打ち上げ
その夜、受験者たちは学院が用意した宿舎に泊まることになった。
一階で行われた合格者同士の祝杯の熱が頂点に達し、ほとんどの人間が酔い潰れた頃。
深夜。宿舎の廊下に人気がなくなった頃、姿の偽装だけ解除したビッチェロとハルファスが同室のベッドで向かい合っていた。
「で?人間として勝ち抜いた初日の感想は?」
「各々の戦闘力は、四天王の足元にも及ばぬ」
見所のある人間はいたが、四天王クラスに届くほどの存在はまだいなかった。
「問題は、それ以外の魔物の大半を屠り得る潜在能力じゃな...逸脱した個、勇者を核に群れるとなれば相当に厄介であろうよ」
「流石よく見てるわね...というか私は魔王様が代わりになってくれなきゃボロ負けだったし当然ね」
「特にあの子よ!私が負かされたの覚えてる?」
記憶はしていた。
「次は殺す」と言い放ち、ビッチェロを降参させた少女。
そして何より...。
風による不可視の斬撃を体感してなのか、枕に背を預け鳥肌を立てながらも仕事モードに切り替わった。
「あの子、入学したら確実に頭角を現す..私を負かした相手だし...あーいうのが案外伸びるんじゃないの?」
「マイラ・クエナイ……鮮やかな手際であった。風の術者にしては妙に抜け目がない......うむうむ!まさしく強者じゃな」
「いつかねじ伏せてね」
相当にトラウマらしく、枕越しからでも伝わるほど本気のトーンで言った。
戦闘向きでないにしろ一応は上級サキュバスに位置
するビッチェロが目に追えない速さの魔法、手も足も出すことを許さない程度に強かった。
つまり四天王クラスには遠く及ばなくとも、数年もすれば脅威になり得る原石がごろごろ転がっている、ということだった。
「そろそろ本題にするが...」
「言うまでもなくあの人でしょ?」
二人の中で共通する脅威。
「...味方に引き入れる?それとも排除すべき?」
半月の光が薄いカーテン越しに部屋を照らしてい
た。遠くで夜鳥が一声鳴いた。




