神威の剣1
「さ、着いたぞ。気を引き締めろ。…来るぞ。次はリュウジとエルマ、やってみろ」
くい、とバンデムが顎で示した先には、一層でも相手をしたジャイアントアントが1匹立っていた。
「1匹なのは都合がいい、とっととカタを付けましょう!」
「おう!」
「はい!」
ケイシーの号令に返事を返して駆け出す。後ろで詠唱が始まったことを確認してから、渾身の力を載せて居合を放つ。
「はぁぁっ!!!」
脚を4本同時に切り裂かれてよろめく蟻に向けて、今度はエルマの呪文が炸裂した
「切り裂け!ウインドカッター!!」
詠唱と同時に蟻の身体がパカっと割れた。どうやら昨日丸焼きにしたのを覚えていたようで、属性を変えたらしい。
「よし、狩れたな。ま、これは小物だ。次、本命が来るぞ。二層にいる魔物の中じゃあ特に厄介な奴だ」
バンデムが弓に矢を番えるのと同時にケイシーも盾を構える。倣うように刀を鞘に戻して居合の姿勢になると、すぐに耳に異音が届いた。
からん、からん。軽快な音と共に通路の奥から姿を現したのは、鎧を着込んだ骸骨だった。軍刀を腰に差し、プレートアーマーで胸を守った骨が歩いてくる
「あれはここらで死んだ冒険者の成れの果てだ。回収されない死体はああなる。…見たとこあれは元剣士、だいたいランク8だな。」
「申し訳ないですが、ああなったらもうだめです。蘇生もできない、仲間を増やそうとするアンデッドになっているので、殺すのが慈悲ですね。」
ケイシーが少し眉を下げて言う。頷いて一歩前に出た
「魔物相手は未知の領域だが、俺は侍、剣士同士の立ち合いなら腕に覚えがある。任せてくれ」
刀を鞘から抜き放つ。周囲のぼんやりとした光を反射して鈍く光る刀身に反応するように、骸骨も剣を抜いた。
いよいよ次回、剣と剣の立ち合い。冒険者の成れの果てとリュウジの立ち合い、果たしてどうなるのか…!!




