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復活したら人食いチート怪物と化していた天外優人、その奇怪で危険で姦しい日常について  作者: まんぼうしおから
第四章・暗黒埋蔵金伝説

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24・幽玄との再会

「結局わかったのは、そいつらについてだけか……」


 聖女コルテリア。

 『汚れた剣』アンジェリカ。

 双剣のリシェル。

 『泣き女』アデスト。

 魔女カサブランカ。


「……他にも、まだ何人かいるんだよな……それについては確かなようだが」


 アリサとリリア。

 二人のシスター(中身は剣や槍を振るう荒くれ者だが)は帰っていった。

 帰り際──


「また何かわかれば、機関を通すか、もしくは、今回のように直にあなたへ伝えますね。では──」


「この辺デごきげんようデス。夕飯のしたくヲしないトいけませンので」


「またパスタじゃないでしょうね。毎日毎日パスタパスタ。質素倹約を旨としている私でもしんどいものがありますよ」


「それは良かったデスね。今晩もパスタなのデス」


「話聞いてます?」


 なんて言いながら去っていったな。

 話が進むにつれピリピリした空気になってたが俺の知ったこっちゃない。二人仲良く美味しいパスタを召し上がってくれ。



 二人がいなくなり、無人になった公園。

 いるのは、化け物の俺だけ。


 ベンチに座り、まだ夕焼けにはならない太陽の光の下。

 俺は一人(人ではないが)、今後について考える。


 話の中で機関について触れていたが……その機関としては、この件はまだ俺が狙われてるとはっきりしてないので、現時点だと積極的には動いてくれないようだ。

 その代わり、それが確定となれば俺のカバーに回ってくれるし、助っ人も寄越してくれるらしい。


 助っ人。

 誰が来るかとなると、まあ十中八九あの人形たちだろう。


 バチカンや各騎士団は、本意はどうあれ、俺への討伐はしないことになっている。そういう話し合いを機関としてるからね。


 が、やはり異国の怪物をそのまま放置しておくのがあまり喜ばしいことではないのは、そりゃ当然なわけで。

 機関との約束事だって、別にどうしても守らねばならないことではない。

 得より損が上回るなら平気で破ってくるだろう。

 破りはしないまでも、言い訳めいた理屈で約束事の穴を突いてくるかもしれない。こっちのほうが十分ありえる。


 つまり、俺がその、騎士団のゴロツキや問題児どもにやられても……。


 それは、その者たちが勝手にやったことなんで、こっちは関与してないし。

 だから約束破りとか言われてもねー。こっちも困ってんのよその馬鹿どもに。

 とはいえ示しがつかないから実際に手をくだした奴は破門にするんで、それで幕引きでいいだろ?


 こんな感じで、


 我々じゃない。

 馬鹿どもがやった。

 しらない。

 すんだこと。


 この責任転嫁の心構えで、組織の内外にいる危ない奴らを鉄砲玉にする気なのは明白だ。

 シスター達もそんな風なこと言ってた。

 極東の化け物が消えるか、厄介者どもが一網打尽にされるか。バチカンは、どちらに転んでもいいという様子だと。


 ただ、やはり聖女だけは失うのは惜しいようだ。

 いざとなれば、お前たち二人が聖女コルテリアの身を死んでも守れと、そう命じられたという。


 「俺に言っていいの?」と思って聞いてみたのだが、

 シスターたち曰く、


「主のために、信仰のために命を捨てる覚悟ならありますが……」


「やりたイように動いてル、身勝手ナ聖女のために死ぬのハ……御免デスね」


 だってさ。


 なんだろう、なんか……本国から遠く離れたこの国に(俺のせいで)死ぬまでいることがほぼ確定してるからか、ふてぶてしさが出てきてないか?

