5.妨害
王都中央広場。
初日公演。
それは――
大成功だった。
拍手。
歓声。
笑顔。
ラステリのジャグリングは
王都の観客を完全に魅了し、
フランの歌は
人々の心を掴み、
マルディの演出は
驚きと笑いを同時に生み出した。
「すごかった……!」
「また見たい!」
「明日もやるのか!?」
声が飛び交う。
大地は
静かにそれを見ていた。
「……いい流れだな」
フランが笑う。
「うん!めっちゃ楽しかった!」
ラステリも跳ねる。
――いっぱいわらってました……!
マルディは腕を組む。
「王都でも通用っすねぇ」
大地は頷いた。
「ああ」
一拍。
「ここからだ」
翌日。
二日目の公演。
だが。
「……は?」
大地は足を止めた。
広場の入口。
封鎖されていた。
白い法衣の者達。
そして
簡易的な柵。
「本日は立ち入り禁止です」
無機質な声。
観客達が困惑している。
「え?なんで?」
「昨日やってたじゃねぇか!」
「楽しみにしてたのに……!」
ざわめき。
不満。
だが。
教会の人間は動じない。
「本日は教会の管理下に置かれています」
「安全確保のためです」
嘘。
明らかな口実。
マルディが
小さく笑う。
「露骨っすねぇ」
フランが悔しそうに言う。
「ひどい……」
ラステリも震える。
――はいれません……
大地は
しばらく黙っていた。
そして。
「……今日はやめだ」
静かに言う。
その日は
何もできなかった。
二日目。
三日目。
四日目。
同じだった。
ステージは封鎖。
観客は入れない。
何もできない。
時間だけが過ぎていく。
フランが
ぽつりと呟く。
「……このままじゃ」
ラステリも小さくなる。
――できません……
マルディは
壁にもたれながら言う。
「まぁ、完全に潰しに来てますね」
「……ああ」
大地は答える。
そして。
五日目。
ついに。
教会の男が現れた。
あの時の男だ。
「……理解したか?」
冷たい声。
「この街で
貴様らのような存在は認められない」
一歩、近づく。
「お前がこの王都にいる限り」
言い切る。
「あのステージは永遠に閉鎖する」
沈黙。
完全な圧。
完全な否定。
だが。
大地は――
笑った。
「……なるほどな」
一歩前に出る。
「随分と自信あるんだな」
男の眉がわずかに動く。
大地は続ける。
「じゃあ一つ教えてやる」
静かに。
だが確実に。
言い放つ。
「その程度で止められると思うなよ?」
空気が変わる。
マルディが
ニヤッと笑う。
フランが顔を上げる。
ラステリも
ぴょこんと跳ねる。
男は目を細める。
「……何?」
大地は振り返る。
仲間を見る。
そして。
言う。
「舞台を移す」
一瞬の沈黙。
マルディが吹き出す。
「……あー」
「なるほどっすね」
フランも気付く。
「……あ!」
ラステリも。
――どこでも……できます……
大地は頷く。
「そうだ」
黒い指輪を掲げる。
「俺たちの舞台は」
静かに言う。
「場所に縛られない」
次の瞬間。
大地は歩き出した。
王都の通りへ。
人の流れの中へ。
「ここでやる」
その場で。
光が展開する。
小さなステージ。
簡易的だが
十分な舞台。
人々が立ち止まる。
「……なに?」
「始まるのか?」
大地は前に出る。
そして。
口を開く。
「――開演だ」
音が生まれる。
ラステリが舞う。
フランが歌う。
マルディが笑う。
人が集まる。
笑顔が広がる。
教会が封鎖した“場所”の外で。
新たな舞台が生まれる。
マルディが
くるっと回る。
「いや〜最高っすねこれ!」
「完全にパレードっすよ!」
ラステリが跳ねる。
――いっぱいみてます!
フランも笑う。
「楽しい……!」
大地は
静かに前を見据える。
「行くぞ」
歩きながら言う。
「王都全部を舞台にする」
光が広がる。
人が増える。
通りが――
サーカスになる。
遠くで。
教会の男がそれを見ていた。
表情は変わらない。
だが。
明らかに。
想定外だった。
「……なんなんだ奴らは…」
低く言う。
「奴らは
場所を必要としない」
歯を食いしばる。
「……厄介だ」
王都エターニア。
その日。
新たな光景が生まれた。
舞台は固定されない。
街そのものが舞台となる。
ソル・フロールは王都でも認められるのだった。
そして大地の元に1通の手紙が届いた。
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