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1.感情を奏でる翼

毎日17:00に更新します!

王都を出て数日。

道は徐々に変わっていた。

整った石畳から、

土の道へ。

人の多さも減り、

空気はどこか重くなる。

「……これが獣帝国方面か」

華岡大地は

静かに呟いた。

ラステリが小さく震える。

――なんか……くらいです……

フランも少し不安そうに空を見る。

「……空気、重いね」

マルディは軽く笑う。

「いや〜話聞く限りじゃ

 そりゃ荒れてるっすよ」

大地は頷く。

「だから行くんだろ」

一歩、前へ。

「舞台は明るくするためにある」

その言葉に。

フランが小さく笑った。

その時。

大地の指輪が――

脈動した。

「……来たか」

視界に文字が浮かぶ。

【個体名 フランが進化可能です】

フランが目を見開く。

「え……私?」

ラステリがぴょこんと跳ねる。

――おめでとうです……!

マルディがニヤッとする。

「ついに来ましたねぇ」

大地は迷わない。

「フラン」

「うん……!」

「進化だ」

その一言。

信頼。

期待。

すべてを込めた言葉。

次の瞬間。

光が広がる。

フランの身体が包まれる。

優しい光。

だが。

その内側で。

何かが変わっていく。

翼が大きくなる。

髪が伸びる。

白銀に。

柔らかく揺れる。

身体も成長する。

幼さが抜け。

女性らしい輪郭へ。

空気が震える。

感情が揺れる。

――周囲の“心”が、反応している。

やがて。

光が消える。

そこにいたのは――

「……フラン?」

大地が呟く。

フランはゆっくりと目を開く。

ピンクの瞳。

柔らかく。

だが強い光。

「……とと」

声。

以前よりも。

深く。

響く。

「なんか……変な感じ」

少し笑う。

だが。

その一言だけで。

空気が揺れる。

マルディが目を細める。

「……これ、やばいっすね」

ラステリも驚く。

――きれいです……

大地は頷く。

「エモーショナルハーピー」

その名を口にする。


フランの進化を見届けた後。

大地は静かに言った。

「……ステータスを確認する」

視界に情報が浮かび上がる。

そして。

一つだけ、明確に変わっていた。

「……これだな」

フランが首をかしげる。

「なに?」

大地は答える。

「新しく追加された特性だ」

一拍。

「【舞台心掌握】」

空気がわずかに変わる。

ラステリもぴょこんと反応する。

――あたらしいのです……?

「ああ」

大地は頷く。

「これは単純だが――厄介だ」

ゆっくり説明する。

「ショー空間にいる対象ほど」

言葉を区切る。

「フランの歌の影響を強く受ける」

沈黙。

マルディがニヤッと笑う。

「……つまり」

「舞台に乗った時点でアウトっすね」

「その通りだ」

大地ははっきり言う。

「観客も、敵も関係ない」

「舞台の中にいる限り」

一言。

「フランの“影響圏内”になる」

フランが少し驚く。

「え、そんなに……?」

「かなりな」

大地は断言する。

「今までは“補助”だった」

一拍。

「だがこれは違う」

目を細める。

「舞台そのものを支配する能力だ」

ラステリが震える。

――つよいです……

マルディが肩をすくめる。

「いや〜これ完全にボス性能っすね」

フランは少し戸惑いながらも。

小さく頷く。

「……がんばる」

その声が。

ほんの少しだけ。

周囲の空気を揺らした。


その後。

近くの小さな村。

人は少ない。

活気も薄い。

どこか沈んだ空気。

「……ちょうどいい」

大地は言う。

「ここで試す」

舞台を展開。

簡易構成。

だが十分。

人が集まる。

最初は少しだけ。

警戒気味に。

「……なんだあいつら?」

「こんな時になにやる気だ?」

不信。

だが。

大地は気にしない。

一歩前へ。

「――開演だ」

ラステリが舞う。

いつも通り。

だが。

空気が違う。

次の瞬間。

フランが歌う。

「――っ」

空気が変わる。

一瞬で。

観客の表情が揺れる。

疲れていた男が

目を見開く。

子供が笑う。

女性が涙を浮かべる。

「……なにこれ」

誰かが呟く。

ラステリの動きが

さらに洗練される。

刃の軌道が美しくなる。

観客の視線が離れない。

「……すごい」

「なんか……楽しい……」

感情が増幅される。

広がる。

伝染する。

マルディが笑う。

「完全に支配してるっすね」

大地は静かに見ていた。

(観客の感情を――操っている)

いや。

違う。

「引き出してる、か」

小さく呟く。

フランの歌は

無理やりじゃない。

心を開かせる。

そして。

“舞台に乗せる”

ショーが終わる。

拍手。

歓声。

最初とは別の空気。

村の顔が変わっていた。

フランが少し照れる。

「……なんか、すごかった」

ラステリが跳ねる。

――いっぱいえがおです……!

マルディが笑う。

「いや〜これはエグいっすね」

大地は静かに頷く。

「……いい」

一言。

「完璧だ」

フランが嬉しそうに笑う。

「ほんと?」

「ああ」

その目は確信していた。

「これで舞台は一段上だ」

夜。

焚き火の前。

大地は空を見る。

「……行くぞ」

静かに言う。

「獣帝国―ヴォル・ガイウス」

ラステリが頷く。

――はい……

フランも。

「うん」

マルディが笑う。

「楽しみっすねぇ」

大地は前を見る。

「次の舞台は」

一拍。

「少し重い」

だが。

口元がわずかに上がる。

「だからこそ面白い」

ソル・フロールは進む。

感情を武器に。

次の舞台へ。

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