5.奪われた王座
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「ようこそ」
暗い部屋。
灯りの奥。
そこにいたのは――
白い獣人だった。
「お待ちしてました」
柔らかい声。
だが。
どこか芯がある。
ラステリが小さく震える。
――しろいです……
フランも目を見開く。
「……きれい」
マルディがニヤッとする。
「珍しいっすね」
大地は静かに見る。
「……お前が」
「ここを仕切ってる奴か?」
白い獣人は微笑む。
「はい」
一歩前へ。
「ジュラル・プライドと申します」
一拍。
「この帝国で“動いている者達”の代表です」
大地の目が細くなる。
「……レジスタンスか」
その言葉に。
周囲の空気がわずかに張る。
だが。
ジュラルは否定しない。
「そう呼ばれることもあります」
静かに認める。
「そしてこちらが――」
横を見る。
先ほどの女性。
「姉のジャンヌ・プライドです」
ジャンヌは軽く頷くだけ。
無駄な言葉はない。
だが。
その目は鋭い。
「……で」
大地が言う。
「何があった?」
ジュラルの表情が変わる。
わずかに。
影が落ちる。
「……5年前です」
静かに語り始める。
「この国は、まだ“国”でした」
その言葉に。
違和感が残る。
「当時の帝王は」
一拍。
「父――ジーゼル・プライド」
ラステリが反応する。
――おうさまです……
「ああ」
ジュラルは頷く。
「強く」
「誇り高く」
「民を守る王でした」
ジャンヌが小さく目を伏せる。
「だが」
ジュラルの声が低くなる。
「一人の男が現れます」
「ゾル・グリード」
その名前。
空気が重くなる。
「当時はただの商人でした」
「……ただの、な」
マルディがぼそっと言う。
ジュラルは続ける。
「資金力」
「人脈」
「そして――手段を選ばない思考」
一拍。
「暗殺者を雇いました」
フランが息を呑む。
「王を……?」
「はい」
ジュラルは頷く。
「何度も」
「何度も」
「暗殺を試みました」
だが。
「父は強すぎた」
その一言。
「すべて返り討ちにしました」
大地が目を細める。
「……だろうな」
「しかし」
ジュラルの声が少し震える。
「父は誰にも言わなかった」
「……?」
フランが首をかしげる。
「王が狙われていると知られれば」
「民や家族に不安を与える」
一拍。
「そう考えたのでしょう」
沈黙。
「そして」
ジュラルの拳が握られる。
「グリードは標的を変えた」
「……まさか」
大地が呟く。
ジュラルは頷く。
「母です」
フランが息を呑む。
「王妃……」
「病弱でした」
「戦えない」
「守るしかない存在」
ジャンヌの歯が軋む。
「……最低だな」
マルディが低く言う。
ジュラルは続ける。
「最初は防げました」
「だが」
「毒」
「奇襲」
「あらゆる手段」
声がわずかに崩れる。
「終わらなかった」
「削られていった」
「心も」
「身体も」
「そして――」
静寂。
「父は壊れた」
その一言。
重い。
「守れなかった」
「その現実に」
「……」
誰も言葉を出せない。
「そして」
「父と母は」
一拍。
「暗殺されました」
完全な沈黙。
フランの目に涙が浮かぶ。
ラステリも震える。
「その後」
ジュラルの声が戻る。
だが。
冷たくなっていた。
「グリードは動いた」
「幹部を買収」
「金で」
「恐怖で」
「全てを掌握した」
大地が吐き捨てる。
「……クズだな」
「ええ」
ジュラルは静かに頷く。
「そして」
「帝王になった」
一拍。
「今の獣帝国の完成です」
沈黙。
重い空気。
その中で。
マルディが小さく笑う。
「いや〜」
「救いようないっすね」
フランが小さく言う。
「……ひどい」
ラステリも。
――かなしいです……
大地は黙っていた。
そして。
ゆっくりと口を開く。
「……で?」
ジュラルを見る。
「お前は何がしたい」
その問い。
核心。
ジュラルの目が真っ直ぐになる。
「取り戻す」
短く。
「この国を」
一拍。
「父の国を」
静かな決意。
大地は少しだけ笑う。
「……いいな」
一言。
「分かりやすい」
マルディがニヤッとする。
「アニキ好きそうっすね」
フランも頷く。
「……うん」
ラステリも。
――やります……?
大地は前を見る。
「舞台は整ってる」
静かに言う。
「観客は沈んでる」
一拍。
「悪役もはっきりしてる」
そして。
口元が上がる。
「最高じゃねぇか」
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