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シドとシノの大冒険  作者: レイン
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唸る剛腕と忍び寄る刺客

「異世界人か……」


立ちはだかる、男達。


「獣臭そうな奴だなぁ……!」


「しかも残念な事に男と来てる。女の方が価値が高いんだけどなぁ……」


口々に思い思いの言葉を発する。そのどれもが彼にとってはあまり愉快なものでは無かった。


「俺はこれから帰らなくてはならない。特に用が無いならそこをどいてもらおう。」


嫌味を込めて放ったセリフも男達の前には意味を為さない。何故なら……用があるから。


「お前を……さらわせてもらう。」


「……何だと?」


「言っておくが理由を聞かれても答えるつもりは無いぜ。第一……拒否権もねえしな。」


「そういう事だ……ただ為すがされるがままに……大人しくするがいい!!」


「……」


話の通じぬ相手、それらは一斉に飛び掛かって男性に襲い掛かる。


「……どんな理由があろうとも、先に手を出して来たのはお前達だ。」


……そして彼は、このような荒事には慣れたものだった。


「うぶぐぉッ……!!!?」


左手の拳が唸りを上げて顔面を殴打する。


「やろ……うがっ……!!」


すかさずステップを踏んで踏み込んで裏拳をこれまた顔面へと叩き込み……


「ごぼぉあッ!!」


最後に残った一人には、高く飛び上がっての回し蹴りが飛ぶ。その全てがどれも一撃必殺にて勝負を決める。


「……これは警告だ。」


宣告する。


「このまま去るというのなら……それ以上の事は……」


「や、野郎がぁああッ!!!」


「……」


話が通じぬとは、こういう事なのだ。


相手の言葉に聞く耳を持たない。ただ自分の欲望を相手へと自分勝手にぶつけるだけの存在。


言葉通じぬ相手にもはや届くものはその……


「……が……は……」


「……言ったはずだ。警告だと。」


……比類なき、拳のみであった。


「う……うぉおおおおああああ!!!」


「……」


平静を失った者達はやがて、勝機の欠片も無いのにもかかわらず彼へ挑んでしまう。


それはある意味自らの手で命を絶ってしまったようなもの。


……男にとっては、酷く愚かしい終わり方に見えた。


「俺は……命とはそんな風に使うものでは無いと思うのだがな……」


そんな嘆きの言葉も、もはや男達には届かない。


ただ、その現実が男の胸に虚しく響くだけ。


「……一体、何だったのだろうな。」


それは疑問ではあったが、答えを知りたいという欲求はさほど大きくなかったようで、すぐさま帰路の方向を再確認する。


……不本意ながらだとしても長年を共に生きて来た小さな友人の待つその森へと。


……


ところ変わってこちらは……


「ふう……」


ついほんの先程戦いを終えて大地に降り立っては一息つく女性。イル・スタッド本人に間違いなかった。


「(ひとまず、結果を報告しなくてはなりませんね……この失態と、そして……あの者達の存在についてを……)」


仲間を失ってしまった事を伝えるのはある意味義務的な事であって彼女が本当に伝えたいのはまさに後者。


たとえ人数的な優位さがあったとて、やはり一筋縄ではいかぬ強さを見せつけたその集団達に今は興味を示していた。


……ここはデーニッツ・ヘルムート率いる者達……進人類達が集う総本山……千御柱である。


「……」


イルは本殿へと続く道を行く。時に身内の者達とすれ違ったりもするが、気さくにあいさつを交わすような間柄でも無い為、基本身構えられるか緊張のあまり目線を逸らされるかの2択であった。それを彼女が快いと感じているかは微妙な所だ。


