名家の2人
魔力測定はどの属性で受けるのか、システに聞いた。
「システはどの属性で受けるつもりなんだ?」
「一番コントロールできる水属性かな。俺、水は結構得意なんだ」
システはそう答えながら、すでにソワソワと落ち着かない様子だった。水属性には相当な自信があるらしい。
「早く受けたいな……待つのがもどかしい」
「エメリは?」と逆に聞かれたので、俺も答える。
「俺は風属性かな」
「派手さはないけど、一番扱いやすいんだ。火や水で失敗するより、よっぽどいいだろ」
「なるほど。確かに無難だな。風属性もいいよねぇ。風使いって珍しいし、意外と便利そうだ」
そんな話をしながら、魔力測定の試験場所に着いた。最後の試験だけあって受験者が多く並んでおり、かなり時間がかかりそうだ。だが、これは他の受験者の魔法を参考にできる貴重な機会でもある。
受験者のほとんどは水、火、土を使っている。どれも攻撃力が強く、実戦では前線で活躍する属性だ。
そんな中で、特に目立ったのは二人だった。
一人目は、先ほどの金髪でクールな男——騎士団に向いていると思ったあの人だ。彼は誰も使っていない光属性の魔法を放った。
的の人形に向けた技は、瞬きをするかのごとく一瞬で腹部を貫いていた。
衝撃的な光景に、試験官は愉快そうに笑い、周囲の受験者やシステは「知っている」という顔で頷いている。俺だけが初めて見る光景に、心を躍らせていた。
興奮のあまり、隣にいるシステの肩を揺する。
「おい、なんで驚かないんだよ! すごすぎるだろ、あれ!!」
システは俺の反応に目を丸くした。
「……まさか、フォリオ様を知らないのか?」
「フォリオ? 聞いたことないけど。そんなに偉い人なのか? 『様』付けしてるし」
システは大きくため息をつき、呆れたように首を振った。
「グリフォン様と揉めるし、フォリオ様のことも知らないなんて……お前、本当に面白い奴だな」
「教えてくれよ。何者なんだ、そのフォリオって人は」
「フォリオ様は、王族騎士団のトップの家系のご子息で、現トップの息子だ。次期、国のナンバー7の一人になるお方だよ。つまり、かなりの大物だ」
「へぇ……すごい家柄なんだな」
なるほどと納得しつつも、俺は素直に疑問を口にした。
「でも、なんで王族騎士団の家系の者が、魔法警察を目指すんだ? 身体能力だけ見ても、明らかに騎士団向きだろ」
システは困ったように首を傾げた。
「理由までは知らないな。本人に聞いたこともないし。でも……あの魔法を見れば、なんとなく納得いくだろ? 光属性なんて、滅多に使えないし」
「確かに……あれは本物だ」
そしてもう一人は、グリフォンだ。
彼は火属性を使っていた。人形に向けて放った技は、立派な火柱となる。人形を包み込み、空高くまで燃え上がる光景は圧巻だった。人形は黒焦げになり、ぼろぼろになっている。
システはグリフォンについても、少し声を落として教えてくれた。
「あいつはグリフォン家の跡取りだ。国の財務を代々担っている大貴族で、頭が良くて非常に優秀な者しか出ないと有名なんだ。成績もいつも上位らしい」
「あの口の悪い奴が? 暴力的で愛想もなくて、怒るとすぐ胸ぐら掴むくせに……」
「外見や性格と中身は違うってことだな。とにかく、家柄も実力も本物だよ」
それを聞いて、俺は少し感心した。あんな態度の奴が、そんな凄い家の出身だったとは。
彼もなぜ魔法警察を目指しているのかは不明だ。だが——
俺も、そんな二人と肩を並べられる実力になってみせる。
心にそう決めていると、ついに自分の番がやってきた。




