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朧・白龍
どう見ても裏路地の喧嘩屋。
それも、場末の酒場で毎晩椅子を投げておる類いの男であった。
──だが。
「ふぅ〜……」
男は獣のような目で妾を見据え、タバコの炎から目を離して妾の方へ顔を上げた。
「アンタ、本当に嬢ちゃんか?」
その瞬間。
ビリ、と。
肌が裂けるような圧が走った。
ゆっくりと場外スレスレの線を踏み締めながら回り込むように進み始めた。
観客席の空気が静まる。
実況ですら、一瞬言葉を失った。
「……貴様...本当に人か?」
生半可な量ではない、現在の妾以上の魔力。
疑われない為に"人程度"に抑えている妾の魔力、しかしその魔力は間違いなく勇者に並ぶ。
つまり、歴代の勇者すら圧倒的に超えた魔力を保有している。
魔族の見定めた人類の枠を歪ませるほど濃密な魔力。
魔王であっても今は人、妾は口元を隠す。
「お前、化け物……というヤツじゃな」
隠す__決勝まで来て見た目通りの雑魚でないことを理解し、しかも人類最強との対戦ができるワクワクに。