「(他の皆さんはまだ戻ってはいないのでしょうか。まぁ……私達は各々がやるべき事がある。全員がこの場に集うなど本当に珍しい話……)」


この場合彼女が言っている他の皆さんとは、同じ集団に属する者達……アロウズ・イレブンの精鋭達の事である。かくいうイルもその一人……言わば最も関係の深い同胞である。


そのメンバーはこの場所の中でも圧倒的に高い地位を持つが故に、ある程度自らの意志で動く自由が許される。力ある者ならばそれは当然と言える程に。


「(あの者達をまとめて捕らえるには……些か私一人では難しいかもしれない。ならばいっそこちらも複数人を率いて一網打尽にしてしまえば……)」


彼女は仲間達の強さに全幅の信頼を置いている。少なくとも、自分よりは強いであろうと。そんな彼女も先の戦いであったように極めて高い戦闘能力を持つ。まともな人間では歯が立たない程度には……


「……ん?」


と、あれこれ思案している彼女の前に一人の男性が歩いて来る。彼はこれまでの者達と違って笑みを浮かべながら確実にイルの方へと歩み寄って来る動きを見せる。


「……アープデイさん。」


「いやぁですよイルさん。新参者の俺にさん付けは止してくれって言ったじゃあないですかねぇ。」


「相手を呼ぶ時に敬称をつけてしまうのは私の生来によるもの……あなたが余程不愉快でないのならばこのままで居させて欲しいですが……」


「俺は全然構いやしないんですが……まだまだ新人なもんで恐縮しっちまうんですよ。」


「……新人と言っても、あなたの力は私のようなそれと何ら遜色ありません。同じスコア12なのですから、別にへりくだる必要など無いのでは……」


「まあまあそういう見方もありはしますが……周りと上手くやる為には結構世渡りが必要なもんですからねぇ。仮に俺の方がイルさんより強かったとて……後からやって来た奴にデカい顔されると良い気分にはなりませんでしょう?」


組織とはおおよそそういうもの。絶対なる正しさや正義よりも、その集団の中で確立されている独自のルールの方が優先される。


「第一俺は同じ組織の人達と争ったりポジション争いをしたいわけじゃない、むしろ俺は協力したいし協力して欲しいんですよ。耳寄りな情報をこそっと教えてもらったりとか……そういう方が実用的ですしねえ。」


「それは実に合理的です。」


「つーわけなので俺も差し出がましい真似はしませんよ。一番にのし上がったりするより下の方で平平凡凡と生きていくのが目標ですとも……」


「……」


口にこそしないが、流石にそれは嘘だろうとイルは感じた。


その言葉の奥底にある確かな野心をどこかに感じていたからだろう。


「にしてもイルさん、今お帰りですかぁ?」


「その通りです。」


「その割には……随分と手ぶらじゃないですか。」


「……おっしゃる通りです。」


「へぇ……?それじゃあ今まで何をなさっていたんですか?あぁ、別にサボってたんじゃないかとか勘繰ってるわけじゃないですからね?俺みたいな不真面目な人間と違ってしっかりしてるってのは分かってますから。だから尚更何も持ってないってのが気になっただけですから。」


「……この翼で空を駆けて空から獲物を探していたのですが……良くも悪くも異世界人と出くわしました。」


「……良くも、は分かりますが……悪くも、ってのは一体?」


「……少々ではありますが、手強い相手に出くわしたという意味です。」


イルは、仲間である相手に隠し事などする必要無いと、素直に全てを打ち明ける。


「……イルさんが、手強いって感じるってのはまぁよっぽどの話ですねぇ……戦闘能力って言う意味じゃあ俺なんかよりもよっぽど高いのに……一体、どんな奴なんですかその異世界人ってのは。」


「……見た限りでは、どう考えても負けるはずの無さそうな雰囲気を醸し出しています。周りの取り巻きの方がよっぽど強そうに……ですが……」


「ですが……?」


「……何か、得体の知れぬ恐ろしさを感じてしまったのです。十中八九ハッタリに過ぎないと分かっていても……心の中に芽生えた違和感がいつまでも消えない……おそらくは私の勘違いに過ぎないのですが……」


