表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/23

来訪者、すべてを壊す者

静寂は――長くは続かなかった。


血の雫が、なおもオリオンの頬を伝っている。


その時――


大地が揺れた。


「ドォォォン!!」


二度目の爆発。


外から響く悲鳴。


壁が砕ける音。


机が揺れ、地図が床に落ちた。


モーガンが素早く顔を上げる。灰色の瞳が見開かれた。


「襲撃だ……!」


だが――


オリオンは彼を見なかった。


その場で固まっている。


何かが……


体の奥で動いた。


マナ。


だが、それは彼のものではない。


違う。


冷たい……暗い……まるで囁くような感覚。


一滴の血が顎から落ちる。


オリオンの紫の瞳が、ゆっくりと持ち上がった。


「……この感覚。」


外ではすでに戦闘が始まっている。


剣の音、悲鳴、マナの爆発。


「内部に侵入されているぞ!」誰かが叫んだ。


モーガンは拳を握り締めた。


「くそ……内側からやられたか。」


そしてオリオンを見る。


「突っ立っているな、動け!」


だがオリオンは――


扉を見つめていた。


不気味なほど静かに。


「……あいつだ。」


沈黙。


モーガンが目を細める。


「今、何と言った?」


だがオリオンは答えない。


ただ――


背を向けた。


そして歩き出す。


「オリオン!」


止まらない。


振り返らない。


その足取りは迷いがなく、まるで最初から行き先を知っているかのようだった。


外へ出ると、ギルド内は混乱に包まれていた。


影のギルドの構成員たちが戦っている。


マナの炎がぶつかり合い、


血が飛び散る。


だが――


オリオンは気にしない。


彼らの間を、存在しないかのように通り抜ける。


そして――


止まった。


混乱の中心で。


目を閉じる。


マナ。


あの感覚。


今度は、より強く。


わずかな笑みが浮かぶ。


「見つけた。」


目を開く。


次の瞬間――


消えた。


凄まじい速度で出口へと駆け抜ける。


――――――


外。


夜は静かなままだ。


空には月。


だが、とある建物の上には――


一人の女が立っていた。


静かに。


黒いローブが風に揺れ、


長い黒髪が肩に流れている。


その瞳は、不気味な光を帯びていた。


彼女の周囲には――


マナ。


不安定に揺れ、渦を巻き、生き物のように蠢いている。


女は微笑んだ。


「少し遅かったわね……オリオン。」


声は穏やかだった。


だが、どこか異質な響きを持っている。


次の瞬間――


「ドンッ!」


空気が弾けた。


オリオンが建物の前に現れる。


ゆっくりと顔を上げる。


視線が交差する。


沈黙。


だが、空気そのものが重くなった。


マナの圧力で地面に亀裂が走る。


「……お前か。」


女の笑みが深くなる。


「いいわね。すぐに気づいたのね。」


オリオンは答えない。


ただ見つめる。


冷たい視線。


だがその奥には――


わずかな緊張。


そして理解。


「組織の長……影を嫌う魔女か。」


静かに言った。


女はくすりと笑う。


「つまらない呼び名ね。」


ゆっくりと手を上げる。


周囲のマナが激しく揺れた。


「私はただ……あなたの世界を壊す存在よ。」


一瞬――


姿が消える。


次の瞬間、目の前に現れた。


オリオンの瞳がわずかに見開かれる。


「バァァン!!」


衝突。


地面が砕け、通りが崩壊する。


煙が舞い上がる。


オリオンは数歩後退し、地面を滑るようにして止まった。


ゆっくりと顔を上げる。


そして――


微かな笑み。


今度ははっきりと。


「……いいな。」


体内のマナが動き出す。


より激しく。


より危険に。


「久しぶりだ……」


ゆっくりと手を上げる。


「殺す価値のある相手に会えたのはな。」


沈黙。


そして――


マナが爆発した。


戦いが始まる。

あとがき

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

この物語を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマーク登録や**評価(☆☆☆☆☆)**で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!

次の更新も楽しみにしていてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