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平民、魔法警察になる。  作者: 鼠の前歯
1章 憧れへの一歩
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魔法測定

順番的にはシステの方が先だ。どれくらいの実力なのか、正直楽しみだった。


 システの顔つきは真剣そのもので、先ほど「緊張で震える」などと言っていた様子は微塵も感じられない。


 試験官の「始め」の声が響くと、システは静かに詠唱を唱え始めた。水属性の詠唱は難しいと聞くので、少し心配になる。


 だが、その心配は一瞬で消し飛んだ。


 詠唱を終えたシステは、人形に向けてはっきりと言い放った。


「ウォーターボール」


 その言葉を聞いた瞬間、「詠唱してまで普通のウォーターボールを……?」と思ったが、すぐに理解した。


 彼が放ったのは、直径わずか3センチほどの小さなウォーターボールが無数に飛び交う応用技だった。無数の水弾が人形を襲い、表面に小さな穴をいくつも穿ち、ほとんどが貫通している。


「すっげ……」


 思わず声が漏れた。


 システは満足げな表情を浮かべて下がっていく。去り際に、俺の方を振り返って声をかけてきた。


「エメリの風魔法が見れないのは残念だけど、控え室で待ってるから。やりきれよ」


「任せろ」


 俺は笑顔でそう返した。


 そして、すぐに俺の名前がコールされる。


「はい!」


 返事をして、所定の位置へしっかりとした足取りで向かう。


 試験官が俺を見て、軽く声をかけてくれた。


「頑張れよ」


 俺は小さく頷き、目を閉じて集中する。全身をめぐる魔力を、ゆっくりと両手に集めていく。


 一番速く、攻撃力のあるカッターを——。


 風を刃のように練り上げ、的の人形に向けて解き放つ。軌道は少し荒い。だが、ちゃんと命中した。人形の表面に、無数の細い傷が走る。


 周りに比べれば地味な結果かもしれない。それでも、今の自分の全力を出し切った。悔いはない。


 試験官にお辞儀をして、控え室へと下がる。


 どんな評価を受けるかはわからない。それでも、一次試験を無事に終えられたことが、素直に嬉しかった。安堵の息を吐く。


 控え室に戻ると、システがすぐに声をかけてきた。


「お疲れ様」


「ありがとう。システもお疲れ様」


「で、この後暇か?」


「明日に向けて、宿を探して休む予定だけど……」


「じゃあ、食事しに行かないか? この町、俺が案内してやるよ。初めてだろ?」


 休みたい気持ちも正直あった。だが、この大きな王都の街並みには、以前から興味があった。


「……よろしく頼む」


 俺は笑顔で答え、システと共に試験会場を後にした。

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