反乱軍
西国無双の美女四
そして、次の日から村人総出で工事に取り掛かるのであった。
木材を調達する者、用水路を掘る者と分担して工事が始まった。
虎姫も工事に加わるのである。
「虎姫様は、休んでいてください、、」
「そんなこと言っても無駄だよ、一度決めたことは聞かない人だから、、」
虎姫は、土嚢を作るのを手伝っていた。
そして、昼になると女たちがおにぎりを持ってくる。
「虎姫様、どうぞ召し上がってください、」
「おぅ、ありがとう、、」
虎姫は、おにぎりを頬張っている。
「汗をかいた後のおにぎりは、格別だなぁ、沢城、」
「はい、そうですね、虎姫様、」
そして、昼食が済ませるとまた工事に取り掛かる。
午後からは、子供たちも手伝っていた。
ある程度一段落して休んでいたら、女たちが何かを持ってくる。
「なんだ、これは?」
「はい、夏みかんの砂糖漬けです、疲れた後の甘いものは良いもんですよ、虎姫様、」
虎姫は、その夏みかんの砂糖漬けを一口、、、
「どうですか、虎姫様、」
「甘いっ、、」
「そうでしょうね、砂糖漬けですから、」笑
「甘いだけじゃない、みかんの皮の苦味がくせになりそうだなぁ、」
「そうですとも、苦味が甘さを引き立てていますね、虎姫様、」
「おぅ、沢城も気に入ったのか?」
「はい、終わったら、土産に持って帰りたいほどですね、」
「はい、たくさんありますから、遠慮なくお持ち帰りください、虎姫様、」
「おぅ、ありがとう、、」
山を伐採した後は、みかん畑を作る計画になっていた。
山で暮らす村人たちの生活の為、みかんを栽培していたのである。
後に有名になっていく熊本みかんなのであった。
工事が始まって五日経つと見ているだけだった役人たちも手伝うようになっていた。
こうして行くうちに用水路は二ヶ月で完成するのであった。
これも虎姫の人柄が皆を一つに纏めていたのであろうか?
これから虎姫は、皆から愛され慕ってくる者が増えていくのである。
いよいよ完成式となり、虎姫の号令で水門が開けられると川の水が用水路に流れて行く、、
誰からともなく、、万歳、、万歳、、と手を挙げて喜んでいた。
虎姫たち一行は、女たちから貰った夏みかんの砂糖漬けを土産に帰って行くのであった。
北九州地方に反乱分子が集まり出した。
廃藩になった浪人たちや幕府方に反対する浪人たちで構成されている。
このまま見過ごすと反乱軍が出来てしまうとの懸念で、幕府方は第一次討伐隊を送ることにした。
其れには、肥前佐賀藩と肥後細川藩が選ばれていた。
肥後細川藩では、陣佐左衛門を総大将とする総勢六千の兵隊であった。
其処に先鋒騎馬隊の小隊長に虎姫が就任するのであった。
先鋒騎馬隊と言っても、二百の遊撃騎馬隊になっていた。
総大将の命無くても動ける遊撃騎馬隊にしてあったのであります。
其れは、虎姫が陣佐左衛門に頼み込んでいたのである。
先ずは、敵を知ることで、数人の偵察隊を送り込んであった。
北小倉辺りの神社仏閣に参詣するも、その裏山には誰も足を踏み入らないのである。
虎姫は、其処を重点的に調べさせていた。
五日後、その偵察隊が戻ってくる。
やはり虎姫の察しのとおり、裏山で兵士の訓練所となっていたのであった。
さっそく本陣の総大将陣佐左衛門のところに伝令を送る。
「あの旗印はなんだ?」
「はい、総大将、あれは九曜紋でありますね、」
「すると、遊撃騎馬隊の伝令ではないか、、」
遊撃騎馬隊の伝令が総大将陣佐左衛門に書状を渡して、、、
「うむっ、なんだこれは?」
裏が透けて見えるような紙に黒い点が六つ配列されていた。
「なんだいこれは?」
「はい、敵に奪われてもいいようにとの隊長の指示であります、それを地図に載せてみてください、」
陣佐左衛門は、地図を広げてその紙を載せて見ると、、、
北小倉周辺の神社仏閣の位置と同じであった。
「はい、隊長が申すには、其処の裏山が敵の訓練所になっているとのことです、」
「ふむっ、なるほど、、すると我らに気付いて一箇所に集まるとしたら、、此処だな!」
陣佐左衛門は、虎姫の意図したことが分かったようである。
遊撃騎馬隊は、九曜紋(細川家)を旗印としている。
「アリの巣を突けば、此処に集まるであろうか?」
「その此処とは、鋭角寺でしょうね、総大将、」
「佐賀藩の総大将にこの書状を渡してくれたまえ、、」
「はい、総大将、、早馬で伝令を送ります、、」
総大将陣佐左衛門は、伝令が帰って来たら、数箇所の敵軍を攻撃するつもりであった。
そして、佐賀藩と連携して本陣を総攻撃するつもりでいた。
虎姫の遊撃騎馬隊は、味方の攻撃を待っている。
反乱軍が撤退して行くのを見計らって、待ち伏せをして攻撃することにした。
「沢城、、船を着けるとしたら、どの辺りだ?」
「そうですね、この辺りの三箇所でしょうか?」
「そうか、、我らがいるこの辺りだとすると、此処だな、沢城、」
「はい、そうでございます、虎姫様、」
「それなら、、この辺りで待ち伏せするとしようか?」
虎姫は、地図を見て指差していた。
「それじゃ、さっそく遊撃騎馬隊を率いて行くとしよう、沢城、」
「はい、もう準備は完了しています、いつでも出陣できますよ、虎姫様、」
「そうか、行くとしようか、、沢城、」
「はい、虎姫隊長、、」




