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復活したら人食いチート怪物と化していた天外優人、その奇怪で危険で姦しい日常について  作者: まんぼうしおから
第四章・暗黒埋蔵金伝説

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37・力尽きた褐色

 男女二人きりの密室。

 医療用に使われる一部屋にて。

 目の前に置かれてあるベッドの上では、息も絶え絶えな、小麦色の肌の美少女がうつ伏せで力尽きていた。



 玉鎮藍である。



 時折、

 ビクッ、ビクッと、

 張りの良さと柔らかさを両立させた、汗とか汁とか液とか──とにかくいろんな水で濡れててテカっているパンイチの裸体が、針でつつかれたみたいに震える。


 俺が治療したことによる快楽の余韻が、まだ肉の中に残っているせいなんだろう。


 そう。

 治療だ。


 誰が何と言おうと、その一部始終がエロマッサージ系の動画みたいなことをやってるようにしか見えなかろうと、治療は治療。人助けなのだ。

 そもそも俺がやりたくてやったのではない。

 こいつが頼んできたから、義理と打算で了解したに過ぎない。友好ポイントと善良ポイントを稼ぐためにだ。もし下心があったなら俺のほうから声をかけている。


 ……いや、まあその、美少女の身体を舐めたいという欲求があったといえばあったけどさ……そのくらいは許されてもええやろ。

 無償なんやしな……。

 甘噛みはしても、噛みちぎったりはしてへんし……。


「あ、あへ、あひっ……」


 気の抜けた、いやらしい呻き。

 いつもの豪快さも勝ち気さも勇ましさもどこへやら。

 玉鎮は、これっぽっちも力の入っていない喘ぎを発している。


 横を向いている表情は幸せそうにとろけ、虚ろな瞳は白目を剥きかけていた。わざとやってんのかと疑いたくなるくらい見事なアへ顔である。人に見られたら演技だろうとガチだろうと恥ずかしさのあまり悶死しかねないツラだ。

 面白いから記念にスマホで撮っとこうかとも思ったがギルティすぎる気がしたので踏みとどまった。道徳の勝利。


 顔のそばには白い布が落ちていた。

 おしぼりだ。

 巻物のように丸められていたそれは、中間あたりの部分が、ぎゅっと圧迫されて潰れていた。

 玉鎮が噛んでいたからである。


 何を、どう誤解したものか。

 俺が『治療』をやろうとしたら、玉鎮は用意していたおしぼりを噛み、うつ伏せになったのだ。

 漫画とか映画などで、麻酔なしで手術するとか出血を止めるために傷口を焼くとか、酷い激痛を伴う医療行為をやるときに布とか噛ませるのを見たことあるが、つまり、玉鎮は俺がそんな強烈なことをやるのだと勘違いしていたらしい。それで、あらかじめ用意していたおしぼりを咥えたのだろう。

 あるいは勘違いではなく、間狩やちーちゃんさんが、その辺をぼかして説明したのかもしれん。


 誤解を解こうかとも思ったが、やめた。

 どうせ実際にやられてみれば身体でわかるだろうし、正直に教えて拒否されたくもない。ここまできておあずけ食らうのも嫌だからな。

 俺としても『嵐姫』の体を味わえる機会をみすみす失いたくはない。


 だから特に何も言わず、治療開始した。

 そしたら最終的にこんなんなった。


 玉鎮も、途中までは耐えてたんだ。

 必死におしぼりを噛み、手足の治療を受けていたが、俺が胴体のほうに活力を吹き込んだり舐めたりしたら、もう駄目だった。

 特に背骨が弱く、首の付け根から尾てい骨のところまで息を吹きながら唇を這わせていくと、狂ったようにめっちゃ手足や首をバタつかせてきたので触手も使って無理やり抑え込んだ。いっそ最初からベッドに手足を縛り付けておいたほうが楽だったかもね。


 その時に、おしぼりを口から落としたので、代わりに触手を一本咥えさせておいた。

 玉鎮は我を忘れて全力本気で噛んできたが、頑強な俺の触手は女子高生の顎と歯なんかでは噛みちぎるどころか歯形もつきはしない。

 好きなようにやらせておいた。

 どうせ何度か気持ち良さの頂点に()()()()グデングデンに酔い潰れたようになるのだ。そうなれば、あとは何をしようがほぼ無抵抗となる。それはこれまでの経験からわかっているからな。


