2.黄金の門
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数日後。
視界の先に、それは現れた。
「……あれか」
華岡大地が呟く。
巨大な城壁。
そして――
門。
「……きらきらです……」
ラステリがぽつりと呟く。
それもそのはずだった。
門は。
金色だった。
ただの装飾じゃない。
光を反射し、
まるで誇示するように輝いている。
フランが眉をひそめる。
「……なんか、やだ」
マルディが笑う。
「いや〜分かりやすすぎるっすね」
「“金の国”って感じっす」
大地は目を細める。
「……ああ」
一言。
「趣味が悪い」
門の前。
列ができていた。
人。
人。
人。
だが。
どこか様子がおかしい。
静かすぎる。
ざわめきが少ない。
「……妙だな」
大地が呟く。
やがて。
順番が来る。
門兵が無機質に言う。
「入国税だ」
「一人、銀貨十枚」
ラステリが固まる。
――たかいです……
フランも驚く。
「え、それ……」
マルディが肩をすくめる。
「ぼったくりっすね」
大地は黙って金を出す。
王都での公演。
稼ぎは十分。
払えない額じゃない。
だが。
「……全員払ってるのか?」
大地が聞く。
門兵は無表情で答える。
「払えない者は入れない」
それだけ。
淡々と。
当たり前のように。
帝都――ヴォル・ガイウス。
中に入る。
そして。
違和感が、はっきりと形になる。
「……なんだこれ」
建物は豪華。
装飾も派手。
だが。
人の顔が違う。
暗い。
疲れている。
余裕がない。
笑っていない。
ラステリが震える。
――いやです……
フランも小さく言う。
「……息がつまる」
マルディも珍しく静かだった。
「……完全に死んでますね」
空気が。
街の“温度”が。
市場。
店は並んでいる。
だが。
値段が高い。
明らかに。
「……買えない」
小さな声。
子供。
母親が首を振る。
「ダメよ」
その声に力がない。
横では。
兵士が通る。
誰も目を合わせない。
避ける。
視線を落とす。
支配されている空気。
「……情報集めるぞ」
大地が言う。
酒場へ向かう。
中も同じだった。
静か。
必要以上に。
「……外から来たのか」
店主がぼそりと聞く。
「ああ」
「……やめとけ」
それだけ言う。
それ以上は話さない。
目も合わせない。
外に出る。
フランが不安そうに言う。
「……ここ、変だよ」
ラステリも。
――こわいです……
マルディが小さく笑う。
「いや〜」
「聞いてた以上っすね」
大地は空を見上げる。
重い。
空気が重い。
「……なるほどな」
一言。
「これは」
静かに言う。
「舞台どころじゃないな」
だが。
次の瞬間。
口元がわずかに上がる。
「だからこそだ」
フランが見る。
「……?」
大地は前を見る。
帝都の奥。
その先にいる。
「帝王、ゾル・グリード」
低く呟く。
「……ぶっ壊す価値はある」
ラステリがぴょこんと跳ねる。
――やります……!
マルディが笑う。
「いいっすねぇ」
フランも頷く。
「……うん」
大地は一歩踏み出す。
「まずは」
一言。
「舞台を作る」
暗い街。
笑わない人々。
その中で。
ソル・フロールは動き出す。
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