 拒否できない立場で特大のババ引かされた恨みをここぞというタイミングで晴らす気かな。

 恨みって怖いなー。


「ん?」


 もし今後、誰かの恨みを買ったりしたら、その場でちゃんと禍根を絶っておこう──そんなことを、空をゆっくり流れていく雲を眺めながら思っていると、誰か来た。

 一応、いつ襲われてもいいように、能力を使って公園一帯の地面に網をしいておいたのだ。


 矢印が出てないので、今のところは戦意とか敵意はないらしい。


 足元から伝わってくる振動などから察する

に…………足取りは軽く若い、重量もさほどない……背丈は……。

 ……推測するに、だいたい、中学生くらいか、あるいはそのくらいの体格の人物だな。

 そいつは、迷いなくこっちに向かってきている。つまり俺に用があるのだろう。


 気づかないフリをしてもいいんだが……ま、いいか。矢印もないし。

 見てやれ。


「……おっ」


 そちらに顔を向けると、見覚えのある姿が、急ぐことなく、ゆっくりと……俺のほうへと歩いてきていた。

 その人物は、


「お久しぶりだね、ユートさん」


 言葉にできないほどの魅力に溢れた、美しく、そして妖しい微笑みを見せた。

 そんな人物の正体、それは。



 死に愛されているという、この世のものとは思えない、冥府の天使のごとき美少女。

 ナユタだった。



「……相変わらずのようだな」


 肩にかかるくらいの長さの、灰色のストレートボブ。

 だぶだぶのパーカーに、スニーカー。

 そして素足。

 髪型や服装に全くこだわりがないのか、以前と何一つ変わらない。逆にそういうこだわりなのかと思うほどに同じだ。


 ならば恐らく、あのパーカーの下には……前回同様に下着しかつけてないのだろう。

 黒の、尻の形がはっきりわかる、ぴっちりしたパンツが。

 思わずかじってみたくなった、あの尻が。


「えっち」


「は?」


「思い出してたんでしょ? 私のお尻」


「……………………」


 図星すぎて言葉が出なくなった。

 その通りだった。


「そういう目を、してたもの」


 そうなのか。

 どうやら俺は人食いの目でナユタを見ていたらしい。


 最近食べてないからか?

 舐めたり吸ったり吹き込んだりなら、十日ほど前にたっぷりやったんだがな。

 でも血肉はご無沙汰だ。

 手当たり次第に人間捕まえてかぶりつきたいとか、そんな風な禁断症状が出てるとかではないけど……まあ、食べたいことは食べたいし、飲みたいことは飲みたい。そこは変わらない。


「すまん。つい」


「いいよ。ユートさんなら、許してあげる」


 ナユタが、右の萌え袖を口元に当て、くすくすと笑う。


 どうも俺はこの少女に気に入られているらしい。

 自分のケツをかじりたいとか抜かした相手に好意を持つとかあまりにも意味不明だが、この子にはこの子の理屈があるのだろう。


「一人で、こんなところでじっとたたずんで……悩みでも、あるの?」


「まあね。誤解とすれ違いで命を狙われることになるかもしれなくてさ。今後が不安だよ」


「奇遇」


「?」


「私も、お兄さんと、別れたあと、殺されかけたんだよね。武装した人たちに」


「なんだと」


 ある出来事を思い出す。


 あの、路地裏でぶちのめしたサバゲー野郎どもや大口の化け物。逃げられたかと思ったら風船屋に消されたヒステリックなOL。

 奴らに出会ったのはナユタが姿を消した日のはずだ。

 牛馬と人間を混ぜたようなホームレスに襲われ、バッキバキに手足を折ってやったあの日。


「詳しく教えてくれないか。話せる範囲でいいからさ」


 関係性がないわけがない。

 聞けるだけ聞いたら根ノ宮さんに伝えておこう。

 なんならいっそのこと、機関のところにナユタを連れて行ってもいいか。根ノ宮さんはそうしてほしいとか言ってたはずだし。

 まあ、ナユタ本人がどう言うかだが……。



「そうだね。まず、僕と同い年くらいの、少年が、糸を──」

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― 新着の感想 ―
俺、主人公にはこれからもナユタのことを女の子と勘違いしたままでいてほしい気持ち
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