逃がさねえ。
「レイズ500」
「オールインにゃ!!」
「……怖くねえよコール」
ガーネットのイライラが伝わってくる。
こっちは負けてもいいんだ勝算は十二分にある。
スイはA2だ。
俺はKJを広げる。
ターンが落ちる。
Qだ。
Tか2以外で頼む。
リバーがめくれる。
ブランク。3が落ちて俺の勝利が確定した。
明るいがビクビクしているという奇妙な様相でアレクとガーネットの顔色を伺いながら、スイはこの場を去って行った。
「あとでお仕置きだな」
「勇猛たる闘志の炎かけない方がいいのかしら? でもかけないとあの子降りまくって使い物にならないのよね」
「まあ俺たちで勝てばいいだろう」
「そうね、その通りだわ。勝ってはずみをつけましょう。一人はベタ降りで入賞ねらいですもの。時間の問題だわ」
【31ハンド目 終了時点】
【ブラインドレベル3:25/50 アンティ6】
BTN …… ガーネット(約2650)
SB …… スイ (約1100→0)
BB …… フランカ (約2700→2650)
UTG …… 遊都 (約2250→3400)
HJ …… 巴 (約1250)
CO …… アレク (約3550)
:::::::::::::::::::::::::
ヨーヴン認定戦 6位 敗退 スイ
:::::::::::::::::::::::::
32ハンドから37ハンド。フランカはフォールドとアレクやガーネットに上位互換されたハンドでチップを減らしていた。
【38ハンド目】
【ブラインドレベル3:25/50 アンティ6】
BTN …… 遊都 (約3500)
SB …… 巴 (約1100)
BB …… アレク (約3700)
UTG …… ガーネット(約3400)
CO …… フランカ (約1800)
フランカの空気が変わった。弛緩したような空気から何か悟らせないように緊張を強いている状態だ。
ガーネットがレイズ150して38ハンド目が始まる。
「レイズ300」
ここで整理しよう。ここでレイズする可能性が一番高いのは高次のポケットペアだ。AA、KK、QQ、JJ、TTぐらいまでと、AKQJが絡んでいるハンドか、一方俺のハンドはTJ上位互換されている可能性もあるし、よっぽど強くハンドに絡んだフロップが落ちれば総取りできるハンドではある。ただちょっと分が悪い。この辺で頭一つチップを稼いでチップリーダーになりたいところなんだが、大きなポッドになったら嫌だな。
「フォールド」
「フォールド」
「コールだ」
「コールよ」
アレク達が迎え撃つ形か。
<フロップ>
スペードのA ダイヤのK ハートのQ
ナッツかよ
ポッドの925ライルが積み重なる。
アレクがポッドの半分ベットする。
ガーネットがコール。
「オールインですっ!」
フランカが満足顔で宣言する。
「ちっフォールド」
「オールインよっ」
ガーネットのオールインにフランカの顔が曇る。
果たして危惧していたとおりのTJをガーネットが表に返す。
フランカはAKだった。
Aっ!Kっ! と叫んでたフランカの望みは届かず。
フルハウスが成立することなくフランカは飛んだ。
がくりと肩を落とし。
「今年のあぶく銭が……」
と不穏な言葉を残しフランカが席を後にする。
「ブラインドアップです」
イリアの笑顔が眩しい。
:::::::::::::::::::::::::
ヨーヴン認定戦 5位 敗退 フランカ
:::::::::::::::::::::::::
【38ハンド目 終了時点】
【ブラインドレベル3:25/50 アンティ6】
BTN …… 遊都 (約3500)
SB …… 巴 (約1100)
BB …… アレク (約3700→3300)
UTG …… ガーネット(約3400→5600
CO …… フランカ (約1800→0)
厳しくなったな……。
そう思っていた41ハンド目。巴が一瞬固まった。
鼻をこすったアレクがレイズ240する。
「ねえ遊都このまま私入賞できる?」
「……正直厳しいなブラインドで削られていって、あと1レベル後に保つかどうかだろう」
「ふーんじゃあ作戦やめて私も参加するね」
「小刻みに参加するんじゃなくてこれといったハンドで参加するんだぞ、残りチップ少ないしな」
「オーケー。ちょっと疲れたのよね」
恐らく手元にあるのはモンスターハンド。
ガーネットが目に見えない何かをスワイプして「フォールドよ」と言った。
「フォールド」
巴が熱っぽく「オールイン」を宣言した。
考え込んだのはアレクだ――。
「…………確率はどうなっている?」
鼻に手をあて。長考するアレク。
巴、気づけ、アレクは持ってるぞ強いハンドを。揺さぶれっ!今だっ!
