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6.トリックスライム

戦場に響く刃の音。

揺れる光。

夜を裂く咆哮。

その只中で。

大地の視界に

突如として文字が浮かび上がる。

【個体名:ラステリ

 進化が可能です】

「……進化?」

思わず呟く。

ラステリは

必死に刃を投げ続けている。

身体は震えている。

呼吸も荒い。

それでも。

逃げていない。

舞台に立ち続けている。

(……こいつは)

大地は静かに息を吐いた。

迷いはなかった。

「ラステリ」

――は、はい……!

「進化だ!」

その言葉は

命令ではなく――

信頼だった。

次の瞬間。

ラステリの身体が

淡い光に包まれる。

刃が宙で静止する。

歌が一瞬だけ止まる。

時間が

ゆっくりと伸びたように感じられた。

ラステリの身体が

ゆらりと揺らぐ。

一つだった存在が

二つに分かれる。

さらに。

三つ。

四つ。

透明な身体が

舞うように分裂していく。

「……すごい」

フランが思わず声を漏らす。

やがて光が収まる。

そこにいたのは――


【トリックスライム】


分裂した複数のラステリが

同時に空中へ跳ね上がる。

刃が

四方八方から放たれる。

まるで

空そのものが攻撃しているかのようだった。

魔物の群れが崩れる。

狼型が次々と倒れ。

甲殻が割れ。

亜人種がよろめく。

観戦していた冒険者達が

目を見開く。

「……なんだあれは」

「スライムだぞ……?」

だが。

それはただの強さではない。

舞台だった。

分裂したラステリ達が

互いに入れ替わり

刃を受け渡し

連続演技のように敵を翻弄する。

再び一体へと合体する瞬間、

大きな一撃が放たれる。

歓声が上がる。

戦場に。

歓声が。

大地は

静かに笑った。

「……成長したな」

ラステリは

少しだけ胸を張る。

――こわいですけど

 でも……たのしいです……

その言葉に

大地は目を細めた。

「それでいい」

フランの歌も

さらに力強く響く。

ソル・フロールは

まるで夜に咲く花のように

戦場で輝いていた。

だが。

終わらない。

魔物の群れは

未だ地平線の向こうから押し寄せてくる。

数は多い。

だが――

強くはない。

大地は

戦況を冷静に見つめた。

(これは……)

単なる暴走ではない。

供給源がある。

「……なるほどな」

黒い指輪を見つめる。

「この程度の強さの群れなら

 発生源のダンジョンは低ランクだ」

つまり。

討伐し続けても

意味は薄い。

根を断つ必要がある。

大地は

夜の奥を見据えた。

「ラステリ。フラン」

二人が同時に振り向く。

「舞台を移すぞ」

静かに言う。

「このスタンピードは

 ダンジョンを攻略して止める」

それは

新たな開演の宣言だった。

戦いは

まだ終わらない。

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