7.初のダンジョン
夜明け前。
まだ空は暗く、
戦いの余韻が街に残っていた。
門の外、森を抜けた大地達の前に、
ぽっかりと口を開けた闇があった。
洞窟型ダンジョン。
岩肌は濡れ、
冷たい空気が奥から流れてくる。
「ここが発生源か」
大地は静かに呟いた。
ラステリは
少しだけ身を寄せる。
――くらいです……
フランも
翼を小さく震わせた。
「大丈夫だ」
大地は軽く笑う。
「ここも舞台になる」
黒い指輪に意識を向ける。
DPは
スタンピード戦で大きく増えていた。
「……使うぞ」
淡い光が洞窟内に広がる。
次の瞬間。
岩場に
簡易ステージが展開される。
足場を補強する木製の台座。
魔物の動きを誘導する光布。
視界を確保する照明具。
洞窟は
一瞬で“舞台”へと変わった。
「よし、進むぞ」
ラステリが
小さく跳ねる。
フランも
覚悟を決めたように頷いた。
奥へ進むほど、
魔物の気配は濃くなっていく。
最初に現れたのは
岩肌に溶け込むような小型の魔獣だった。
だが。
ラステリが分裂する。
トリックスライムの能力。
三体に分かれた身体が
同時に刃を放つ。
一瞬で決着がついた。
淡い光が
大地の指輪へ吸い込まれる。
「……DPが増えたな」
戦うほどに
舞台は強くなる。
大地は
すぐに設備を追加展開する。
洞窟の壁面に
跳躍用の小型台座。
天井付近には
照明の強化装置。
狭い空間でも
立体的に動ける構造が生まれていく。
「これなら
さらに魅せられる」
次の魔物の群れが現れる。
フランの歌が
洞窟に反響する。
音が増幅される。
ラステリの動きが
さらに鋭くなる。
分裂個体が
壁や天井を利用しながら
舞うように攻撃を繰り出す。
それはまるで。
洞窟全体が
巨大なサーカステントになったかのようだった。
「すごい……」
フランが思わず呟く。
進むほどに
DPは増え。
舞台は進化し。
ソル・フロールの戦いは
洗練されていく。
だが。
やがて。
空気が変わった。
洞窟の奥から
重い圧力が流れてくる。
地面が
わずかに震える。
ラステリが
ぴたりと動きを止めた。
――マスター……
フランも
歌を止める。
静寂。
そして。
巨大な石の扉が
視界の先に現れた。
傷だらけの表面。
無数の爪痕。
ここが――
終点。
大地は
静かに息を吐く。
「……ボス部屋手前か」
この先は
今までとは違う戦いになる。
大地は
ゆっくりと仲間達を見た。
「準備はいいな!」
それは
次なる開演前の静かな合図だった。
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