表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/38

10.終幕と喝采

静寂。

戦いの熱が

ゆっくりと冷めていく。

崩れ落ちたオルトロスの巨体。

静まり返った洞窟。

その中で。

大地の視界に

再び文字が浮かび上がる。

【ダンジョンマスター討伐報酬があります】

【ランダム報酬を取得可能です】

「……報酬?」

思わず呟く。

だが。

――マスター……

ラステリの声は

今にも消えそうだった。

振り向くと。

ラステリは

その場でぐったりと縮み、

ほとんど動けなくなっている。

フランも

壁に寄りかかるように座り込んでいた。

「……つかれた……」

歌い切った代償。

身体も、魔力も、限界だった。

大地は

少しだけ苦笑する。

「……だよな」

黒い指輪を見つめる。

報酬は気になる。

だが。

「今は後だ」

はっきりと言い切る。

「まずは帰るぞ」

ラステリをそっと持ち上げ、

フランの肩を支える。

「舞台は終わった」

小さく笑う。

「ちゃんと

 幕引きまでやるのが団長の仕事だ」

洞窟を抜けた時。

空は

すでに明るくなり始めていた。

夜が明けている。

長い戦いだった。

街へ戻る道中、

すれ違う冒険者達の表情が変わる。

驚き。

疑い。

そして――確信。

「……おい、あれ」

「まさか……」

ざわめきが広がる。

門をくぐった瞬間。

それは確信に変わった。

「スタンピード……止まったぞ!」

「ダンジョンが静かになったって!」

声が上がる。

視線が集まる。

「……あいつらだ」

「ソル・フロール……!」

一瞬の沈黙。

そして。

「ありがとう!!」

誰かの声が響いた。

それをきっかけに。

「助かった……!」

「本当に……ありがとう……!」

次々と

感謝の声が重なっていく。

子供が手を振る。

商人が頭を下げる。

冒険者が

無言で拳を握る。

ラステリが

小さく震える。

――マスター……

「……ああ」

大地は静かに頷く。

「これが

 俺たちの舞台だ」

フランも

少しだけ笑った。

「……いいね、これ」

その後。

ソル・フロールは

冒険者ギルドへと呼び出された。

ざわつくギルド内。

普段とは違う空気。

中央には

厳しい顔をしたギルド職員達。

そして。

奥から現れた男。

ギルドマスターだった。

鋭い目で

大地を見据える。

「……報告は受けている」

低い声。

「スタンピードの発生源となったダンジョンを単独攻略」

一瞬の間。

「そしてダンジョンマスターの討伐」

周囲がざわめく。

「正直、あり得ない」

だが。

ギルドマスターは

ゆっくりと頷いた。

「だが事実だ」

一歩前へ出る。

「ソル・フロール」

名前を呼ぶ。

「お前達の功績を認める」

そして。

はっきりと言い放った。

「冒険者ランクをCランクへ昇格する」

空気が震えた。

「Cランクだって……!?」

「上級冒険者じゃねぇか……!」

ざわめきが広がる。

ラステリが

ぴょこんと揺れる。

――すごいです……

フランも

目を丸くしていた。

「……いきなりだな」

大地は苦笑する。

だが。

その言葉の重みは

しっかりと理解していた。

ギルドマスターは

さらに続ける。

「お前達には

 もう一つ伝えることがある」

空気が変わる。

「この街に留まるには

 お前達の力は大きすぎる

ギルド本部へ推薦状を出してやる」

静かに言う。

そして。

一枚の推薦状を差し出した。

「人間の王国」

その名を口にする。

「王都――エターニア」

一瞬の沈黙。

その名前には

明らかに“格”があった。

「そこなら」

ギルドマスターは言う。

「お前達の舞台は

 さらに広がる」

大地は

ゆっくりとそれを受け取る。

重い。

だが。

心地いい重さだった。

ギルドを出た後。

三人は

街を見渡す。

見慣れ始めた景色。

だが。

もうここは

“通過点”になった。

ラステリが言う。

――つぎも……がんばります……

フランも頷く。

「もっと大きい舞台、見たい」

大地は

小さく笑った。

「当然だろ」

空を見上げる。

「俺たちは」

静かに言う。

「サーカス団だ」

そして。

一歩踏み出す。

「次の舞台へ行くぞ」

ソル・フロールは

新たな地へと歩き出した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも面白いと感じていただけたら、

下の【★★★★★】から評価をしていただけると嬉しいです!

この★の数が作品の伸びに直結するので、

本当に大きな力になります…!

また、ブックマークしていただけると

更新通知が届くので見逃し防止にもなります!

引き続き応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