第137話 さらばアケうにょ9
時刻は22:45。遊技終了のアナウンスがお店に響く。はぁ、ついに終わってしまった。最終的に私が+2000枚ちょい。最後の最後までホントにありがとう。この1年間、多くの幸せをもらいました。ツキヒトは目閉じプレイにハマってからは少し減らして-800枚くらい。19:00頃にはメカライオンと田之助にも目を閉じたまま勝利。よっぽど嬉しかったんだろうな。メダルが減り始めているのにニコニコしながら一服しに行ってたし。
「ルネ、お疲れさま。ナイス勝利。」
ツキヒトよ。何故まだ目を閉じている。
「うん。ありがと。・・・ふぅ。打ち切ったね。」
あえて目のことはスルー。
「だな。ツキヒトのその眼。未だ開いてはおらぬか。」
自分から語り始めたよwどうしてもスルーさせないんだw
「ふふ。ごめん。少し意地悪だったね。それで、その眼は何が見えるのかな。」
「人の心が見える!」
片目を抑えてもう片方の目をかっと開く。政宗うざし。
「・・・それでは私の心はいかに?」
プラスの連動を解除して席を立つ。あとはご飯でも食べながら思い出に浸ろう。
「・・・ちょっと呆れておるな。すまなかった。」
はい。分かればよろしい。
「さぁ、外に出ようよ。いつもでも店にいちゃ迷惑だしね。」
「おけ。」
数時間ぶりの外は別世界だった。心地よい風が二人の間を抜けていく。お店の明かりと夜の闇のちょうど真ん中。いただきます。
「あ~終わったね。これからどうする?ディナーにする?」
「・・・バス(bath)にする?」
大人味かよ。ツキヒト、今日テンション高いな。
「そ~れ~と~も~・・・ってその手には乗らないよ。」
「ふっ。だな。飯行こうか。」
時刻は23:00。ツキヒトの車に乗って数分。さすがにこの時間は車も少ない。途切れる車内のBGM。ふとした沈黙の流れに乗って私の口から言葉が漂う。
「明日からさ、どうしようか。」
別にアケうにょが私たちの地域からなくなってしまったからと言ってツキヒトとの関係が終わってしまうわけではない。けれど今までと同じように遊び続けるのは無理かもしれない。
「そうだなぁ。また二人で楽しめて勝てる台が見つかればいいけどね。うーん。」
そんなんよ。アケうにょは負ける日はあっても数をこなせばこなすほど順調にメダルが増えていった。それで二人で遊ぶお金には困らなかったし、どっちかがぼろ負けして気まずい空気になることもなかった。他の台で遊ぶとなったらそうはいかない。楽しいけど勝ちづらい台だとたまにしか打てないし、つまらないけど勝ちやすい台じゃ二人の時間がもったいない。
「そうだね。アケうにょに代わる台、探していかないとね。」
「だな。」
私たちを繋いだアケうにょとの物語は今日で一区切り。ひとまずの別れを惜しみつつもツキヒトと新しい物語を紡いでいくつもり。さぁ、出会いに行こう。まだ見ぬ神台に。