 実際そんな感じで玉鎮は脱力の権化みたいになり、治療は終わった。


 折れた片腕も元通り。

 全身のダメージもほぼゼロになった。完治といっていいだろう。


 学校の三大アイドルの一人を、治療にかこつけて文字通りしゃぶりつくしたという、この事実。

 クラスメートには口が裂けても言えない禁断の出来事が、またひとつ増えた。

 そのうちどっかの古井戸にでも溜まった秘密を思いっきり叫んで吐き出したいもんだなと、ピクピク震える美味そうな褐色のケツを見ながら俺は考えていた。





「外の空気でも浴びてくるか」


 いまだ正気と狂気の中間くらいを漂っている玉鎮を置き去りに、女の甘ったるい匂いで満ちている部屋を出て、廊下へ。

 そのままにしておくのもあれなんで、一応シーツをかけておいてやった。

 俺の優しさである。

 心優しい化物なのだ俺は。気軽に退治していい存在なんかじゃないんだぞ。


「…………あ、そうだ」


 正面玄関のほうに向かっている途中、ふと、あることを思い出した。


「どうなったんだろな、あの美少年」


 リシェル。

 蛇のように長くうごめく二本の剣を使ってきた少年騎士。

 しっとりとした金髪を背中まで伸ばした、年下のキレイな男の子だ。


 俺との一騎討ちに敗れた途端おとなしくなり、もがいたりすることもなく、無抵抗のまま根ノ宮さん達に引き渡された。

 引き渡すときに、妙に色気のある流し目を向けてきたのが記憶に残っている。


「よその国で平気で暴れるやべえ人物とはいえ、騎士団の一員だ。乱暴な取り扱いはされてないとは思うけど……どれ、いっちょ会いに行くか」


 どうせ暇だし。

 女が嫌いになったわけじゃないが、年齢の近い男と会話したい。敵も味方も中立も女ばっかだったからな。

(注・まだ天外優人は中立──つまりナユタのことをとてつもない美貌の美少女だと思い込んでいます)



 ふらふらと、勝手知ったる施設内を、退屈しのぎにぶらつく。


 熱心に少年騎士を探しはしない。

 施設の全貌を把握などはしていないが、だいたいは覚えてるし、その気になれば壁や床を通じて建物の構造やどこに誰がいて何があるかもわかる。その能力を使えばリシェル少年の居場所も一瞬……とまではいかないが、すぐに感知できたりもする。


(でも、それだとすぐ終わるからな)


 退屈しのぎがしたいのであって、少年に会いたいのは二の次だ。

 手段と目的が逆転しているが俺は気にしない。


「んー、どこにいるかな双剣使い君」


 ある部屋の前で立ち止まり、ドアを開く。


 簡単に開いた。

 つまり、ここは違う。


 また別の部屋を選び、同じことを繰り返す。

 なんだか変則的なかくれんぼみたいだな。


 この施設のどこかにいるのははっきりしてるんだから、こうやって探していれば、さほど時間もかからず見つかる。

 自由に移動できる許可なんか降りるわけがない。武器も没収されて、鍵のついた個室に軟禁されてるはずだ。

 七星機関とバチカンの話し合いが済むまではそのまま囚われの身か。おそらくはバチカンに強制帰還させられるんじゃないかと思うね。


 騎士団をクビになるかどうかまではわからないが……。

 まあ、ならないだろう。

 狙ったのが人間じゃなくて化物ってのは、あちらさんからしたら基本悪いことじゃないからね。


 ただ……俺に手を出すのは今のところ駄目だと言われているのに、厄介者の口車に乗せられて行動に移したのはまずいよな。

 騎士団というひとつの組織として、下が上の指示を無視して動くなんてことに甘い顔もできないはずだから……それなりに厳しい罰が与えられるかもしれん。因果応報か。



 などと美少年の今後を案じていると──今回、何度目か忘れたが、鍵のかかっている部屋にまたぶつかった。

 一階の、奥のほうの部屋のひとつだ。


 今度はどうかなと、扉を数回ノックする。中を今さら探りはしない。そのほうがワクワク感があるからね。


「……どうぞ、入ってくださーい」


 扉の向こう側から、快活な、聞き覚えのある少年の声が聞こえてきた。

 ビンゴ。

気がつけば15000ポイント超えてました。

次は20000の大台に乗りたいものです。

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