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憤怒の罪の帰還

重苦しい沈黙が広間を支配した。


影のギルドの構成員たちの死体が至る所に散乱し、血が暗い湖のように床一面を覆っていた。


深紅の髪を持つ少女が広間の中央に立っていた。

背は高く、しなやかな体つきで、長い黒いコートをまとい、その裾は一歩踏み出すたびに静かに揺れていた。

彼女は真紅の瞳でモルガンをじっと見つめながら、数メートル手前で立ち止まった。


何も言わない。


ただ、彼を見つめているだけだった。


モルガンは、自分の体が凍りついたように感じた。


冷たい汗が額を伝い落ちる。


「……この気配。」


彼女から放たれるマナは穏やかだった……。


だが、その重圧は空気そのものが肺を押し潰そうとしているかのようだった。


モルガンの隣に立っていた男ですら耐えられなかった。


膝が震えた。


そして、荒い息を漏らしながら床へ崩れ落ちた。


「も……モルガン様……」


「い……息が……できない……」


モルガンは一瞬だけ男を見た。


だが、その視線はすぐに少女へ戻った。


彼女はなおも無表情のまま彼を見つめていた。


そして――


その唇に小さな笑みが浮かんだ。


その笑みは、モルガンの背筋に悪寒を走らせた。


彼女はこの上なく穏やかな声で言った。


「久しぶりね……モルガン。」


モルガンの目が大きく見開かれる。


何年ぶりかに、その声が震えた。


「お……お前は……?」


彼女はわずかに頭を下げた。


そして、真紅の瞳をゆっくりと彼へ向ける。


「もう私の顔を忘れてしまったの?」


沈黙が流れた。


モルガンは答えられなかった。


苦々しく唾を飲み込む。


そして、途切れ途切れに言葉を絞り出した。


「ま……まさか……」


「『憤怒』……。」


彼女の唇に薄い笑みが浮かんだ。


それは親しみの笑みではない。


ようやく獲物を見つけた者の笑みだった。


彼女はゆっくりと手を上げ、人差し指をモルガンの目の上に走る傷跡へ向けた。


そして、わずかな嘲りを含んだ穏やかな声で言った。


「あなたの目の上に私が残した傷跡……今でも私の記憶どおり綺麗ね。」


一瞬言葉を切り、少しだけ首を傾げる。


「ねえ、モルガン……」


その笑みがさらに深くなった。


「まだ私の名前を覚えている?」


数秒の沈黙。


モルガンはゆっくりと息を吐き、苦い笑みを浮かべた。


「忘れられるものか……」


彼はまっすぐ彼女を見据えた。


「俺が仕えていた女の名前を。」


その表情が引き締まる。


「スカーレット……」


深く息を吸う。


「本当に……長い時間が過ぎた。」


スカーレットは一瞬だけ目を閉じた。


まるで遠い記憶を思い返すかのように。


そして、ゆっくりと目を開く。


その時には、笑みはもう消えていた。


「本当に長かったわ。」


彼女は一歩前へ踏み出す。


血に染まった広間に、その足音が響き渡った。


「あなたを探し続けて、何年も費やした……」


彼の目の前で立ち止まる。


「ただ……この手であなたを殺すためだけに。」


その眼差しが鋭さを増す。


「裏切りの報いとして。」


モルガンは皮肉っぽく息を吐き、残念そうに首を振った。


「あの日なんて、くそくらえだ……」


一瞬だけ俯く。


そして、疲れ切ったような笑みを浮かべた。


「お前と手を組むと決めた、あの日がな。」


彼は再び彼女を見上げた。


「俺は本当に愚かだった。」


短い沈黙。


そして――


スカーレットは突然微笑んだ。


だが今度の笑みは、不思議なほど穏やかだった。


「ええ……」


「あなたは愚かだった。」


少しだけ首を傾げ、彼を見つめる。


「でも……その愚かなくらいのお人好しなところが、一番好きだった。」


彼女は周囲に転がる死体へ視線を向けた。


そして、再び彼を見る。


「どんなことがあっても……」


「あなたは今でも、助けを必要としている人を見捨てられない優しい男ね。」


モルガンの隣にいた男が震えた。


額から汗が滝のように流れ落ち、呼吸は荒くなる一方だった。


スカーレットを見る。


そして出口へ視線を向けた。


「い……嫌だ……死にたくない……」


男は突然振り返り、全力で走り出した。


「誰か助けてくれぇぇっ!!」


スカーレットはその場から一歩も動かなかった。


小さくため息をつく。


「本当にうるさいわね……」


彼女は指を一本持ち上げただけだった。


そして次の瞬間――


「シュッ!」


男は走る途中でぴたりと止まった。


目が大きく見開かれる。


自分の胸を見る。


そこには心臓を貫く、小さく円い穴が開いていた。


血が口から溢れ出す。


体がふらつく。


そして、そのまま地面へ倒れ込み、二度と動かなかった。


スカーレットは男を一瞥すらしなかった。


ただ真紅の瞳をモルガンへ向けたまま、


恐ろしいほど静かな声で言った。


「これで……」


「もう誰にも、私たちの話を邪魔されないわ。」

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