1.道化
朝。
静かな宿の一室。
窓から差し込む光が
ゆっくりと部屋を照らしていた。
「……さて」
華岡大地は
黒い指輪を見つめる。
昨日の戦い。
スタンピード。
ダンジョン攻略。
オルトロス討伐。
そして――
【ダンジョンマスター討伐報酬があります】
【ランダム報酬を取得可能です】
あの表示。
「……開けるか」
ラステリが
ぴょこんと跳ねる。
――きになります……
フランも
身を乗り出す。
「どんなの出るかな……」
大地は
軽く息を吐いた。
「まぁ、普通に考えれば
装備とかスキルだろ――」
指輪に意識を向ける。
「……報酬、開放」
次の瞬間。
部屋の空気が変わった。
冷たい。
どこか“死”を感じるような気配。
光が歪む。
空間がねじれる。
「……え?」
大地が思わず声を漏らす。
床に
黒い魔法陣が浮かび上がる。
そこから――
ゆっくりと
“それ”は現れた。
骨。
白い骨の体。
だがただの骸骨ではない。
ボロボロの道化服。
歪んだ笑みを浮かべた仮面。
そして――
禍々しくも軽やかな存在感。
そいつは
ひょいっと軽く回転しながら着地した。
「いやっほーう!!」
テンション高い。
明らかに高い。
「呼ばれて飛び出てジャジャーン!
ってやつっすかねアニキ!!」
――……
沈黙。
大地、フラン、ラステリ。
全員、固まる。
「……」
「……え?」
フランが小さく呟く。
ラステリも
ぷるぷる震える。
――こ、こわいです……
大地は
数秒遅れて口を開いた。
「……いや誰だよ」
「おれっちっすか?」
骸骨は
自分を指差す。
「おれっちはねぇ〜
まぁ簡単に言うと――」
くるっと一回転。
「上位アンデッド、リッチってやつっす!」
「……リッチ!?」
フランが驚く。
大地は
若干引いていた。
(いや待て待て待て)
(なんかヤバいの来たぞ)
骸骨――リッチは
ニヤニヤしながら続ける。
「いや〜でもさすがアニキっすね!
ダンジョンマスター倒すとかエグいっすわ!」
「アニキ?」
「そっす!」
ビシッと指差される。
「おれっちの新しい主ってことで!」
軽い。
ノリが軽すぎる。
大地は
こめかみを押さえた。
「……マジかよ」
ラステリが
そーっと聞く。
――なかま……ですか……?
「……たぶんな」
大地はため息をつく。
だが。
指輪の反応は確かだった。
こいつは――
自分の配下。
「名前は?」
大地が聞く。
骸骨は
ニヤッと笑う。
「まだ決まってないんすよね〜
アニキ、つけちゃってくださいよ!」
軽い。
軽すぎる。
だが。
少しだけ考えて。
大地は口を開いた。
「……マルディ」
「お?」
「お前、マルディだ」
一瞬の静止。
次の瞬間。
骸骨は
大げさに両手を広げた。
「いいっすねぇぇぇ!!」
テンション爆発。
「最高じゃないっすかその名前!!
気に入ったっすアニキ!!」
ラステリが
ちょっとびっくりしている。
フランは
まだ若干引いている。
「……なんかすごいの来たね」
「だな……」
大地は苦笑する。
だが。
その時。
マルディの目が
一瞬だけ鋭くなった。
「で」
空気が変わる。
「今どんな状況っすか?」
一瞬で切り替わる。
軽さは消えない。
だが。
思考は明らかに鋭い。
大地は
少しだけ目を細めた。
(……こいつ)
(頭いいタイプだな)
「次は王都に向かう」
そう答える。
「もっとデカい舞台を探す」
マルディは
ニヤッと笑った。
「いいじゃないっすか」
軽く指を鳴らす。
「ならおれっちが
“最高のショー”にしてやりますよ」
骸骨のくせに
やたら様になっている。
フランが
ぽつりと呟く。
「……なんか、ぴったりだね」
ラステリも
こくこく頷く。
――サーカスっぽいです……
大地は
少しだけ笑った。
「……確かにな」
新たな団員。
クセは強い。
だが。
間違いなく――
戦力になる。
「行くぞ」
立ち上がる。
「次の舞台へ」
ソル・フロールは
新たな仲間を加え――
さらに大きな舞台へと
歩き出した。
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