アレクはガーネットを見る。
「いや、そうだな言うな。わかってるよ。危ない橋は渡らない……だろ? だが今は俺も。」
「あらアレク……逃げるの? 王都に入ってもクエストでもダンジョンでも逃げ続けるんでしょうね? そんなので成れるのかしら英雄様に??」
アレクを挑発する巴。
チップ差を確認していたアレクが切れた。
「俺の……俺の……夢を……馬鹿にするなああああっ!!」
怒気とともにアレクの魔力が膨れ上がる。
「かかってこい巴! オールインだっ」
上気した顔の巴がゆっくりとカードを表にする。
――KKだ。
アレクの表情が崩れた。
アレクはAKを公開する。
フロップがめくられる。
86……そしてKが落ちる。
愕然としたアレクの魔力が揺らぐ。
ターンとリバーがめくられていこうとしていた。
「いけないっ、切りなさいっアレク」
ガーネットが急に焦った声を出す。
「何をだよ?」
アレクは憮然とした声を返す。
アレクの負けが確定した。
「うっ」
立ちくらみの様に揺らぐアレク。
ガーネットが悔しさを滲ませる。
確かアレクの持っていたスキルは公言していたとおりなら経験値100倍。
アレクは苦手意識を持ったのだろう。
巴に対する苦手意識が……『経験値100倍なのだろう』巴と対峙するたび疑心暗鬼にアレクは陥るに違いない。
動揺している間に攻めるか。
リズムを変える。
タイトリーアグレッシブからややルーズなアグレッシブに。
42ハンド目ボタンの位置からスティールを狙う。
ガーネットのフォールドに間髪入れずにレイズ240する。
巴が再び熱を失いフォールドする。
「舐めるなよっ! レイズ720」
俺に対する苦手意識はないらしい。
「フォールド」
43ハンド目、フォールドした俺と巴の眼が合う。
その眼は何かを言いたそうだ。
――ああ、分かる。やりたくなったんだろう? テキサスホールデムを。
口パクで合図する。
行け。巴。
水を得た魚のように巴は初めてレイズを宣言する。
「レイズ240よっ!」
たじろぐアレクにたたみかけるようにアレクに言う巴。
「私初心者よ? 初心者に負けるのが……怖いんだぁ??」
いつぞや見せたとびきりの笑顔だ。
「悪いなガーネット、これはテキサスホールデムの問題じゃねえ、俺のプライドの問題だ」
「こうなったら聞かないんだから……いいから勝ちなさいアレク」
「すまねえ、オールインだっ、お前はここで潰すっっ!」
「フォールドよ」
アレクは巴への敵意を隠そうともしない。
「ATだっ」
恐らくアレクには巴が鬼か悪魔に見えているに違いない。
口の端を上げて……巴が制止した時間の中で……一枚づつカードをめくる。
――JJ。
食い入るように場のカードの行く末をアレクは見届けていた。
当たりそうな気がするよな? 2回目のAだもんな。でも当たらねえんだよ、テキサスホールデムは。そのハンドはフロップを見なければ駄目だぜ??
満足げな巴がフォールドして始まった44ハンド目。
アレクが残りチップ350ライルをオールインした。
ガーネットがコールで参加してくる。手堅い。
「コール」
グレイソンの二の舞もあるだろうから、自ら降りることはないとしても、どっちが勝ってもアレクパーティのチップとなるのはおいしくない。幸いハンドはQTだ。
フロップにQが落ち、ハーフポッドをベットしてかすめとる。
これで巴も俺も、3位以上確定だ。
「俺は……俺は……選ばれたんだ……選ばれた人間なんだ……」
アレクはうわごとを繰り返し正気を失いながら場を去って行った。
:::::::::::::::::::::::::
ヨーヴン認定戦 4位 敗退 アレク
:::::::::::::::::::::::::
【44ハンド目 終了時点】
【ブラインドレベル4:40/80 アンティ10】
BTN ……遊都 (約3150→3850)
SB ……巴 (約4400)
BB ……アレク (約350→0)
UTG ……ガーネット(約5600→5250)
「やってくれたわね」
ガーネットの怒りとともに、魔力の圧が俺たちに向けられた。
「2対1あとは楽勝ね」
「レイズ240」
「フォールド」
「何よ? ……フォールド」
「レイズ240」
「フォールド」
「フォールドよ」
「えっとフォールド」
「フォールドよ」
テンポが完全に切り替わる。
そうロック、または参加し始めた巴はタイトリーアグレッシブかもしれないがどちらにしても絶対に勝てない。参加しないとブラインドに食われる。参加率を上げるしかないんだ。
「巴、もう作戦のこととか忘れて好きに参加しろよ……あとは俺が何とかする」
ブラインドアップが2度あり今のブラインドレベルは6だ。
巴がレイズするたび、二人とも容易く降りる。
「何よ何なのよっ」
巴のいらいらが募る。
「感情が出過ぎなんだよ、巴」
ガーネットは淡々とプレイを進める。見たところ特にスキルも使用していない。
巴は2対1で楽勝と言った。
そうなのか? 楽勝なのか?
アレクパーティ、アレクパーティと言ってきたが……ゴブリン戦を思い出す。
指示を出していたのはいつもこいつだった。
テキサスホールデムに腕っ節は必要ない。必要なのはむしろ……。
「オールインよ」
巴のチップがまた掠め取られる。
巴のチップは刈り取られる前に俺が刈り取る。
あとはまかせろ。
淡々とゲームは進む。会場が静まってきた。
「ブラインドアップします」




