第17話 vsゴブリンキング期待度70%
「囲めっ! そっちを空けるなっ!」
ゴブリンキング討伐は激しさを増していた。
ゴブリンキング戦に途中参加したアレク達が奮闘する。
ガーネットが勇猛たる闘志の炎でバフをかけ。スイが百獣の嗅覚を使いゴブリンキングを曲芸のように翻弄する。ガーネットが空中に何かあるものをスワイプしたりしている。アレクが千剣の憧憬を使用し肉薄する。
最初まるで歯が立たなかったものが次第に安心して見れるようになり拮抗してくる。スイが死角に回り首筋を削る。ゴブリンキングの左手がガーネットの的確な支援で放たれた炎で黒焦げになっていく。
ゴブリンキングが膝を着き、その首をアレクが大剣で切り落とした。冒険者が勝ち鬨をあげる様子を俺と巴は無言で眺めていた。おまえらじゃこうはできないだろう? と言われている気がしていた。
得意げに鼻をこすったアレクにガーネットが飛びつき、スイが喜んでアレクにご主人様すごいですとか言っている。
ギルドではお祭り騒ぎだ。その興奮も冷めないまま。報奨金が手渡せられる。
慇懃な様子のフランカから金一封が配られる。俺たちにも渡された金貨3枚の2人分6枚。日本円にしてひとり3万円これが命の価値か。貯金は巴と共同で24枚合わせてやっと30枚か。30枚ちょっとでDランクに上がれるとモンドには聞いていた。
「最後にゴブリンキング討伐の最大の功労者に報奨金が支払われます。金貨36枚です」
その額の大きさにおおっと会場がどよめく。
30枚ちょっとか……。
「ではパーティを代表してアレク受け取りに来て下さい」
悠々と自信をつけたアレクがフランカの傍らに立つ。
金貨袋が手渡され、それを掲げるアレク。
ギルドが賞賛の声で溢れた。
拍手喝采が一段落するのを待ってフランカがかしこまって皆様と呼びかける。
「この度アンダーツリーでは近くイリア・クロスフィールド様立ち会いの元。Dランク認定を行います。その条件はゴブリンリーダー以上の撃破それと参加費が現状のライルのレートだと金貨18枚となります」
「どうする?」
「参加費がなあ」
まわりの冒険者がぼやく。
「またDランク認定に伴って恒例のテキサスホールデムの認定戦が執り行われます。これは、参加費がそのまま賞金総額になっており、非常にお得になっております。ふるってご参加を」
その単語を聞いた俺の心臓が激しく動悸するっ。
テキサスホールデム……その言葉に鼓動が早くなる。
異世界で、なぜ??
だからなぜ? それがある??
「参加するったって勝てなきゃ意味ねえしよ」
「今年は賭けるか? 賭が成り立てばいいんだが1パーティだと不成立だな」
「俺らは参加するぜっ」
「どうする遊都……っ」
「手元には金貨が24枚。討伐の参加褒賞6枚入れても……6枚足りない」
俺のつぶやきを聞いたフランカさんが天使のような笑顔でこちらに歩み寄ってくる。
「ギルドでは、参加費が心許ない冒険者様の為に低金利でご融資します。金利は年3%ですので無理のない返済も可能です。公的なギルドが債権者ですからね。よそで借りるとこうは行きませんよ」
頬にあてた手をピッとしてフランカが力説する。
「Dランク認定は不定期です。イリア・クロスフィールド様が今回見えられていますが、王都から認定者が来て下さるのは良くて来年となります」
「……勝てばお金戻ってくるんだよな」
「ええ、ええ、その通りでございます」
目眩がしそうな混乱した頭で俺は言った。
「……わかった融資を受ける」
「ではこの借用書にサインと魔力を。万が一債務が滞った場合は奴隷落ちしますので」
「名義はどなたが」
多幸感に包まれてそうなフランカが尋ねる。
巴が隣で青くなっている。
「俺だっ」
フランカから俺はペンをひったくった。
フランカは熱情的な視線で俺の震えた契約を見ていた。
――こうして俺は戻ってきたテキサスホールデムの世界に。