「……」


しかし、アープデイはそれを勘違いとは思わなかった。


強者が感じ取る予感はそれこそ十中八九間違いなどでは無い。


凡人には分からずとも、何かの気配を察する事が出来る力こそ、まさに強者の力と彼は考える。


「……それで、その得体の知れない相手がどこのどいつかは分かっているんですか?」


「……大胆不敵にも、彼女は私にこう名乗りました。異世界者……シノと。」


「……シノ?」


「しかもその際、自らの居場所まで私に教えて来たのです。エイスの町に居るから……いつでも来るがいいと。」


「……へぇ、それはまた……恐れを知らねえ愚か者か……余程キレてる女ですねぇ。」


「普通に見ている分にはむしろ大人しそうに見えます……いえ、途中までは確かにそうだったはず。ですが急に彼女は豹変したのです……隠されていた表情が覗き込んで来たかのように……」


「……」


「もっとも、彼女は背も低く帽子を被っていたからあまりよく表情は見えませんでしたが……」


「……帽子?」


ふと、アープデイはつい先日の事を思い出す。


「(そういやサッコロであの女をさらった時に居たもう一人の異世界人のあの女……)」


……


「お前も異世界人なんだってな……」


「……!どうしてそれを……」


……


「そいつ……ちっこくて、のほほんとしてそうな女では?」


「……確かに、そんな感じではありましたが……もしかして、ご存じなのですか。」


「……」


彼女の言っている人物と自分の知るその人物が完全に合致した事で、アープデイは、ほくそ笑む。


「(……エイスの町か……へ、丁度いい……こないだは失敗したが……名誉挽回にはもってこいじゃねえか……)」


「……そいつ、ちょっくら俺がちょっかい出してもいいですかね?」


「アープデイさんが……?」


「ええ。実はそいつとはちょっとばかし、因縁的なものがありましてね……出来たら俺の手でここの牢屋にぶち込んでやりたいと思ってたんですよ。」


「……」


イルは、僅かに迷う。


アープデイ一人にそれを任せるという事をするよりも、全体にこの話を持ち込んだうえで複数人で事に当たる方が確実性が高いと見たから。ただ、それを実行するには若干のタイムラグが挟まるが……大した問題とは言えない。


「……一応私は、デーニッツさんに報告をした上で今後の動きと対策を考えようと思っていたのですが……」


「……なぁに、心配いりやしませんよ。イルさんがそこまで考え込むような事じゃない。あんな見るからにトロそうな奴、捕まえて来るのなんてお茶の子さいさいって奴でさぁ。ましてや……その点においてだけなら俺は中々出来る男……ですからね。」


「それは……確かに……」


自負するだけの事はあり、戦闘能力以外の面においてアープデイの持つ能力は使いようによって凄まじい効果を発揮可能であった。


「まぁ、任せてくださいよ。もしなんかの間違いで俺が戻って来なかったらその時はアロウズ・イレブン全員で敵討ちにでも来てください。んな事絶対にありえないでしょうが……ね。ヒヒヒ……!!」


「……」


彼も自分で口にしておきながら、そんな事有り得ないと確信している。自分の強さ、その能力をもってして自分が負ける事など……不覚を取る事など絶対に有り得ないと。


そんな自信に裏付けされた言葉を、イルはやむを得ず見送る他無かった。


……


1ページ目


やぁこんにちは!僕は動物博士だよ。僕と一緒にこの本を読んでこの世界に住んでいるたくさんの動物の事をもっと知ろう!


14ページ目


オオヤマオオカメレオン


このカメレオンはその名の通り山みたいな過酷な場所に住んでいてとっても大きいカメレオンなんだ。


過酷な場所で生きていく為にこのカメレオンは普通のカメレオンには無い特徴があるんだ。


それは怪我をしたり傷を負った部分を……なんと……たちどころに塗り替えちゃう事が出来るんだ!


だからいくら他の動物に襲われたってその素早い逃げ足と治癒能力でどこまでも逃げおおせてしまうんだよ。戦う力だけが生きる力じゃないって事がよく分かるね。


世界の動物大百科(子ども向け)より抜粋

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