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ぶっちゃけ妾は可愛いので誘惑で勇者どもを絆そうと思ったのじゃ!  作者: 串キノコ


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吟遊詩の勇者

〈魔王前線、魔王城〉

「っ、あ゛ーーッ!? なんじゃこの声は! 耳障りにも程があろうがッ!!」


魔王の前線から魔王城まで風になって響く悪魔の、いや、悪魔さえも頭を抱えた声。


額に血管を浮かばせながら、ノルタは少し大きめの声で報告してきた。


「どうやら前線に未確認の勇者らしき存在が襲来した様子、それ以降あの崖周辺から異様に下手なハープと共にやけに綺麗な歌声が響き渡っていると!」



今ほどではないにせよ、確かにあれは魔王軍――いや、魔王城にまで響き渡っていた。

疑うことなく、紛れもなく魔王を最も追い詰めた音響兵器であった。


◇◆◇◆


「初めまして~ぇ♪ボクは風の勇者フーリ・フーシャ」


「…初めましてフーリ様。ワタクシは、ルーファ・リアスですわ」


「フフン…んじゃ〜歌うねぇ〜♪」


あまりに影響が凄かったので、魔族魔法開発部が血眼になりながら防音障壁を開発して、城全体に設置していた。


その技術の応用品である耳栓。

こんなこともある、そういう備えの一つ。


魔王である妾の全速力で変身に組み込ませることで側から見えないようにして付ける!!


〈サッ!〉


歌が始まった、耳栓の効果はそれらを遮断するのではなくノイズキャンセルのように耳障りなく聞き取らせてくれるもの。


(確かに綺麗な声ではあるが...)


嫌というほど耳に焼き付いたノイズ付きの歌声。


耳栓の影響か、戦場ほどの出力ではなかった。


(それでも魔王城で半年もずっと聞かされた続けた、近所迷惑の正体が目の前に……。)


紛れもない憎き音響兵器を前に、魔王ハルファスとしての矜持が今にも現れそうになる。


極低音にしても気分までは守れないし、何より至近距離のせいで___....ッ。


「さて、今度は僕が魔王の前線で聖なる歌を披露して人類を勝利一歩手前まで導いた武勇伝を~〜ォ♪」


(コイツ....!今ッ!!殺るかッッ__!!)


変装、人の娘ルーファとして成立できるギリギリの乱れが、ノイズとして全身に走り始めていた。

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